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» 2002年04月24日 00時00分 UPDATE

PCと腰痛・肩こりの因果関係と対策:PCと腰痛・肩こりの因果関係と対策

[加山恵美,@IT]

エンジニアの敵、腰痛・肩こり

お話を伺ったセサモイドカイロプラクティックオフィスの仲井光二先生。米クリーブランド カイロプラクティック大学卒業。米国公認カイロプラクター、カリフォルニア州公認カイロプラクター、米国カイロプラクティック協会公認スポーツトレーナー。連絡先は本記事の最後の囲みを参照のこと お話を伺ったセサモイドカイロプラクティックオフィスの仲井光二先生。米クリーブランド カイロプラクティック大学卒業。米国公認カイロプラクター、カリフォルニア州公認カイロプラクター、米国カイロプラクティック協会公認スポーツトレーナー。連絡先は本記事の最後の囲みを参照のこと

 これを読んでいるあなたは、何時間その姿勢でいますか? 人間が同じの姿勢を保つ筋肉は30分しかもたないそうです。それ以上同じ姿勢を続けていると、知らず知らずのうちに体を痛めることになるのです。

 エンジニアでも、そうでなくても、パソコンに長時間向き合い、同じ姿勢を続けるのは体に良くありません。客先巡りのサポートや営業で、少しでも動き回る機会があればまだよいのですが、プログラムや仕様書のために画面を注視したままでいるのは、どんなに健康でタフな人でも無理がきます。

 どのオフィスでも、個人の机にパソコンがあるのと同様に、肩こり対策グッズも個人の席や周囲に必ず1つは常備されていませんか? しかし、パソコンに向かうのが体に悪いと分かっていても、パソコンに触らないと仕事になりません。そこで今回は、パソコンに向かう姿勢が体にどう影響を与えるのか、どんなストレッチが効果的なのか、セサモイドカイロプラクティックオフィスの先生に聞いてみました。

同じ姿勢を長時間続けると

 冒頭でも述べましたが、姿勢を保つ筋肉は、通常では30分までしかもちません。それ以上机に向かっていると、次第に姿勢が崩れ、悪い姿勢のままで机に向かうことになります。具体的には、最初は背筋を伸ばして座っていても、時間が経つにつれ腰が曲がったり、画面に顔を近づけるために首が前に倒れたりしてきます。不安定な姿勢では体を支えるために無理な力がかかります。重い体を部品と考えて、バランスの悪い体勢では力学的に無理な力が働くことは想像できると思います。バランスが悪いとプラモデルは倒れます。人間は、体が倒れないように、筋肉が引っ張って支えているのです。

 指を1本つかんで、それを手の甲の方に倒してみてください。どこかで痛くなるはずです。これは神経が警告を出し、無理な姿勢であることを伝えようとしているのです。このように、無理な体勢には警告を出す機能が人間には備わっているのですが、悪い姿勢が習慣化してしまうと、神経が警告を発しても、まひして機能しなくなってしまいます。そのため、常に腰を曲げた状態でも座れるようになってしまいますが、その代わり、知らないうちに体の内部では「小さなねんざ」が繰り返され、体を痛めているのです。それが腰の場合であれば腰痛になるのです。

傾向と対策

 それでは各部位ごとに、どんな危険があり、どんな対策を取ればいいのかを見ていきましょう。

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 なんといってもパソコンに向かう姿勢で一番悪影響が出やすいのが腰です。長時間だとどんな人でも知らないうちに腰が弧状(弓状)に曲がります。必ず一定時間ごとに席を立ち、腰を後ろに反って伸ばすようにしましょう。

 「腰が悪くて後ろに反ることなんてできない」と思う人ほど、腰や背中を反るようにしてみてください。もちろん、無理をしてはいけませんが。ウエストの後ろに手を当て、腰の部分を反るようにします。自宅で、うつ伏せになって手を付き背中を反るのもいいでしょう。

 以前は、腰痛になると腰を曲げたままにしていることが一般的でした。「腰を痛めたから」と、ふかふかのよいイスに包まれるように座る人もいました。しかし、これは場合によっては逆効果です。最近では腰痛対策は「反ること」の方が重視されています。反って、曲がった腰を正常の状態に戻すことが腰痛対策、腰痛予防になります。

 また、座っていて腰が曲がらないように背中にクッションを置くのもいいでしょう。ただし、背中の部分に当ててください。腰の低い位置に置くと、背中が曲がって効果はありません(図1)。

図1 イスにクッションを置くときは背中に 図1 イスにクッションを置くときは背中に
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 画面を見つめていると気付かぬうちに、腰だけではなく、背中から頭にかけても弧状に曲がっていきます(図2)。視力が弱くて画面に近付いたり、ノートパソコンで常に視線が下に向いたりしていませんか?人間の頭は意外と重いのです。個人差はありますが、体重の1割程度、約5〜7kgといわれています。ボーリングのボールのように重たいのです。これが首の真上に乗っていればいいのですが、前に傾いた状態になっていると、その重さを首や肩の筋肉が落ちないように引っ張っているのです。これが、肩こりや頭痛の原因となります。

図2 典型的な悪い姿勢。頭、首、背中、腰で弧を描いてしまっている 図2 典型的な悪い姿勢。頭、首、背中、腰で弧を描いてしまっている

 頭の位置は人間を横から見て、肩の端の骨と耳の穴を結んだ線が垂直であるのが理想です。これよりも前に倒れないようにしてください。頭が落ちないように、またはあごが出ないように、気を付けましょう。パソコンのディスプレイはイスに座った高さと同じか、少し低い位置にあるのが理想的です(図3)。

図3 肩の端の骨と耳の穴を結んだ線が垂直であるのが理想 図3 肩の端の骨と耳の穴を結んだ線が垂直であるのが理想

 また、肩が上がっていても肩こりの原因となります。キーボードをたたくときに肩が上がっていないか気を付けてください。イスを高くしてみるのもいいでしょう。ただし、背が低い人ではあまりイスを高くすると、今度は足が床に付かなくなります。そうすると、太股は足という「おもり」をぶら下げることになり、圧迫されて血行が悪くなり、結果として太股がしびれたりひざが痛くなったりします。足が浮くなら下に台を置いてみてください。

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 手首は甲の方が上がっていると、いくつかの神経に負担がかかり、悪化すると腱鞘炎になります。そのため、マウスは手首があまり上がらないようなものを選びましょう。ほかにも、マウスの持ち方を工夫したり、マウスを持つ手の手首のところに何かを置くのもいいでしょう。また、自分から遠い位置でマウスを操作しないことです。気が付くと手を伸ばしてマウス操作していることがありますが、ひじが曲がる範囲で操作しましょう(図4)。

図4 マウスを持つときは、手首がまっすぐになるようにする 図4 マウスを持つときは、手首がまっすぐになるようにする

 それからパソコン初心者だと、特にクリックが慣れるまでは緊張して肩などに力が入ってしまうことがあります。緊張すると肩こりになりますから、軽くクリックができるようにしましょう。

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 大量にログを出すコンソールなど、激しく移り変わる画面を見ていると、目が付いていけずに疲れてしまいます。激しく動く画面はあまり見つめないようにしましょう。

 目は症状によって対処が異なります。充血していれば冷やす、目の奥が痛ければ温めます。充血していたら血行を抑えるために冷やします。奥が痛いときは緊張して血行が悪くなっているので、温めて血行を良くします。

サプリメント

 さまざまなサプリメント(健康補助食品)が出回っていますが、何が効果的でしょうか。もちろん栄養素は食物からとるのが理想的ですが、足りないならサプリメントから補給するのもいいでしょう。大量摂取しても余った分は排出されるようなもの(ビタミンCなど)は問題ありませんが、ほかのものはよく選びましょう。マルチビタミンのように手当たり次第飲むのではなく、何が必要なのか薬剤師や医師と相談して、自分の体に必要な要素をよく選んでからとるようにしてください。


お勧めストレッチ

お勧めストレッチを図でいくつか紹介します。 ここで紹介するストレッチは、いままで述べたような悪い姿勢で痛めた体に効果があります。

腰:腰の後ろに手を当てて後ろへ反る 腰:腰の後ろに手を当てて後ろへ反る
 首:あごを手で後ろへ押す 首:あごを手で後ろへ押す
腕:腕を壁に手を掛けて反る 腕:腕を壁に手を掛けて反る
手首:ウルトラマンのポーズをする 手首:ウルトラマンのポーズをする

 そのほか「気持ちが良ければ」どんなストレッチでも構いません。ストレッチの効果を高めるには、「気持ちが良い範囲でゆっくりやること」です。息を止めず、痛くなるまで無理にやらないでください。息は、前に倒すときは「吐き」、後ろに反るときは「吸う」ようにします。これは呼吸時の筋肉の動き方によるものです。

 また、ひねるストレッチには注意してください。ひねることは体のどの部位でも危険が伴います。ゆっくり行うなら大丈夫です。急激または無理にやると、痛める危険性があります。

 私個人の体験としても、ストレッチは大切な習慣です。もともとバレエやダンスをしているのですが、数年前から原因不明の足の痛みに悩まされました。当初はバレエで無理に足を開いたのがいけなかったのだろうかと思っていました。しかし、足の痛みはダンスが原因ではなく、パソコンに向かう職業(当時エンジニア)で腰に負担がかかっており、腰からつながった股関節の周辺の筋肉に影響を与えたことにより、足が痛くなっていたのです。当時はダンスをやめることも考えましたが、やめずに済んで本当によかったです。いまでは、「すべての元凶は腰だ」と分かり、腰を重点的にストレッチして、硬い体も徐々に柔らかくなってきているようです。

ゴルフや温泉で腰痛が治らないワケ

 ゴルフで体を動かしたり、温泉で体を温めたりすることは、ともに血液の循環を良くするので体には良い効果があります。体に良いことをしているのに、逆に不健康になってしまうことがあります。それは今回の姿勢について考えれば、何が原因か分かります。ゴルフや温泉で体を温めた後が問題なのです。その後の宴会?いえいえ、少量の酒ならまだ体の血行を良くするので、これも問題ありません。

 例えばゴルフ。せっかく運動して体の状態が良くなったのに、帰りのドライブや列車での長旅が問題となります。長時間の運転や列車での移動は、まさに今回のパソコンに向かう姿勢と同じです。腰を曲げたりしていませんか?渋滞に巻き込まれたりすれば、より長時間腰を曲げていることになります。実は、ゴルフをすることで(その後アルコールなどを飲めばなおさら)、普段よりも体が柔らかくなっているので、いつもより無理な姿勢ができるのです。それによって、いつもより体を痛めやすいのです。

 温泉も同様です。体を温めても温泉旅行には宴会がつきものです。飲酒はいいにしても、長時間あぐらをかいて腰を曲げて宴会するのが腰に悪いのです。せっかく良くなった腰痛が、これでは逆戻りです。宴会はせめてテーブル席で、長居せず、すぐに眠ってしまえばいいのです。後の帰り道の注意はゴルフの場合と同じです。

 仕事中は長時間パソコンに向かいすぎないように注意して、たまに今回紹介したストレッチを試してみてください。それでもどうしても治らない症状に悩まされているなら、今回取材で協力していただいたようなカイロプラクティックなどに相談してみるのもよいでしょう。

■取材協力 セサモイドカイロプラクティックオフィス

■連絡先

東京都渋谷区代々木2-10-8 出雲ビル6F

電話:03-3375-6350


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