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» 2002年05月09日 10時00分 UPDATE

安藤幸央のランダウン(9):GoogleをWebサービスから利用するAPIの登場

「Java FAQ(What's New)」の安藤幸央氏が、CoolなプログラミングのためのノウハウやTIPS、筆者の経験などを「Rundown」(駆け足の要点説明)でお届けします。(編集局)

[安藤幸央(andoh@dst.nk-exa.co.jp),@IT]

 混とんとしたインターネット、WWW(World Wide Web)の世界に、検索サイト「Google」は1つの解答をもたらしました。探している情報をたちどころに見つけることができるようになったのです。それも怒とうのように押し寄せる情報の波の中から、価値のある砂粒を発見することができるのです。

 米国時間4月11日、Webサービスにとって大きな前進と思われる出来事がありました。「Google Web API」が公開されたのです。いままでユーザーはGoogleのWebページからブラウザを用いて検索を行っていました。Google Web APIによって20億を超えるWebページの情報を活用することが可能になったのです。

 Google Web APIの存在が最初に一般に知れたのはRubyのメーリングリストで関係者が計画を漏らしてしまったことに始まりました。その後、騒ぎが大きくなり皆の期待がピークになったころ、やっと一般公開されたのです。

 現在は試用段階であり、商用サービスに使うことはできません。また、処理できるクエリ数が1人1日1000回、1回につき10件までに制限されています。現在は開発コミュニティーを育てるための段階ということで、個人開発者の非商業利用に限られています。近い将来、有料の大規模商用サービスとして開放されることでしょう。

 Google Web APIを利用するには、Google Account(無料)を取得する必要があります。Google Accountは公開後4日間で約10万人が登録を行ったそうです。その登録数からも、期待の大きさが計り知れます。

Google Web APIの基礎技術

 Google Web APIはアプリケーションからGoogleを利用するためのインターフェイスを公開したものです。Webサービスの標準であるSOAP 1.1(Simple Object Access Protocol)やWSDL(Web Services Description Language)に基づいています。

 この Google Web APIを用いることによってGoogleの持つ検索の仕組み、スペルチェック・スペル修正の仕組み、Googleキャッシュを外部から利用できるようになるのです。

 GoogleからはGoogle Web APIs Developer's Kit(無料)が公開されています。SOAPインターフェイスを用いたJavaと.NETのサンプルが提供されています。またWSDLファイルにより数多くのスクリプト言語で利用することができます。SoapWareのページでは世界中から寄せられたGoogle Web APIのサンプルスクリプトがまとめられています(AppleScript、C、C++、Flash MX、Java、JavaScript、Perl、PHP、PocketSOAP、Python、Ruby、Tcl、VBScript、Visual Basic、etc.)。

 SOAPというとまずはJavaでの利用、.NETでの利用が思い浮かびます。さらにライブラリを整備すればPerlやRubyなどのスクリプト言語でも容易に使えるようになります。多言語で利用できることによって、よりユーザー層が広がることでしょう。

●Perl(SOAP::Lite version 0.52)
http://www.soaplite.com/

●Ruby(SOAP4R)
http://www.jin.gr.jp/~nahi/Ruby/SOAP4R/

●Mozilla SOAP/Google
http://www.scottandrew.com/weblog/googleapi


どんな利用分野がある?

 Google Web APIを用いて、今後数々のサービスの登場が予想されます。まずは Google の持つ基本的な機能「検索、キャッシュ技術、スペル訂正技術」の利用が考えられます。またそれらの機能を高度に組み合わせた利用方法としてGoogleでは以下のようなサービスを予想しているそうです。

  • 情報のモニタリング
    特定のキーワードに対して、新しいページが登録されていないかどうかを探し、通知してくれるエージェントサービス

  • 市場調査
    インターネット上にある情報を比較し、分析、リサーチを行うサービス

  • 非HTMLインターフェイス
    コマンドラインでの利用、携帯端末用、携帯電話用、3次元インターフェイス、音声インターフェイスなど新しいユーザーインターフェイスサービス

  • ゲーム
    Web 上の情報で遊ぶ、革新的なゲーム。言葉遊び、クロスワードパズルなど

APIの公開とともに登場してきたサービス

 早速、世界中の多くの開発者たちが、それぞれのアイデアを実装し始めました。いち早く登場したのはGoogle Box(http://radio.userland.com/googleBox)です。

あるキーワードで1日に1000回の検索を行い、その結果を表示する あるキーワードで1日に1000回の検索を行い、その結果を表示する

 現在ベータ版として公開されているニュースサービスGoogle News (http://news.google.com/)と組み合わせることによってより価値のあるサービスが生まれてくることでしょう。

 SOAPや、各種Webサービスは各所で騒がれつつも、実際の利用方法、価値のあるサービスを具体的にイメージすることは困難でした。Google Web APIの登場はWebサービス全体に一石を投じた大きな出来事であるといえます。前評判ばかりが錯綜(さくそう)し、接続に成功しただけで一喜一憂しているようなWebサービスから、現実での利用へ一歩前進したわけです。またクライアントサイドだけでもさまざまなアイデアを実装し、試用可能なことも意味のあることでしょう。

将来の可能性はどうか?

 Google Web APIは公開されたばかりであり、そのポテンシャルはまだ計り知れません。Google Web APIの公開は、WWW、Mosaic/Netscapeの登場に匹敵する出来事ではないかと考えられます。つまりはWWWに相当するGoogleが存在し、Mosaic/Netscapeに匹敵するGoogleインターフェイスがこれから登場するという期待が持たれます。

 Googleは常に進化しています。現在でも数千台のLinux PCが駆動し、さらに日に何台も追加されているそうです。Google Answers(https://answers.google.com/)という、人による検索サービスも開始されました。いま公開されているGoogle Web APIでは受け身的な利用が主なものです。将来的にはより積極的な利用方法も予想されます。商用のニュースサイト、一般の日記サイトなどが更新されるたびにGoogleに対して新しいインデックス、新しいキーワードを提供することも可能になるかもしれません。

 Google Web APIの利用方法も、Googleインターフェイスが全面に出ているものから、ほかのアプリケーションプログラムとシームレスに動作するものも登場してくるでしょう。近未来を題材にしたSF小説「量子宇宙干渉機」では入力した瞬間に自動的にスペルミスを修正するキーボードが描かれています。ワープロソフトでGoogleの助けを借りながら流行の文章を練り上げる時代もそう遠いことではないかもしれません。

 人が検索するGoogleからコンピュータが検索するサービスへ……。Googleがもたらしたインターフェイスは、Webサービス全体にとっても大きな一歩を踏み出したといえるでしょう。

次回は6月10日の公開予定です。


プロフィール

安藤幸央(あんどう ゆきお)

安藤幸央

1970年北海道生まれ。現在、株式会社エヌ・ケー・エクサ マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元 CG ソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG の情報源となるWebページをまとめている。

ホームページ:
http://www.gimlay.org/~andoh/java/

所属団体:
OpenGL_Japan (Member)、SIGGRAPH TOKYO (Vice Chairman)

主な著書

「VRML 60分ガイド」(監訳、ソフトバンク)
「これがJava だ! インターネットの新たな主役」(共著、日本経済新聞社)
「The Java3D API仕様」(監修、アスキー)


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