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» 2004年11月11日 00時00分 UPDATE

転職を阻む意外な落とし穴(12):未経験な仕事にチャンレンジするリスク

転職する際に重視することは何か。給料、希望職種、経営者のビジョンや方針、スキルアップ支援など。しかし、いざ転職する場合に、そんなこととは関係なく、思いもよらぬことで転職を断念しなければならないことがある。そんな例を、毎回キャリアデザインセンターのキャリアコンサルタントが紹介する。

[野村健次,キャリアデザインセンター]

転職の理由

 転職をする理由は人さまざまです。その中で、やりたいこと、携わりたい仕事をするために転職をする方も多いでしょう。皆さんは、それを実現できているのでしょうか。

 30代では、それまでの経験を生かした転職が一般的です。しかし、20代のエンジニアにとっては、やりたい仕事=未経験、であることが多いのです。少しでもやりたい仕事に近づくために転職を、ということになるわけですが、転職によって近づけるのかは事前には分かりません。一種の賭けでもあります。そこでトラブルも発生するわけです。ここでは、いくつかのトラブルを紹介します。

ケース1:自分のキャリアプランとは違う方向性へ

 中堅システムハウスに勤めていた東山さん(仮名・27歳)は、それまでさまざまな開発を経験してきていたものの、将来に対する不安から転職しました。将来への不安とは、それまでいたA社が2次請け、3次請けのプロジェクトが中心であったため、上流工程の経験を今後も経験できないのではないか、という点でした。

 東山さんは、転職に当たってもう1つ希望がありました。東山さんは2浪して大学に入学したため、年齢の割に開発経験が短く、少なくともあと3年は開発経験を積みたいと考えていました。

 そこで、より規模が大きく1次請けのプロジェクトも多く手がけるB社に転職したのです。

 ところが入社後、東山さんはコミュニケーション力もあり、クライアントとの交渉なども任せられるような人だったため、あるプロジェクトのリーダーを任せられたのです。人によってはそれをよい話だと考えると思います。しかし、彼の考えるキャリアプランは当面開発経験を積みたいというものでした。プロジェクトリーダーの業務内容を聞いても人員管理や進ちょく管理がメインのようで、開発にはほとんどタッチできない状況のようでした。

ケース2:転職しても状況は変わらず

 大手銀行系のシステムインテグレータ(SI)に勤める高田さん(仮名・29歳)は、当然のことですが入社以来7年間、金融系のプロジェクトを手掛けてきました。彼の悩みは、このままでは汎用系の開発経験しか積めないということでした。汎用系での開発の市場ニーズは次第に低下するのを実感し、このままでは自分の将来はどうなるのだろうと、不安がもたげていました。そのため、よくある話ですが、いわゆるオープン系の経験もしたいと数年前から考えていたのです。

 そこで、高田さんは転職によってオープン系の開発を、ということで転職活動をしたのですが、希望していたオープン系の経験ができる企業はどこもオファーしなかったのです。ただ、最後に面接を受けた企業(基本は汎用系だが、一部オープン系も手掛けている)から内定が出ました。彼は初めは汎用系に希望を出し、オープン系も手掛けさせてもらおうと考え、転職を決断しました。

 しかし、高田さんが入社して手掛けたのは、ほとんどが汎用系のプロジェクトでした。また、オープン系の部署は人気部門で、プロパーで働いている人たちもほとんどがその部門への異動を希望していたのです。そんな中で高田さんは、この新しい会社での評価と信頼関係を一からつくっていかなければならなかったのです。

 そこで高田さんが考えたことは、結果を出して周囲から評価を得られたとして2、3年後になる。しかも、人気部署のためすごい競争倍率だ。これは転職するよりも難しいのではないか……。彼は不安を募らせるとともに、転職したこと自体が正しかったのかどうかを自問自答する毎日です。

2つの事例から分かること

 上記の2つのケースを読み、どう思われましたか。2人とも自分の考える希望どおりには事が運ばなかったわけですが、これらを防ぐために共通していえる2つのことがあります。

(1)面接では自分の描いているキャリアプランを明確に伝える必要がある。

 希望する会社に入りたいということが先行した場合、まずは落とされないことを考え、自分自身の希望をいうことに多少臆してしまうことはよくあります。しかし、それが問題を長期化させる原因となるのです。確かに自分の希望と先方の希望が合致しなかった場合、採用が見送りになることはあるでしょう。ただ、それは問題を未然に防げたということで、双方にとってハッピーだと考えるべきです。

(2)転職を実行するには適切なタイミングがある。

 ケース1の東山さんは、いまできる経験に関しては不満を持っていませんでした。ですからもう少し長くその会社での経験を積んでもよかったかもしれません。あと3年経験を積んでも30歳です。希望の方向に進むのはそれからでも十分です。

 それに対してケース2の高田さんの場合はどうでしょう。転職を意識したのは、数年前からだったようですが、腰を上げるのがちょっと遅くなったようです。未経験の分野に転職する場合は、20代中盤ぐらいまでがよいでしょう。もちろん、20代後半以上になっても、可能性はゼロではありません。しかし、無理をして志望度合いの低い会社に転職するのは賢明ではありません。

著者紹介

野村 健次(のむらけんじ)

広島県出身。大学卒業後、大手住宅メーカーで個人向け営業を4年担当後、転職し大手化学製品メーカーで法人営業を1年経験。その後キャリアデザインセンターへ転職。「自分自身、悩みの連続だった」という転職経験を生かし、人材紹介事業部にて営業とキャリアカウンセリングを担当。ソフトウェア・IT系ベンダなどを得意とする。



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