SCOR(えすしーおーあーる) 情報システム用語事典

supply-chain operations reference-model / サプライチェーン活動参照モデル

» 2007年06月11日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 部門や企業をまたがるSCMを実現するため、業種を超えて相互運用できるように共通のフレームワークとして作られた、サプライチェーンのオペレーションに関するプロセス参照モデルのこと。

 サプライチェーンにおける業務の記述ルールを策定したもので、異業種間でプロセスをつなげる場合でもコミュニケーションできるように支援する。このほかプロセス設計や改善の検討、ベンチマーキング、プロセスの測定・診断にも利用できるよう、多機能な枠組みになっている。

 1980年代後半から1990年代半ばにかけて、欧米のグローバル企業は積極的にSCMに取り組むようになっていたが、異業種を含む異なった企業体が相互にプロセス連携を実施しようとすると、業務プロセスの粒度や表現、用語などがばらばらで、評価指標の基準もないため、業務プロセスの理解に時間がかかったり、プロセスの比較や改良ができなかったりという問題が発生した。

 そこで米国の調査会社AMR Researchとコンサルティング会社PRTMが中心となって欧米の有力企業約70社とサプライチェーン・カウンシル(SCC)を結成、標準プロセスの定義を行い、1996年末にSCOR 1.0として公開した。以後、SCORは頻繁にバージョンアップを繰り返し、2007年6月現在、最新版はVersion 8.0(英語版)である。

 SCORモデルは、サプライチェーン全体の業務プロセスを「レベル1:トップレベル」「レベル2:コンフィギュレーションレベル」「レベル3:エレメントレベル」の3段階で順に詳細化する。レベル4以下にプロセスをさらに詳細にしたタスクやアクティビティも想定されているが、これはSCM実践各社が実現するものであり、SCORの範囲外である。

 レベル1では、自社(組織)の対象領域やプロセスの構成を定義する。これは、Plan(計画)、Source(資源・調達)、Make(製造)、Deliver(配送)、Return(返品)の5つの主要マネジメントプロセスで構成される。

 レベル2はレベル1のそれぞれを詳細化したもので、「プロセスカテゴリー」と呼ばれる。このレベルでは、計画(Planning)、実行(Execution)、管理(Enable)の3つのプロセスタイプによってプロセスを詳細に記述する。

 レベル3ではさらにレベル2を掘り下げ、その「プロセスエレメント」(活動要素)を定義する。「入力→要素→出力」といった形で、具体的なワークフローやデータフローを表現していく。

 SCORの特徴は、このようなプロセス記述に加えてメトリクス(評価指標)が体系的に定義されていること、ベストプラクティスが提示されていることで、業績評価やベンチマーキングが行えるよう設計されている。

 SCORモデルの利用はSCCメンバーに限定されているが、SCCはベンダニュートラルな非営利団体で、製造・物流・流通業などのSCM実践企業が主体的に活動している。SCORは、SCCメンバー企業が実際にSCM活動の中で実践した結果をフィードバックする形で開発されており、現在も改訂が続けられている。またSCCでは、SCORをANSI(米国規格協会)ないしISO(国際標準化機構)で標準化することを検討している。

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