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» 2002年04月02日 00時00分 UPDATE

Windowsユーザーに教えるLinuxの常識(10):Linux起動の仕組みを理解しよう[init/inittab編] (1/2)

カーネルが呼び出されてからログインプロンプトが表示されるまでの間に、一体どのような処理が行われているのか。これを理解するには、この部分の全般をつかさどるinitとその設定ファイルであるinittabがカギとなる。

[関野史朗,@IT]

 Linuxが起動するまでの流れや、起動に際して使用されるファイルについて知っておくことは有益でしょう。そこで、今回と次回の2回に分けて、Linuxの起動の仕組みを紹介します。説明の都合上、用語の説明が多少前後するところもありますがご了承ください。

Linux起動の流れ

 まず、Linuxが起動するまでの大まかな流れを概観しておきましょう。

 マシンの電源をオンにすると、BIOSが起動して制御をハードディスクのMBRなどに移管します。Linuxの場合、MBRに書き込まれているブートローダ(LILOやGRUB)を起動し、このブートローダからカーネルを呼び出すのが一般的です。今回、BIOSからカーネルの起動までには深入りしません。とにかく、何らかの方法でカーネルが動き出した後からを追うことにします。

 カーネルが起動された後の流れを挙げると、

  • 各種デバイスなどの初期化
  • initプログラムなどの起動
  • ブート時の処理
  • rcスクリプトの実行

といった処理が行われています。

デバイスなどの初期化

 これは、カーネルに組み込まれた、あるいはモジュールとしてロードしたデバイスドライバを使って行います。各種デバイスの中には、電源投入直後の動作が不定と決まっているものがあります。いずれにしても、実際に利用する方法に合うように設定を変えなければなりません。例えば、シリアルポートなら通信速度、画面ならば表示モードといった部分です。

initプログラムなどの起動

 Linux上のプログラムとして最初に実行されるのは、initプログラムです(編注)。initプロセスは、psコマンドで必ずPIDが「1」と表示されます。

$ ps ax
  PID TTY      STAT   TIME COMMAND
    1 ?        S      0:04 init
    2 ?        SW     0:00 [keventd]
(中略)
  493 ?        S      0:00 /sbin/dhcpcd -n eth0
  580 ?        S      0:00 syslogd -m 0
(中略)
  890 ?        S      0:00 crond
  954 ?        S      0:00 xfs -droppriv -daemon
 1103 tty2     S      0:00 /sbin/mingetty tty2
(中略)
21157 ?        S      0:00 smbd -D
21162 ?        S      0:01 nmbd -D
(中略)
32610 ?        S      0:00 /usr/sbin/sshd
32611 pts/0    S      0:00 -bash
32646 pts/0    R      0:00 ps ax
psコマンド実行例。initがPID 1として表示されているのが分かる

 Linux上で動くすべてのプログラムは、このinitプログラムから実行されます。ユーザーが実行するプログラムはシェルから実行されますが、そのシェルも元をたどればinitから実行されたプログラムです。そのため、親子関係になぞらえて「initはすべてのプロセスの親である」と表現したりします。

編注:厳密には、initの前にPID 0の「アイドルプロセス」が起動される。

コラム 「悪魔」ではない「デーモン」

 デーモンといっても、悪魔(demon)ではなく守護神(daemon)なので、本当は「ダイモン」と発音すべきなのでしょうが、慣例的にデーモンと発音するようです。


 initに続いて、キャッシュマネージャやスワップを制御するプログラム、ハードディスクへのデータ書き込みを制御するプログラムなどが実行されます。こうした、縁の下の力持ち的に各種のサービスを提供するプログラムを「デーモン」と呼びます。

initは何をしているのか?

 では、initがプログラムを実行する方法を見ていきましょう。

initの動作を定義するinittab

 initがどのような処理をしているのかは、/etc/inittabを見れば分かります。このファイルは、initが行うべき処理を定義しているもので、各種confファイルのようなものだと考えればよいでしょう。

 /etc/inittabの各行は、

id:runlevel:action:process

という書式になっています。各部の意味は次のとおりです。

id
 エントリの識別子。ユニークな文字列(1〜4文字)でなければならない。

runlevel
 ランレベルの指定で、1から6までの数字が使える。「2345」など、複数を同時に指定できる。省略するとデフォルトランレベルとなる。

action
 プロセスの起動あるいは終了時の動作。actionの内容は表を参照。

action 意味
respawn processで指定したプロセスを起動し、終了したら再起動する
wait processで指定したプロセスを起動し、終了を待つ
once 指定したランレベルへの移行後に1度だけ実行
initdefault デフォルトランレベルの指定
sysinit ブート時に実行するプロセス
powerfail UPSが電源切断を検出したときに実行するプロセス
powerokwait UPSが電源オンを検出したときに実行するプロセス
ctrlaltdel [Ctrl]+[Alt]+[Delete]キーが押された場合
表 指定可能なactionの一部

process
 起動するプログラム。

 構文が分かると、/etc/inittabの各行の意味も理解できるでしょう。

# デフォルトランレベル(ランレベル3を指定)
id:3:initdefault:
 
# ブート時の処理(/etc/rc.d/rc.sysinitを実行)
si::sysinit:/etc/rc.d/rc.sysinit
 
# ランレベルごとの処理(各ランレベル用のrcスクリプトを実行し、その終了を待つ)
l0:0:wait:/etc/rc.d/rc 0
l1:1:wait:/etc/rc.d/rc 1
l2:2:wait:/etc/rc.d/rc 2
l3:3:wait:/etc/rc.d/rc 3
l4:4:wait:/etc/rc.d/rc 4
l5:5:wait:/etc/rc.d/rc 5
l6:6:wait:/etc/rc.d/rc 6
 
# 1度だけ実行される処理(/sbin/updateを実行)
ud::once:/sbin/update
 
# [Ctrl]+[Alt]+[Delete]キーを押したときの処理
ca::ctrlaltdel:/sbin/shutdown -t3 -r now
 
# 電源オフ時の処理
pf::powerfail:/sbin/shutdown -f -h +2 "Power Failure; System Shutting Down"
 
# 電源オン時の処理
pr:12345:powerokwait:/sbin/shutdown -c "Power Restored; Shutdown Cancelled"
 
# 端末制御(ランレベル2〜5で/sbin/mingettyを実行。終了されると再実行)
1:2345:respawn:/sbin/mingetty tty1
2:2345:respawn:/sbin/mingetty tty2
3:2345:respawn:/sbin/mingetty tty3
4:2345:respawn:/sbin/mingetty tty4
5:2345:respawn:/sbin/mingetty tty5
6:2345:respawn:/sbin/mingetty tty6
 
# ランレベル5時のログイン処理(/etc/X11/prefdmを実行。終了されると再実行)
x:5:respawn:/etc/X11/prefdm -nodaemon
/etc/inittabの例(環境やディストリビューションによって詳細は異なる)

 /etc/inittabには、initの実行から各種デーモンの起動を経て、ログインプロンプトが表示されるまでの処理が記述されているのが分かります。詳細は後述するとして、大まかな流れを挙げると、

  • ブート時の処理を行うスクリプトの実行
  • ランレベルに応じたスクリプトの実行
    actionにwaitが指定されているので、スクリプトの実行が終了するまで待つ
  • 端末制御
    ログインプロンプトを出す。actionにrespawnが指定されているので、終了(ログオフ)された場合は再実行(ログインプロンプトを出力)する

といったことを行っています。

ブート時の処理

 Red Hat Linux 7.2では、ブート時に/etc/rc.d/rc.sysinitというスクリプトを実行するようになっています。/etc/inittabの、

# System initialization.
si::sysinit:/etc/rc.d/rc.sysinit

という行で定義されています。ざっとその内容を見ると、

  • ネットワークの初期化
  • ホスト名の設定
  • Welcomeバナーの表示
  • /procファイルシステムのマウント
  • カーネルパラメータの設定
  • クロックの設定
  • keymapの読み込み
  • システムフォントの読み込み
  • スワップの有効化
  • USBの初期化
  • 必要に応じてfsckの実行
  • quotaの有効化
  • ハードディスクパラメータの設定
  • カーネルモジュールの読み込み
  • RAIDデバイスの組み込み
  • ファイルシステムのマウント

といった処理が行われています(編注)。これらの処理を行った後、指定されたランレベルに対応したrcスクリプト群を実行して、ログインプロンプトを出すことになります。

編注:ほかにも多くの処理が行われている。詳しくは/etc/rc.d/rc.sysinitを参照。

起動後の仕事

 ブート完了後にinitが行うことは、親プロセスを持たなくなったプロセスと端末の制御があります。

 プロセスは自分自身が_exitシステムコールを実行し、親プロセスがwait系システムコールを実行することで初めて終了します。ところが、何かの拍子に親プロセスが止まってしまったりすると、_exitしたまま永遠にwaitを待つことになります。こうしたプロセスを探して、本来の親プロセスに代わってwait系システムコールを実行するわけです。

 端末制御は、/etc/inittabの記述に従って、各端末(仮想端末を含む)に標準入出力やエラー出力を割り当て、gettyと総称されるプログラムを起動します。このgetty(Red Hat Linux 7.2ではmingetty)がログインプロンプトを出し、ここでようやくユーザーがログインできるようになるわけです。

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