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» 2007年02月20日 00時00分 公開

転職失敗・成功の分かれ道(27):転職の成功を左右する「転機の見極め」

毎日、人材紹介会社のコンサルタントは転職希望者と会う。さまざまな出会い、業務の中でこそ、見えてくる転職の成功例や失敗例。時には転職を押しとどめることもあるだろう。そんな人材コンサルタントが語る、転職の失敗・成功の分かれ道。

[田中真路,キャプラン]

 皆さん、こんにちは。キャプランの田中です。今回は「転職のタイミング」についてお話しさせていただきます。

 ご存じのとおり、終身雇用制度が崩れ始めたことから、これまでの「企業主導によるキャリア構築」から「個人主導によるキャリア構築」「自分のキャリアは自己責任でつくり上げていかなければならない」といった考え方が広まりつつあります。

 私も日ごろ多くのITエンジニアの方々と面談でお話を伺いますが、皆さんがご自身のキャリアと真摯(しんし)に向き合い、深く検討されていることに驚きを覚えることがあります。「キャリアアップを図りたい」「スキルアップできる環境で働きたい」「上流工程に携わりたい」といった動機から、「計画的に」転職を検討される方が増えているように思います。

転職を計画的に考えても成功するわけではない

 しかし、「計画的」であることだけが転職に成功できる要因ではないと私は考えています。

 満足のいく転職を実現させた方からは、その要因の1つとして「タイミングが良かった」とお聞きすることが多いのです。それは「最良のタイミングで行動に移せた」、つまり、「転機の見極め」ができていた、ということではないでしょうか。

 次に「転機」を的確に見極め、転職に成功された2人のケースをご紹介します。

希望の求人が現れるのを待って転職

 AさんはWebサイト制作会社にてWebサイトの構築、運営に従事していました。自動車、食品、メーカー、アパレルなど、多種多様な業種のWebサイトを手掛けてきました。その中でAさんは、今後は大好きな野球やサッカーといった「スポーツ」に特化したWebサイトの構築に携わりたい、との思いが強くなり、転職を検討するようになりました。

 しかし、いざ情報収集を始めてみると、スポーツに特化したWebサイト構築を行っている企業は少なく、Aさんの希望する企業はなかなか見つかりませんでした。

 ここでAさんがスポーツへのこだわりを捨てていれば、現職にとどまるか、他企業への転職を果たしていたかもしれません。しかしAさんは、サッカーのワールドカップのために会社を辞めてしまうくらい無類のスポーツ好きです。理想を曲げてやみくもに動くのではなく、あくまでスポーツにこだわりました。

 現職企業のプロジェクトをしっかり推進しながら、転職サイトに登録したり、求人情報を検索したり、知人に話を聞いたりするなどして、希望する企業・求人が現れるのを待ったのです。

 そして、あるとき「転機」はやってきました。登録していた転職サイト経由で、人材紹介会社から「スポーツ関連のWebサイト構築」の求人案件を紹介されたのです。Aさんは早速応募。これまでのWebサイト構築の経験とスポーツ好きの志向が評価され、応募から2週間というスピートで内定を獲得しました。

部署の消滅を転機ととらえてリベンジ転職

 Web系のシステム開発エンジニアのBさんは、やむを得ない事情で転職活動を始めました。2年前に転職した企業の業績が悪化し、事業縮小のあおりを受けて、所属部署が消滅してしまったからです。

 2年前の転職が初めての転職でした。所属部署はなくなったものの、まだまだその企業でスキルアップを図っていきたいご意向をお持ちでしたし、また転職するとなると短期間で社歴が増えてしまうことにも抵抗感がありました。しかし、会社の将来性に不安を覚え、今回の部署消滅を「転機」ととらえて転職活動を検討し始めました。

 Bさんの志望企業に浮上したのが、2年前の転職活動時に応募し、縁のなかったC社です。これまでのWeb系開発スキルを生かすことができるほか、コンサルティングも含めた上流工程に直接携われる大規模プロジェクトが多いところにとても魅力を感じていました。

 1度目は縁のなかった企業への再応募でしたので、Bさんも大きな期待はしていなかったそうですが、結果は見事内定を獲得。2年前のリベンジを果たしたのです。

重要なことは転職の見極めにあり

 さて、転職サイトで希望する求人にめぐり合えたAさん。やむを得ない事情をポジティブにとらえ、リベンジ転職を果たしたBさん。2人が転職に成功したのはさまざまな要因が挙げられますが、1つ共通していえることがあります。それは「転機の見極め」ができたことです。

 Aさんは、あえて「スポーツ」という分野にこだわり、現職のプロジェクトを進めつつ、積極的に転職情報を収集するなどして、虎視眈々(こしたんたん)とその転機をうかがっていました。そして、人材紹介会社からの求人紹介があったときを、まさに転機ととらえて、迅速な行動で転職を実現できたのです。

 Bさんの場合は、勤めていた企業の予期せぬ事情を転機ととらえ、短期転職であるにもかかわらず、あえて行動に出ました。以前応募して縁のなかった企業の内定を獲得された背景には、2年前の転職時にはJavaのみの開発経験しかなかったのが、転職して.NETのプロジェクトを経験し、ご自身のスキルを広げられていたことがあります。また、2年前と比較してC社の中途採用活動が活発化していたことも偶発的な要因として挙げられます。

転機は計画的なものと偶発的なものがある

 では、おふたりが転機を見極め、転機を逃さなかった要因は何だったのでしょうか?

 それは、(1)焦らずじっくりと転機を待つ忍耐力、(2)転機に備えた日ごろのスキルアップ、情報収集などの布石行動、(3)転機をとらえ、迅速に行動できる柔軟性、だと考えます。

 転機は計画的に起こすものもあれば、偶発的・予期せぬタイミングで突然やってくるケースもあります。転機を逃さないためにも、計画的にキャリアを検討しつつ、別の視点で「予期せぬ転機に対応できる忍耐力・布石行動・柔軟性」を意識してみてください。

 日々のお忙しい業務自体が、次のキャリアへの布石、ととらえられれば、業務に対する姿勢・充実度も変わってくるはずです。また、われわれのような人材紹介会社をはじめ、外部とのネットワークを構築しておくことも、転機を見極める要因の一助となります。

転職を検討される際、本当に「いま」なのか。ぜひ皆さんも「転機を見極める」という意識を持ってみてください。

著者紹介

田中真路(たなかしんじ)

神奈川県横浜市出身。システムインテグレータで営業に従事する中で「キャリア」について深い興味を抱き、人材紹介会社キャプランに転職。前職の経験を生かし、IT関連の営業職、技術職のキャリアコンサルティングを担当。「幸せなキャリアづくりのサポート」を信条に日々、多くのビジネスパーソンと向き合っているという。



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