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» 2004年12月07日 15時29分 UPDATE

一歩上いく英文履歴書の書き方、使い方(4):履歴書のフォント選びは難しい

英文履歴書をより魅力的に、ほかの人と差別化して書くにはどうしたらいいのか。そんな英文履歴書の書き方、使い方を解説しよう。

[福島由美,@IT]

読みやすく美しいフォントを使用する

 今回は英文履歴書に使用するフォント(書体)について解説します。ここで説明するフォントについては、linotypeにアクセスし、左側のサイドバーの上部にあるSearchのボックスにフォント名を入れると見本が出てきます。

 前回(「第3回 美しすぎる履歴書は逆効果?」)説明したように英文履歴書のデザインは非常に重要であり、欧米人の多くがそのデザインに大きな影響を及ぼすフォント選びにもこだわります。

 履歴書のような文章主体のドキュメント向けの欧文フォントには、大きく分けて2種類の書体が用いられます。1つはセリフ(Serif)体、もう1つはサンセリフ(Sans Serif)体です。これらはそれぞれ和文フォントの明朝体とゴシック体に相当するもので、前者の代表的なものにはTimes New RomanやCenturyが、後者の代表的なものにはHelvetica、Arial、Universeがあります。

 一般にセリフ体を使った履歴書は伝統的な印象を、サンセリフ体で書かれた履歴書は革新的・前衛的な印象を与えます。どちらの書体を使用して履歴書を作成しても構いませんが、履歴書のような文書でよく利用するのは、セリフ体の方になります。

 ところで「日本人は、なぜこのフォントを使うのか」と、欧米人には理解できない英文フォントがあります。そのフォントとはCenturyです。そのフォントを日本人が利用する理由は、Windows版の「Word」(日本語版)のデフォルトの欧文フォントがCenturyになっているためです(日本語とのバランスで選ばれたのでしょうか)。

 しかしCenturyで書かれた英文は、欧米人がよく利用するTimes New Romanなどと比べて、洗練されていない印象を与えるうえに、文字をボールドやイタリックにした場合の効果もあまりきれいには出ません。もし、Centuryを使用して英文履歴書を書いているのであれば、Times New Romanに変えた方がよいでしょう。また、英文フォントの設定を変えないでも済むように、最初からWordの英文テンプレートを使って英文履歴書を作成する人もいます。こうすれば英文フォントのデフォルトはTimes New Romanになります。ただし、Wordの英文テンプレートの用紙設定はレターサイズになるので、その点に注意してください。

フォントには歴史と文化がくっついている

 欧米のビジネス文書によく使われるのはTimes New Romanです。これは1930年代にロンドンの新聞「Times」のために作られた活字体ですが、その後一般に発売され世界的に広がったために、現在では歴史や文化を気にしなくてもまず大丈夫です。サンセリフではArialとHelveticaがよく使用されます。 ArialはHelveticaのクローンフォント(つまりは「ソックリさん」)ですが、一般の文書ではHelveticaよりArialの方がよく使用され、ほとんどの欧米人は何も気にせずArialを使っています。

 しかしArialには、Helveticaを販売する会社に金を払いたくない人間が、Helveticaにソックリなフォントを作ってArialと名付けたという事情があります。そのため欧米人でも日本人でも、デザインを職業にしている人の中にはArialの使用を嫌う人がいます。

 次回は履歴書のフォーマットについて解説します。

本記事の更新日、内容について、一部変更をしました。


英文履歴書ワンポイント解説

■技能と業績の要約

 前回(「第3回 美しすぎる履歴書は逆効果?」のコラム「希望職種の記入について」参照のこと)、希望職種の記載について説明しましたが、履歴書の記載においてこの後(希望職種を記入しない場合は、氏名・住所などの後)に続くのは、技能と業績の要約です。

 連載の1回目「第1回 英文履歴書の表現とその理由」で説明したように、技能と業績の要約は必ずしも記入しなければならないものではありません。しかし、最近の英文履歴書の多く、特に中途採用の場合の履歴書のほとんどで、この要約の記入が見られます。また、第1回のコラム「履歴書の構成要素」の中で6番目の構成要素として挙げたスキルも、技能と業績の要約の中に盛り込まれることが多くなっています。

 技能と業績の要約は自己PRの部分であり、その目的は読み手に「履歴書の残りの部分も読みたい」と思わせることです。あまり時間をかけさせずに自分の履歴について最良の判断をしてもらうという、忙しい読み手に対する配慮の意味もあります。この部分の長さはどのフォーマット(フォーマットについては次回に説明します)を選択するかにもよりますが、一般的な年代順の履歴書では、簡潔で力強い言葉を使って3?4つの文で自分の「売り」をまとめます。それではWebサイト「Distinctive Documents」に掲載されているサンプルを見てみましょう。

 上記のサンプルでは具体的なスキルも技能と業績の要約に書き加えており、書き手のGUIデザイナーという職業を考えると、読み手の目に付きやすい要約の中で、しかもフォントをボールドにして目立たせてスキルを列挙したことは効果的です。また、項目の名称に「Executive Profile」という言葉を使っていますが、「Professional Profile」「Profile」「Summary」「Qualifications」などの言葉の中から自分のキャリアに最もふさわしい名称を使います。あるいは、一見して技能と業績の要約だと分かるようにレイアウトを整えて、無題で職歴の前に置いても構いません。

 この技能と業績の要約と、履歴書の主要部分である職歴を効果的に書くためは、自分の経験と実績とスキルについて、インベントリー(棚卸し)のリストを作ることをお勧めします。

 まずは、職務経験に関しては雇用形態を問わず、そして有給・無給を問わず、すべてを書き出します。どの組織のどの部署でどのような職務をいつ担当し、具体的に何を行ったのか。そのときに使ったり新たに身に付けたりしたスキルは何か、そしてどのような実績を上げたのかなどを、過去にさかのぼってじっくり考えて書き出します。数字で示せる実績があればその数字を挙げます。ほとんどの方はこのリスト作りを日本語で行うと思いますが、その際に思い浮かんだ関連する英単語や英語表現をリストの余白にでも書き加えておくと、後で英文を作るときに役立ちます。

 仕事のみならず、学生時代の活動、ボランティア活動、町内会活動、所属する団体における活動などについても、同様にリストに加えます。また、スキルというと技術や資格に目が向きがちですが、コミュニケーションスキルのようないわゆる「ソフトスキル」もスキルのうちであり、しかも汎用性のあるスキルですので、忘れずに書き出しましょう。

 このような作業は1日や2日でできるものではありません。ある程度のキャリアを積んだ人間のインベントリーのリストは、しばしば膨大なものになりますし、この膨大なリストから履歴書という限られたスペースの中に自分の履歴を短時間でまとめるのは至難の業です。このため、厳しい雇用環境の中で働き、また常に新しいチャンスを意識しているネイティブの中には、「3カ月に1度」とか、「プロジェクト終了ごと」といったタイミングで自分のインベントリーのリストに書き加えて、同時に自分にとってのデフォルトの履歴書をアップデートし続ける人もいます。

 さて、技術・業績の要約の記述は、採用側が求める要件に合っていることも重要です。例えばある募集職種の必須要件に次のようなものがあったとします。

  • BA or equivalent job experience(文学士または同等の職務経験)
  • Three or more years' experience in vendor management and operations(3?4年以上の、ベンダマネジメントとオペレーションの経験)
  • Excellent verbal and written communication skills(卓越した口頭および文書のコミュニケーションスキル)
  • Knowledge and experience in the technology industry(テクノロジ業界における知識と経験)
  • Ability to provide strategic direction(戦略的な指示を出す能力)

 自分がこの必須要件に書かれている経験、業績、スキル、知識、能力があることを、技能と要約の中に分かるように記述します。そしてその具体的な証明は、職歴などの記述の中で行います。

 なお、経験が少ない場合や新卒の場合には、技能と業績の要約は書かない方がよいでしょう。直近の職歴の記述と内容の多くが重なる場合も省略した方がよいと思います。また、書き方を誤ると読み手に「この履歴書の全部に目を通すのは時間の無駄」と思わせる結果になってしまうので、記載内容と表現は十分に練り上げてください。


本記事は、「B-zine(ビージン)」(メールマガジン)に掲載された記事を基に加筆、修正したものです


筆者プロフィール

福島由美

外資系メーカー、会議通訳、再就職支援会社勤務などを経て、現在は某大学で非常勤講師としてビジネスコミュニケーション科目群を担当。異文化ビジネスコンサルタントとしても活動中。著書に『異端パワー?「個の市場価値」を生かす組織革新「新しい経営」シリーズ』(共著、日本経済新聞社)がある。



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