telecosm / テレコズム
光ファイバなどの通信技術によってネットワークのブロードバンド化が進み、大量のトラフィックが行き来するという現実に規定される社会・経済的パラダイムのこと。
未来学者・技術評論家のジョージ・ギルダー(George Gilder)の造語で、マイクロチップの登場と集積度向上に立脚する社会・経済的パラダイムシフトを「マイクロコズム」と呼んだのに対して、ネットワーク帯域の爆発的増大によってもたらされる大変化を「テレコズム」と呼んだ。
1990年代半ばにインターネットが一般に普及し始めるが、ギルダーはそれ以前から従来は希少資源であった通信帯域が豊富で安価なものとなり、利用もますます増え、そうした需要増に対してさらに豊富に帯域が提供されると主張した。通信インフラを利用者が好きなだけ使えるようになることによって、利用者や利用回数が増えれば情報通信ネットワークはますますその価値を高めるとして、「テレコズムの法則」(メトカーフのテレコズムの法則)を提唱した。
また彼は「豊かな資源を使って不足する資源を節約する」という経済原則から、マイクロコズムではムーアの法則から有り余るトランジスタ資源を浪費していたが、テレコズムではギルダーの法則によって帯域を浪費することが鉄則になると主張している。
著書『Telecosm』(2000年)では「テレコズムの20の法則」を挙げているが、それによると「ネットワークがコンピュータになる。コンピュータは分解してネット上にちらばり、ソフトウェアは分解してネット上のコンポーネントになる」「(ネットワークでは)より優れたディレクトリが必要とされるので、そうしたディレクトリを提供する企業が成功する」「テレビの衰退」などを予言している。
▼『テレコズム』 ジョージ・ギルダー=著/葛西重夫=訳/ソフトバンク パブリッシング/2001年11月(『Telecosm: How Infinite Bandwidth Will Revolutionize Our World』の邦訳版)
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