RFID(あーるえふあいでぃ)情報システム用語事典

radio frequency identification / RF-ID / 無線自動識別 / 電波方式認識

» 2004年12月20日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 電磁波を使って、物品や人物などの個体識別(アイデンティフィケーション)を自動的に行う技術の総称。JISでは「誘導電磁界又は電波によって非接触で半導体メモリのデータを読み出し、書込みのために近距離通信を行うものの総称」としている(JIS X 0500:2002)。

 管理したい対象にトランスポンダと呼ばれる装置を装着し、そこに格納された個体識別コードなどを、リーダ/ライタ(インテロゲータとも)と呼ばれる装置を使って無線で読み取る(あるいは書き込む)ことで対象の識別を行う。トランスポンダには、ラベル型、筒型、コイン型、カード型、箱型、スティック型などさまざまな形状があり、利用分野によって「データキャリア」「RFIDタグ」「RFタグ」「無線タグ」「IDタグ」とも呼ばれる(JIS用語ではRFタグ)。

 技術的には英国軍による軍用機の敵味方識別研究に由来し、1970年代ごろから家畜管理や鉄道車両識別などの応用研究が行われ、1980年代には日本の製造業で生産ラインでの仕分け制御、工程管理や作業指示、倉庫内の物品管理、工具や金型などの寿命管理などに利用されてきた。1990年代のはじめごろになると応用範囲の拡大を目指して各社で事業化が進められたが、当時の技術ではバッテリー内蔵のためRFタグを小型化できず、コスト的に見合わなかったため、多くが撤退することになった。

 1990年代後半以降、リーダ/ライタのアンテナから放射される電磁・電波で誘電動作させることで無電池で動作する、ICチップを搭載したトランスポンダ(ICタグ)が登場したことを受けて、非接触での個人の特定(認証)、商品の判別、位置確認から電子決済、電子マネーまで、幅広い応用を実現するテクノロジとして高い注目を集めるようになった。

 ICチップを組み込んだデバイスの形状や電波の強さによってさまざまなシステム/サービスがあり、「ICカード公衆電話」のようにリーダー(読取装置)に置くものから、JR東日本の「Suica」やビットワレットの電子マネーサービス「Edy」のようなかざすタイプ、道路料金システムの「ETC(electronic toll collection)」のように数十メートル離れて交信するものもある。

 RFIDは無線で識別コードをやりとりする技術であるため、広く利用されるには無線(RF)と個体識別(ID)の互換性を確保することが必要で、標準化・規格化が不可欠となる。周波数帯ごとの無線インタフェースの国際標準規格化は主にISO/IEC 18000で進められている。ICカード/無線ICチップ技術の規格は、ISO/IEC 10536(密着型)、ISO/IEC 14443(近接型)、ISO/IEC 15693(近傍型)で定められている。ICタグに割り当てるID体系は、物流におけるバーコードの代替を目的にAuto-IDセンター/EPCグローバルが、ユビキタス・コンピューティングの実現を目的にユビキタスIDセンターが進めている。また、動物管理(畜産)、海上コンテナ分野でも国際規格が存在する。

 期待される応用分野・用途ととしては、流通・物流業界における商品管理のほか、製造業におけるSCM、食品を始めとした各種物品のトレーサビリティ、店舗における盗難防止などがある。

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