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» 2003年10月18日 10時00分 UPDATE

安藤幸央のランダウン(22):Amazon Webサービスの可能性

「Java FAQ(What's New)」の安藤幸央氏が、CoolなプログラミングのためのノウハウやTIPS、筆者の経験などを「Rundown」(駆け足の要点説明)でお届けします。(編集局)

[安藤幸央(yukio-andoh@exa-corp.co.jp),@IT]

Amazon.co.jp日本語版 Webサービス開始

 米国Amazon.comは2002年8月にWebサービスによる情報提供を開始しました。それから約1年後の今年7月、日本のAmazon.co.jpもWebサービスを開始しています。

 Amazonは現在7カ国(8カ国語)で展開しています。米国Amazon.com(英語、スペイン語)、イギリスAmazon.co.uk、ドイツAmazon.de、フランスAmazon.fr、カナダAmazon.ca、オーストリアAmazon.at、そして日本のAmazon.co.jpです。運用はそれぞれの国で行われています。

 米国Amazon.comのWebサービスが運用を開始したときは、まだ世の中にはAmazon.comほどオープンで機能豊富なWebサービスは存在しませんでした。Amazon.comのWebサービスは高機能であるとともに、無料で利用できるため、開始当初から大きな注目を浴びました。

 米国では、サービスが開始されると早速Amazonの品ぞろえを独自にピックアップしたWeb上のオンラインセレクトショップが登場したり、ニュースサイトで紹介されている書籍のAmazonでの情報、購買とのリンクが登場するなど、興味深い利用例が次々と登場したのです。この、Webサービスの活用例としては最先端を進むAmazon Webサービスが、日本にも上陸したのです。

日本語版Amazon Webサービス利用の開発者向け情報源

 Amazon Webサービス(AWS)は無料で利用できますが、条件としては利用のためにトークンの取得が必要です。またAmazonが提供するさまざまなサービスを享受するために、Amazonアソシエイトメンバーになっておくのも得策です。

 Amazon Hacks:100 Industrial Strength Tips & ToolsはGoogle Hacksでご存じの方も多い、O'ReillyのHacksシリーズの書籍です。100種類に及ぶ、効果的利用方法、裏技などが紹介されています。すでにAmazonを使いこなしていると自負している方にとっても、これから効果的にAmazon Webサービスを利用したい方にとっても、とても有益な本です。

 Amazon Web Servicesフォーラムは、開発者向けの掲示板、ディスカッションボードです。基本は英語ですが、ページの下の方にちょっとだけ日本語専用のフォーラムがあります。

日本語版Amazon Webサービスの利用事例

 日本語版Amazon Webサービスの利用事例には以下のようなものがあります。

  • Amazon Light
    以前からAmazonを書籍やCD専用の検索エンジンとして便利に利用している方も多いでしょう。Amazon LightはAmazonの基本機能のみに絞った軽量・高速のサービスです。Amazon Webサービスの日本語版の登場とともに、Amazon Lightの日本語版も登場しました。Googleのようなシンプルなページ構成が人気の秘密です。
Amazon Light JP Amazon Light JP
  • アスキーデジタル用語辞典
    この用語辞典で語句を検索すると、検索結果とともに、その語句関連の書籍が一緒に紹介されます。用語検索を行い、その後で関連書籍を購入といった一連の流れを誘導する、まさにインターネット的な好例ではないでしょうか。

Amazon Webサービスを手軽に利用するためのツール群

 Amazon Webサービスを十分に活用するにはSOAP/XMLをはじめとするWebプログラミングに長けているに越したことはありません。しかし、簡単なホームページ作成ツールがあるように、Webサービスにも簡単に活用、構築できるツールが存在します。現在はまだまだ英語版のものが多いですが、多少の修正で流用することも難しくありません。これらの数々のツールを目にすると、細かな部分のアイデアに感心するとともに、Webサービス構築ツールだけでも1つのビジネス分野として確立していることに驚きます。

  • Amazon.pl XML
    CGIを利用したセレクトショップ構築ツール/99.95ドル

  • Simple Search
    軽量・高速のAmazon構築サイト。同様の軽量サービスの作成が可能/無料

  • Piranha Feed/AssociatesShop
    PHPでAmazon Webサービスを活用するためのツールキット/39.95ドル

  • Amazon Products Feed
    ある分野のトップ10を常時リスト表示するなどの用途に利用/無料

  • MallSocket
    Amazonを利用したショッピングモール構築ツール/49.95ドル

  • SellerEngine
    Amazonで販売されている商品の価格変動チェックツール/199ドル

  • ScoutPal
    AmazonをPDAや携帯電話から容易に利用するためのサービス/9.95ドルから

一足先を進んでいる米国Amazon Webサービス

 先日、米国Microsoftと米国Amazonの提携の発表がありました。オフィスのドキュメントツール(ワープロ)としては定番のMicrosoft OfficeからAmazonのサービスを直接呼び出したり、検索したりできるようになるそうです。Wordドキュメント内の書籍紹介をクリックするとAmazonの情報と連携したり、ドキュメント内でAmazonの参考文献一覧を引用したりと、シームレスな協調が期待されています。

Amazon Browser Amazon Browser
Soapletプレーヤ Soapletプレーヤ
  • Amazon Flash Search
    検索結果・関連情報を表紙のサムネイル付きでブラウズできるフラッシュ検索

  • Amazon Watson Plugin
    価格変動のチェックなどに用いる、ファイルブラウザタイプの専用ブラウザ

  • All Consuming All Consuming
    Weblog や日記サイトで話題になった書籍を包括して紹介するサイト

Webサービス活用によるオンラインビジネスの可能性

 以前どこかのレポートで読んだ話があります。それは、Amazonのライバルは書店でもなく、ほかのオンラインショップでもないというのです。「顧客の満足度」が一番のライバルだというのです。

 その意味は、Amazonを使えば次の日にすぐ本が届く「1クリック購買」という、とても簡単な操作で手軽に本やCDを買うことができる利便性によって「機会創出」が生み出されるというのです。つまりは手軽さと満足度を提供することによって、いままで頻繁に書籍やCD/DVDを買わなかったような顧客をも引きつけ、より多くの購買に結び付けるというのです。

 聞くところによると、Amazonはこれまでシステム開発に9億ドル以上の資金を投じているそうです。銀行系などさまざまなWebアプリケーションがいったいどれくらいの開発費を投じているか分かりませんが、Amazonの投資が驚くべき規模であることは確かです。Amazon Webサービスの活用、Amazonアソシエイトプログラムの展開によってWebビジネスのループがうまく回り始めている感覚が感じ取れます。

 Webサービスを提供する者、Webサービスを利用する者両方が利益を得るWin-Win(双方共に勝ち)のビジネスモデルが確立してきているといえるでしょう。

次回は11月中旬の公開予定です。


プロフィール

安藤幸央(あんどう ゆきお)

安藤幸央

1970年北海道生まれ。現在、株式会社エクサ マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元 CG ソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG の情報源となるWebページをまとめている。

ホームページ:
http://www.gimlay.org/~andoh/java/

所属団体:
OpenGL_Japan (Member)、SIGGRAPH TOKYO (Vice Chairman)

主な著書

「VRML 60分ガイド」(監訳、ソフトバンク)
「これがJava だ! インターネットの新たな主役」(共著、日本経済新聞社)
「The Java3D API仕様」(監修、アスキー)


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