連載
» 2006年10月07日 00時00分 公開

ITエンジニアのためのマインドマップ入門(後編):プロジェクトの問題点洗い出しにも使えます (1/2)

[片岡俊行,ゆめみ]

3.マインドマップの応用例(続き)

 前編「マインドマップで『伝わる』プレゼンを」では、マインドマップの基本ルールを説明したうえで、応用としてプレゼンテーションにおけるマインドマップ活用例を示しました。後編に当たる今回は、よりITエンジニアの皆さんの仕事に関連の深い応用事例を紹介します。

3.2 WBS作成

 WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトマネジメントで計画を立てる際に用いる手法の1つです。プロジェクトの成果物を中心に置き、成果物を作るために必要な作業をその下層に配置することで、プロジェクトの構成要素を細分化していきます。ツリー構造の下層にいくに従って、より詳細な作業が定義されます。細分化された個々の部分を構成する一連の作業のことを、通常「ワークパッケージ」と呼びます。

 WBSの作成方法はいろいろですが、1つの方法として、「すべてのワークパッケージを1人だけで作成することはしない」というものがあります。プロジェクトマネージャ1人が推測で作成したものは精度に欠ける可能性がある、実際にプロジェクトを担当する人間が作成にかかわらないのは当事者意識の欠如につながるといったことが理由に挙げられます。たとえプロジェクトマネージャが精度の高いWBSを作成できるとしても、教育の意味で、チームリーダーなども巻き込んだWBS作成を行うことは有用です。

 そして、複数人でWBSを作成する場合、実はマインドマップの利用が非常に有効なのです。マインドマップには全体を俯瞰(ふかん)しやすいというメリットがありますし、マインドマップ作成ソフトウェアで作成すれば、ワークパッケージのグルーピングを画面を見ながら編集できるからです。また、漏れを発見しやすいなど、発想支援の効果もあります。

 具体的な作成方法の1つとして、マインドマップをプロジェクタで映し出し、スキルや立場の違う参加者の意見を聞きながら、その場で入力・修正してWBSを作成するインタビュー形式を挙げておきます。この方法のメリットは、参加者間で合意形成をしながら議論を進めやすいことです。結果として作成されたWBSの精度が上がるだけでなく、その後のプロジェクト進行にも良い影響を与えることになります(図1)。

図1 マインドマップでWBSを作成する(クリックで拡大します) 図1 マインドマップでWBSを作成する(クリックで拡大します)

 マインドマップでWBSを作成する場合の注意点は、マインドマップはガントチャート(線表)を作成するのには適していないという点です。WBSとガントチャートを統合化して管理したい場合には、WBSの作成に別のツールや専門のソフトウェアを活用することが望ましいです。

 つまり、WBSの作成においてマインドマップは、あくまでも複数人で作成するためのコラボレーションツールとして活用することで効果を発揮するということです。その後のWBSベースの進ちょく管理の段階では、別のツールを使うことが望まれます。

 マインドマップの基本ルールとして、連想するキーワードをどんどん書き込んでいくというものがあります。しかしWBSの作成においては、洗い出すワークパッケージはMECE(重複がなく漏れがない)でないと許されないものであり、「マインドマップで洗い出すのだから、思いつくワークパッケージだけ列挙しておけばよいだろう」といった都合のいい解釈をしないことが重要です。

3.3 プロジェクト反省会

 プロジェクトの完了報告として、プロジェクト責任者あるいはプロジェクトマネージャが完了報告書を作成、提出することがルール化されていることは多いでしょう。大きなプロジェクトであれば、プロジェクト解散式などの締めをきちんと行うことは意義あることだと思います。しかしながら、それらと同じぐらい重要なものの1つとして、ここではプロジェクト反省会を挙げておきます。

 プロジェクトの計画・実行を通じて組織や個人が獲得した教訓、問題点、ノウハウを共有するためには、プロジェクト反省会はお勧めです。プロジェクトに関与したメンバーがなるべく全員参加することで、さまざまな事項を共有することができます。

 プロジェクト反省会の実施で最も難しいのは、プロジェクトで発生した問題点や反省事項、教訓をメンバーがおくせず口にできるような雰囲気づくりです。個人攻撃になることを恐れて、発言することが難しく感じる場合もあるかと思います。

 そのようなとき効果的なのが、マインドマップを活用したプロジェクト反省会です。プロジェクタでマインドマップを投影し、全員が画面を共有しながら過去を振り返るという方法は、ファシリテーション上も非常に前向きに進行しやすいものです。リアルタイムに書き込まれる内容を俯瞰することで、過去を客観的な事実として受け止めやすいという利点もあります。

 プロジェクト反省会には一般的な型があるわけではなく、手順や議題をしっかりと決めてフォーマルに実施する場合もあれば、ブレインストーミング形式でインフォーマルに実施する場合もあると思います。参加者が発言しやすい雰囲気をつくるため、あえてインフォーマルな会議体にすることもあるでしょう。しかしインフォーマルといっても、ある程度の型があった方が発言しやすいものです。

 具体的には、プロジェクトの要件定義、設計、開発、テストといったフェイズごとのキーワードをマインドマップの枝として用意しておき、フェイズごとに振り返りを行いながらリアルタイムに内容を記入していく方法があります。問題点ばかり発言するのではなく、良かった点と改善点をバランスを取って洗い出すといった参加者意識も重要になってくるでしょう。ここで、プロジェクト反省会のマインドマップのサンプルを記載しておきます(図2)。

図2 マインドマップでプロジェクト反省会を行う(クリックで拡大します) 図2 マインドマップでプロジェクト反省会を行う(クリックで拡大します)
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