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» 2008年01月10日 00時00分 UPDATE

OpenSolarisで始めるブログサーバ構築(1):Rollerと始めるOpenSolaris (3/3)

[大曽根明,サン・マイクロシステムズ株式会社]
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OpenSolarisの特徴的な機能

 OpenSolarisは、従来からのSolarisを引き継いださまざまな特徴的な機能を持っています。ここでは、これからの連載に関係が深いと思われる代表的な機能の一部を簡単に紹介しましょう。

Solaris ZFS

 従来、Solarisでは「UFS」(Unix File System)が利用されてきました。これに対し、OpenSolarisで開発されたZFS(Zettabye File System)は、128ビット対応により大規模なシステムに適合し、かつデータの完全性を確保するように設計されています。特に重視されているのは、以下の4点です。

  • データの完全性、安全性
  • 膨大な容量(128ビット)
  • 管理のしやすさ、使いやすさ
  • 圧倒的なパフォーマンス

 例えば、いままで登場したさまざまなファイルシステムでは、ディスクの容量以外に作成できるファイルの数に制限があり、場合によってはファイルシステムの再構成が必要でした。また、データを保護するために、fsckのようなリカバリ機構も必須でした。

 これに対しSolaris ZFSは、新しい発想の設計によってこうした課題を克服しつつ、無限に近いスケーラビリティを確保しています。ZFSの詳細については、今後の連載の中でさらに深く紹介する予定です。

Solarisゾーン

 今日では、リソースの有効活用という観点から、計算機/OSを仮想化する技術が注目を集めています。その中でも異色の存在が、「Solarisゾーン」です。

 Solarisゾーンは、複数のSolarisが1つのマシンで稼働しているかのように見せる仮想化技術の1つですが、その複数のSolaris環境を1つのカーネルで共有しているところが特徴です。カーネルを共有することにより、仮想化におけるパフォーマンス上の負担がほとんどなく、また、システム管理も容易になります。

 Solarisゾーンを使えば、管理上の利便性やセキュリティを高めるために別々のマシンで稼働させていた複数のマシンを1つのマシンに統合することが、効率よく行えます。このとき1つ1つのゾーンは、ほとんどの面において独立した、1つのSolaris OSが稼働する環境となり、独自のIPアドレスを割り振ったり、単独でリブートさせることが可能です。さらに、それを資源管理と組み合わせて運用していくのが「Solarisコンテナ」です。

 なおOpenSolarisでは、ここに紹介していない多くの新機能も次々に開発されています。例えば「xVM」(Xenをベースとした仮想マシン)やNetwork Auto-Magic(nwam:Wi-Fiも含め、接続されている環境に応じてネットワーク構成を自動的に行う機能で、ノートPCなどのモバイル環境で便利)などがあります。

ブログサーバ「Roller」

 OpenSolarisを基にしたSXDEはさまざまな場所で、さまざまな用途で使われています。既存のSolaris向けに作られたアプリケーションを稼働させることはもちろん、Linux向けのものも動作させることが可能です。

 ここでは、そうしたアプリケーションの中から、ブログを取り上げ、SXDEの上で稼働させる手順を紹介したいと思います。

 今日、ブログを書いている人は大変多いと思いますが、実際にブログを載せるためのシステムを構築している人はどれだけいるでしょうか? 社内ブログ、学内ブログなども含めると、思いのほか多くの人が作っているかもしれません。通常、ブログを掲載するシステムを、ブログサーバとかWeblog Softwareなどと呼びますが、オープンソースのものだけでもかなり数多く存在します。

 Solaris上で使われているものも数多くありますが、中でも身近で有名なものとして、サンのブログサイト(http://blogs.sun.com)にも採用されている「Apache Roller」が挙げられるでしょう。もともとは、単に「roller」とか「jroller」などと呼ばれていたソフトウェアが発展したもので、現在では正式なApacheのプロジェクトとなり「Apache Roller」と呼ばれています。

 Rollerは、すべてJavaで書かれていることが特徴です。そのスケーラビリティと安定性はしっかりしており、サンだけでなくIBMも使っています。とはいっても、常に開発途中のものを使う形になるため、少なくとも月に1回程度は更新があります。実際、http://blogs.sun.comの一番下には、

Powered by Roller Weblogger Version: 4.0-dev


と書かれており、どちらかというとテストサイトのような位置付けになっています。

 ブログが人気を集めるようになってから数年はたっていると思いますが、まだまだ発展途上の技術でもあります。新しい試みが次から次へと生まれている現状では、この不安定さは仕方のないことかもしれません。逆にいえば、安定した運営を目指すのか、それとも最新の機能を次々と導入していくような運営をしていくのかという方針を、最初にはっきり決めておいて、実際のシステムの導入、運用をしていかないと、後々やりにくくなるかもしれません。

 さて、サンではhttp://blogs.sun.comをどのように運用しているのか、簡単に説明しましょう。

  • Sun Fire T2000 サーバ2台でApache Rollerを走らせる2台でApache Rollerを走らせる
  • 同じマシンで、Webサーバとして「Sun Java System Web Server」を走らせている
  • インターネットから入っているリクエストは、IPトラフィックバランサーで2台のサーバに割り振る
  • ほかのシステムと共有しているMySQL専用サーバをバックエンドに使っている

 この状態で、Apache Rollerを走らせているSun Fire T2000のCPUやメモリ使用率は、せいぜい10%程度だそうです。実際には、これ以外に認証のシステムなども、MySQLと同様にほかのシステムと共有しています。このシステムで、

ブログ総数: 3829
総ユーザー数: 4285
総エントリ数: 86497
総コメント数: 87130
(いずれも2007年12月5日現在)

の規模を支えています。私の覚えている限り、ハードウェアの障害で落ちたことはなく、またハードウェアによるパフォーマンスの問題もありません。

目指せ、ブログサーバ構築

 この連載ではhttp://blogs.sun.com/を再現する……とまではいきませんが、こういったシステムをSXDEで構築していくうえで必要な手順、技術情報を述べていく予定です。

 最新の技術を使いこなすには、常に変化していくターゲットを追いかけねばなりませんが、それが、ハイテクや最新技術を担っていくものの宿命でもあります。OpenSolarisもApache Rollerも、ほかのオープンソースソフトウェアと同じように常に発展を続けているものですが、それらを効率よく生かし、運用していく方法を紹介できればと思います。


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