収益認識基準(しゅうえきにんしききじゅん)情報システム用語事典

revenue recognition standard

» 2009年08月31日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 売上高に代表される収益をいつ計上するかの考えを定めた基準。日本の会計基準とIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)では、収益認識基準について概念の大きな違いがある。

 日本基準では、収益について「売上高は実現主義の原則に従い、商品等の販売または役務の給付によって実現したものに限る」(企業会計原則第2・3B)とされるだけで具体的な認識基準については定められていない。このため日本基準では商品やサービスを販売した場合、製品を出荷した際に計上する出荷基準が広く採用されてきた。

 IFRSでは、物品の販売や役務の提供、利息・ロイヤルティにかかる収益を「持分参加者からの拠出に関するもの以外で、持分の増加をもたらす一定期間中の企業の通常の活動過程で生じる経済的便益の総流入」(IAS18号)と定義しており、受領した、あるいは受領可能な対価の公正価値で測定される。物品の販売と役務の提供、利息・ロイヤルティの3つに共通する収益認識の要件は以下の2つ。

  1. 取引に関連して発生した経済的便益が企業に流入する可能性が高いこと
  2. 収益の額を信頼性をもって測定できること

 加えて、物品の販売による収益については以下の3つの要件を満たすことが求められる。最も重要な要件は、1.とされ、IFRSを適用する場合、出荷基準の見直しが必要となる可能性がある。

  1. 物品の所有に伴う重要なリスクと経済価値を企業が買い手に移転したこと
  2. 販売された物品に対して、所有と通常結び付けられる程度の継続的な管理上の関与、有効な支配を企業が保持していないこと
  3. 取引に関連して発生し、または発生する原価を信頼性をもって測定できること

 IFRSでは船舶や建造物、ソフトウェアなどの開発にかかる収益の認識基準として「工事契約」(IAS11号)もあり、工事進行基準の適用を定めている。

参考文献

▼『Q&A/国際財務報告基準(IFRS)』 あらた監査法人・PwCアドバイザリー株式会社=共編/税務研究会出版局/2009年3月

▼『なるほど図解 IFRSのしくみ』 あずさ監査法人 IFRS本部=編/中央経済社/2009年3月

▼『IFRSの経理入門』 監査法人トーマツ=編/中央経済社/2008年10月


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ