リポジトリ

repository / レポジトリ


 情報システムの設計・開発・保守に関するあらゆる情報を統合的に蓄積・管理する機構のこと。ソフトウェアやデータ項目について、関連するメタデータ(仕様書や設計書、モデルやダイアグラム、情報操作ルールなど)と結び付けて格納する。リレーショナル型データベースとして構成されること多いが、オブジェクト型データベースも提案されている。

 リポジトリの背景にある基本的な発想は、ソフトウェア・ライフサイクルの全体を通して生成されるあらゆる情報・成果物を一元管理して必要に応じて参照・更新できるようにすることで、システム間/ライフサイクルの各ロール間/チーム間/企業全体での情報伝達・共有を促進し、ソフトウェアやデータベース開発における重複排除、再利用を促進することにある。

 リポジトリは、データディクショナリの発展形として登場した。データディクショナリとは、情報資源管理の観点から企業内で使用するデータについて項目名や形式、所在、属性などを登録して厳密に規定していく機構である。1980年代後半になってCASEツール(による自動化)が叫ばれるようになると、企業内で規定・共有すべき情報はデータベースに関するものだけではなく、アプリケーションプログラムの構造、プログラムとデータベースの関係、プログラム同士の関係、画面や帳票、トランザクション、業務に関する用語・概念・プロセス、企業組織などに関しても中間成果物や標準、スキーマ、モデル(ダイヤグラム)を蓄積、管理することが提唱されるようになった。

 1989年、IBMは開発ライフサイクルのフェイズごとに分断されたCASEツールが共通に利用できる情報機構を置き、開発工程全体が連携・自動化できるようにすることを目指す「AD/Cycle」という構想を発表した。その情報共有機構が“リポジトリ(IBM Repository Manager)”であった。なお同時期、テキサスインスツルメンツの統合CASEツール「IEF」では同種の機構は“エンサイクロペディア”と呼ばれた。

 1994年、AD/Cycleは実現されないままに中止となるが、その後もいろいろなソフトウェア開発ツール/環境、モデリングツールが成果物やメタデータを関連付けて格納・管理するデータベースをリポジトリと呼んだ。2000年代になって、ソフトウェア開発の世界で“チーム開発”が謳われるようになると、ベンダ各社は異なるツールのリポジトリ連携あるいは一元化を進めている。

参考文献

  • 『データディクショナリ/ディレクトリシステム』 ベルキス・W・レオンホン、バーナード・K・プラグマン=著/穂鷹良介=監訳/成田光彰=訳/オーム社/1986年1月(『Data Dictionary/Directory Systems: administratin, implementation and usage』)
  • 『リポジトリ入門解説』 佐藤正美=著/ソフト・リサーチ・センター/1991年10月
  • 『IBMのAD/Cycle概説』 加藤耕一=著/共立出版/1992年1月
  • 『ソフトウェア 開発と保守の戦略――リエンジニアリング・リポジトリ・再利用』 Carma McClure=著/藤本厚、藤堂清、小野誠、堀田耕治、芦沢真佐子=訳/共立出版/1993年7月(『The Three Rs of Software Automation: Re-engineering, Repository, Reusability』の邦訳)
 
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