ユニバーサルデザイン

UD / universal design / 万人共通設計


 健常者と障害者・高齢者を区別せず、すべての人が公平に使えるような製品や建築物、生活環境を実現しようという設計思想、設計指針のこと。また、こうした考え方に沿って行われるデザインをいう。

 アクセシビリティやバリアフリー・デザインの批判的対概念として登場してきたもので、バリアフリーが障害の存在を前提にその解決、解消を目指すものであるのに対して、ユニバーサルデザインは障害の有無を前提とせずにできるだけ多くの人――できればすべての人がそのままで“使いやすい”と受け入れることができるデザインをいう。

 しかし、これは「(現時点での)障害者のためのデザイン」ではなく、「(将来の障害者・高齢者を含む)すべての人のためのデザイン」であり、それまでの慈善や福祉、障害者支援などの視野を超えた思想である。障害者・高齢者以外にも性別、能力、文化、国籍、人種など、あらゆる差異を克服するというニュアンスもあり、差別反対の社会思想、社会運動という側面もあるといえる。

 ユニバーサルデザインの具体例としては、都市環境ならばピクトグラム(絵文字)と多言語表記による案内表示、建築物では多目的トイレやレバー式ドアノブ、日用品ではテレホンカードの切り込みなどが挙げられる。

 このコンセプトは建築家・工業デザイナーで米国ノースカロライナ州立大学教授のロナルド・メイス(Ronald L. Mace)氏を中心に唱えられた。自身も障害者として車いすを使っていた同氏は、1970年代半ばからANSI(米国基準協会)の「ASA A117.1A − 身体障害者にアクセスしやすく使用しやすい建築・施設の建築に関する米国基準仕様」の改定作業にかかわり(1961年施行、1980年改定)、この中でユニバーサルデザインの考えを発展させたとされる。メイス氏自身は、文字としてユニバーサルデザインという言葉を用いたのは1985年だと述べている。

 1990年には、ノースカロライナ州立大学デザイン学部にユニバーサルデザイン・センターが創設され、ここでユニバーサルデザインは、「すべての人にとって、できる限り利用可能であるように、製品、建物、環境をデザインすることであり、デザイン変更や特別仕様のデザインが必要なものであってはならない」と定義されている。また同センターは、以下の“ユニバーサルデザインの原則”をまとめている。

原則1: 公平な利用
原則2: 利用における柔軟性
原則3: 単純で直観的に利用できる
原則4: 必要な情報がすぐに認知できる
原則5: 間違いに対する寛大さ
原則6: 身体的な努力の最小化
原則7: アクセスしやすいスペースとサイズ

 1992年には、米国NEC財団の資金援助によって、ユニバーサルデザイン教育プロジェクトが開始され、1998年にはユニバーサルデザイン国際会議がニューヨークで開かれ、世界的なムーブメントとして広がりを持つようになった。

 
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