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» 2003年11月06日 00時00分 UPDATE

転職を阻む意外な落とし穴(4):転職にパートナーが反対したときにどうします?

転職する際に重視することは何か。給料、希望職種、経営者のビジョンや方針、スキルアップ支援など。しかし、いざ転職する場合に、そんなこととは関係なく、思いもよらぬことで転職を断念しなければならないことがある。そんな例を、毎回キャリアデザインセンターのキャリアコンサルタントが紹介する。

[鈴木敦子,キャリアデザインセンター]

 あなたには、パートナーと呼べる方がいるでしょうか。その相手は、妻であったり恋人であったりと、人によってそれぞれ異なると思います。しかし、いずれにせよ、パートナーは非常に重要な存在であるのは確かです。皆さんが転職を考えた際、もしそのパートナーに反対されたら……。その意見を無視して転職に踏み切るのは難しいのではないでしょうか。

 そこで今回は、転職に反対、難色を示すパートナーを納得させるために、どのようなことをする必要があるのか、そんなポイントを紹介したいと思います。

転職先を知らないので反対

 家族の反対理由で最も多いのは、「転職先企業のよさを理解できない」というものです。パートナーの反対に遭った転職希望者のほぼ半数がこのケースです。例えば、ビジネスマンなら誰もが知っている優良企業だが、あまりビジネス経験がない妻は、その企業を知らない、といったことがあり得ます。そこで「そんな訳の分からない会社に行ってどうするの?」となるわけです。

 ビジネス経験がそれほどない方は、企業規模や知名度を会社の良しあしの判断にする傾向があります。しかもその「知名度」の判断基準が非常に偏っています。日常の中で目にするコンシューマ向けの製品やサービスを提供する企業が、「知名度が高い」ことになる場合が多いからです。就職活動中の学生が「就職したい企業」として挙げるのが、こうした企業ばかりなのと同じ理屈ですね。

 この状況を打開する方法としては、転職先の会社に関する情報をできる限り集めること。ただし、財務情報や製品情報ばかりを集めても何の意味もありません。ここで集めるべきなのは、新聞や雑誌に掲載された記事や、業界内の純利益ランキングなど、第三者がその企業を評価している記事や情報です。それらを提示することで、その会社は優良企業なのだ、という証明になるのです(パートナーにとって)。口頭のみで説明するよりも、ぐっと説得力が上がります。

 また、「いまの会社ではなく、なぜ転職先企業でなければならないのか」を明確にすることも非常に重要です。細かな業務の話などをするのは難しく、面倒くさいと感じるかもしれませんが、逆にいえばこのポイントがパートナーに伝わらなければ、納得してもらえる可能性は低くなるでしょう。時間をかけて少しずつ、自分のいまの職務内容とそれに対する不満、またそれが転職によってどう解決するのかを分かってもらいましょう。

転職で引っ越すのは反対

 次は、転職に転居が伴うために反対されるというケースです。大手システムインテグレータなどから転職のオファーが出たのはいいが、プロジェクトの関係で勤務地が地方になるケースも多々あります。家族がいる方はもちろん、独身の方でも恋人から反対されて転職を断念する場合も実際にあるのです。

 このケースでは、パートナーの方は「自分(たち)の生活が大きく変化すること」に嫌悪感や不安感を抱いています。家族そろって引っ越しをしなければならない、子どもが転校しなければならない、遠距離恋愛になってしまうなど、デメリットにばかり目が向いてしまうのです。

 解決法としては、転居という変化が、パートナーにどれだけメリットがあるのかを分かりやすく伝えることです。しかも何げなく継続的に行うことです。

 実際に当社を利用して転職された方で、この方法で説得に成功した方が何人もいらっしゃいます。例えば、内定を出すとしたら、勤務地が長野県になりそうだと面接でいわれた藤本氏(仮名)は、その日からすぐに長野県の魅力を折に触れ、妻に話していたそうです。「蕎麦(そば)がおいしい」「秋は紅葉がきれい」など、ほんのちょっとした情報を何日かに一度は必ず伝えるようにしたというのです。最終的には夫婦で長野に一泊旅行にも出かけ、とうとう妻は「ここに住むのも悪くないわね」、という一言を口にしました。長野の魅力を伝え始めてから2カ月、やっと転居が可能になったのです。

転職するとは知らなかった

 意外と多いケースが、「勝手に転職を決められたために反対する」というものです。転職先が決まるまで一切秘密にし、ようやくオファーを受け、サインをした段階ですべてを話したところひどく怒られ、反対に遭うのだそうです。

 このケースの問題点は、人間としての信頼関係に尽きると思います。転職活動の段階でまったく相談されなかったという事実によって、自分の存在価値を否定されたような感覚になるのです。夫婦や結婚が決まっている恋人同士など、付き合いが深ければ深いほど、「そんな人生の一大事を、どうして一言の相談もなしに、自分1人で勝手に決めてしまうの?」と怒る気持ちは十分理解できる話です。

 解決策としては、転職をしようかと思っている早い段階から打ち明けて、パートナーにもアドバイスしてもらうなど、相手を巻き込んで活動を進めていれば反対に遭う確率は減るでしょう。また、なぜ転職したいのかなどの具体的な夢を語ることで、転職を軽い気持ちで考えているのではないことが伝わり、反対される確率は低くなります。

パートナーが納得せず。そのときあなたは?

 これ以外にもさまざまなケースで反対にあう可能性はあります。そうした場合は、基本的に1日や2日でパートナーを説得することは不可能だ、ということを認識すべきだと思います。早目に意思を伝え、相手の反応を見ながら説得方法を考えていくしかありません。

 ちなみに、もし最終的に納得が得られなかった場合、仕事を選ぶ方とパートナーを選ぶ方、どちらが多いと思いますか? その答えは、たとえ独身の方であっても、圧倒的多数でパートナーを選ぶ方が多いのです。「あくまでも仕事は生活の一部で、パートナーは生活全般にかかわりますから。やっぱり大事な相手なんですよ」と、皆さんが照れながらおっしゃるので、こちらも照れてしまうことが多いのです。

著者紹介

鈴木敦子

青山学院大学教育学科を卒業後、キャリアデザインセンターへ入社。転職誌『type』の広告営業、人材紹介営業を経てマーケティング課へ異動、現在に至る。中途採用人材による企業の活性化を願い、転職希望者の心理を考え続ける日々を送っている。



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