ユーティリティコンピューティング

utility computing


 コンピュータ利用形態の1つで、コンピュータリソース(CPU、メモリ、ソフトウェアなど)をサービス提供者が一括してプールし、それをユーザーの求めに応じて、必要なときに必要な量を提供すること。それを支える技術、ないしビジネスモデル(課金形態)を指すこともある。

 ここでいうユーティリティとは、電気・ガス・水道・電話などの公共サービスのことで、電気の利用者が個別に発電機を用意せずに電気が使えるように、コンピュータの機能をユーザーがハードウェアやソフトウェアなどの設備を設置することなく、回線経由で使えるような利用形態がユーティリティコンピューティングである。

 コンピュータの遠隔利用に関する構想は古くからあり、ジョン・マッカーシー(John McCarthy)は1961年、マサチューセッツ工科大学(MIT)の創立100周年記念講演で、電話システムを引き合いに将来のコンピュータ像を語り、「コンピュータ・ユーティリティは新たな重要産業の基礎となるかもしれない」と述べている。マッカーシーが提案したTSS技術が利用可能になる1960年代後半には、ユーティリティコンピュータ事業に参入する企業が相次いだが、当時はまだ市場が大きくなく、1970年ごろにブームは去った。このとき、多くの事業者が倒産・撤退したが、一部はVANの名称で生き残った。

 日本でも処理能力の時間貸し事業やアウトソーシング事業を行う計算センター事業者が多数登場し、1990年代後半になるとiDC(インターネットデータセンター)事業者がレンタルサーバやホスティングなどのサービスを提供するようになった(ただし、これらをユーティリティコンピューティングと呼ぶことはあまりない)。

 近年、リソースの動的な変更・調整が可能な各種技術(グリッドコンピューティング、オートノミックコンピューティング、仮想化プロビジョニングSOA)が具体化してきたこともあり、新たに注目のキーワードとなっている。

 言葉の定義としてはASPなどのソフトウェア提供サービスも含まれるが、一般にユーティリティコンピューティングといった場合、CPU/メモリやストレージなどのハードウェア資源の提供を指すことが多い。

参考文献

  • 『コンピュータ・ユティリティ――その技術と展望』 ダグラス・F・パークヒル=著/藤井純=訳/竹内書店/1969年(『Challenge of the Computer Utility』の邦訳)
 
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