仮想アプライアンス(かそうあぷらいあんす)情報システム用語辞典

virtual appliance / バーチャルアプライアンス

» 2010年08月14日 00時00分 公開

 ハイパーバイザなどの仮想環境で、目的のアプリケーションがすぐに使えるようにあらかじめ構成してあるソフトウェアのこと。

 アプリケーションソフトウェアを仮想環境で使う場合、仮想マシンが瞬時に提供されたとしても事前に適切な準備がなければ、まずOS(ゲストOS)をインストールして各種の設定を行い、必要に応じてミドルウェアをインストールし、それからアプリケーションのセットアップを行う必要がある。これは物理マシンを使った場合と同じである。

 こうしたインストールやセットアップの手間を省く方法にアプライアンス(物理アプライアンス)がある。これは目的のアプリケーションを含めて、必要なソフトウェアがあらかじめ組み込んであるコンピュータのことで、設置して起動するだけでアプリケーションが利用可能となる。

 このアプライアンスのコンピュータ(物理マシン)とソフトウェア(OSやアプリケーション)を仮想化技術を使って切り離し、ソフトウェアの部分だけを切り出したものが「仮想アプライアンス」だといえる。これは仮想化ソフトウェアをターゲット・プラットフォームとしたシステムイメージであり、セットアップ済みのソフトウェアシステムなので仮想環境にデプロイするだけで即座に利用可能となる。

 アプリケーションソフトウェアを提供するベンダとしては、顧客の環境がOSベースのときはOSごとに異なるバージョンを開発する必要があったが、仮想アプライアンスならばOSを含む形での提供となるので、OSの違いに対応する労力は最小化される。OSやミドルウェア、開発/実行環境に自社開発のものやマイナーな環境を使うことも容易となる。

 ユーザーとしても通常のソフトウェアに比べるとセットアップの手間が低減でき、従来型のアプライアンスに比べるとハードウェアを選ばないのでその分、コスト減が期待できる。

 仮想化標準化団体DMTFが提案する仮想マシン・イメージフォーマット形式の標準であるOVF(Open Virtualization Format)が普及すれば、仮想化ソフトの違いを超えて仮想イメージファイルをやりとりできるようになるので、パッケージソフトウェアの提供形式は仮想アプライアンスが一般化するかもしれない。

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