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» 2005年08月12日 10時00分 UPDATE

ICカードの基礎知識(前編):知っておきたいICカードのタイプと使われ方 (2/3)

[長谷川晴彦,@IT]

接触と非接触の両方の機能を兼ね備えたICカード

 以上のように、接触型には確実な通信が可能という利点が、非接触型には利用者の利便性が高いという利点がある。両者の特長を同時に兼ね備えたのが「ハイブリッドカード」と「デュアルインターフェイスカード」である。

 ハイブリッドカードは1枚のカード上に接触型と非接触型の2つのICチップを搭載している。一方のデュアルインターフェイスカードは、1つのチップに接触・非接触両方のインターフェイス機能が備わっている。

 いずれもこれまでのICカードよりも、さらに広い応用範囲があるカードとして注目されている。前述したクレジットカードやキャッシュカード機能が付いたSuicaなどはまさにそれで、安全性重視のクレジットカード/キャッシュカード機能は接触で、利便性やスピードが大切な改札機能は非接触でと、1枚のカード上で機能分担を行っている。

ICチップの内部構造

 図3のようにICチップ内部は一般的にCPU、RAM、ROMからなるソフトウェア部と、データを蓄積しておくためのデータ部から構成されている。ICカードはこのような構造が一般的である。

図3 ICチップの内部構造 図3 ICチップの内部構造

 また、カードOSには各社独自のOSを搭載したNativeカードと、汎用OSを搭載したJavaカードMULTOS(マルトス)カードがある。後者はカード作成後にアプリケーションを追加/変更できるようになっている。

 例えば、ICカードの所有者を認証するためにバイオメトリクス認証などを行う場合、チップ内部で登録情報と入力情報を照合するためのアプリケーションを搭載する。このような用途にJavaカードやMULTOSカードが採用され始めているが、基本的には高価なため実際のサービスにはなかなか応用されにくいというのが現状である。

 このようにICカードにはハードウェア面、ソフトウェア面にさまざまな種類があり、その組み合わせによって種類はさらに多岐にわたっている。

日本のICカードは世界標準とは異なる独自路線

 さて、日本では「おサイフケータイ」としてFeliCaが活用されるなど、非接触型カードを使った各種サービスが日常生活に浸透しつつあるため、「ICカード=非接触型」という考え方が主流となっている。しかし、ICカード先進地域であるヨーロッパでは接触型がスタンダードだ。

 もともと欧州のICカードは携帯電話に差し込む「SIMカード(Subscriber Identify Module:加入者識別モジュール)」として普及してきたという歴史がある。通信キャリアと携帯電話端末が日本のように固定化されず、SIMカードを入れ替えることでキャリアや携帯電話端末を自由に変えることができる。非常に便利なシステムの基盤となるSIMカードは接触型である。

【参考:SIMカードって何?】

http://www.nokia.co.jp/phones/about_phones/sim.shtml


 余談であるが、「日本のICカードは世界標準から相当にずれている」という声をICカード関連業界で聞くことがある。接触・非接触の違いもそうであるが、さらに非接触のType別でも日本の選択は確かに独特だ。例えば、住基カードは事実上の世界標準であるType Aを使わず、ワールドワイドではほとんど使われていないType Bを採用している。

 またFeliCa方式は、かつてはType Cと呼ばれたこともあった。しかし、仕様が完全には公開されておらずブラックボックスが多かったために世界標準規格になれなかったという経緯を持つ。

 今後、免許証や保険証、パスポートなどさまざまな公共分野でカードのIC化が推進されていく予定だが、どのような仕様のICカードが採用されていくのかというのは、注目に値するテーマである。

Index

知っておきたいICカードのタイプと使われ方

Page1

接触型ICカードと非接触型ICカード


Page2

接触と非接触の両方の機能を兼ね備えたICカード

ICチップの内部構造

日本のICカードは世界標準とは異なる独自路線


Page3

ICカードの利用のされ方

IC化のメリット


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