いまさら聞けないActiveX&デジタル証明書入門いまさら聞けないリッチクライアント技術(8)(1/3 ページ)

» 2008年01月17日 00時00分 公開
[江原顕雄@IT]

 さて、2008年1発目のいまさら聞けないシリーズが取り上げる用語は「ActiveX(アクティブ・エックス)」です。何だかかっこいい響きですね。(よく似た用語で「DirectX」というのがありますが、これはメディア関連API群で、ActiveXとは関係ありません)。しかし、「ActiveX」という単語はよく見ますが、一体何者なのか? どんな働きをしているのか? 知らない人も多いと思います。

 この連載の第6回で「リッチクライアント」をテーマに取り上げました。手軽な操作性と高機能を実現する「リッチクライアント」。このリッチクライアントを構成するうえでもActiveXは重要な役割を果たしているのです。では、早速ActiveXについて見てみましょう。

「ActiveX」はいろいろなものを意味する

 一体どんな技術か気になるActiveXですが、実はActiveXは、特定の技術や製品を指す言葉ではないのです。

 では、何を意味する言葉なのかといえば、Microsoft社が開発したプログラミング技術群の総称なのです。なので、もしかしたらプログラマー、サーバ管理者、Webデザイナーが「ActiveX」といったとしても、それぞれ違うものを意味する可能性があります。まったくややっこしいですね。

 はっきりとした定義は決まっていないのですが、一般的にActiveXは以下の技術群の総称とされています。

  • ActiveX Control
  • ActiveX Document
  • ActiveX Scripting
  • Active Server Pages(ASP)
  • Internet Server API(ISAPI)
  • ActiveX Data Object(ADO)
  • ……などなど
図1 ActiveXの構成図 図1 ActiveXの構成図

 これ以外にもいろいろとあるのですが、代表的なものをピックアップしました。これからそれぞれの技術について簡単に解説してみましょう。

ActiveXを構成するいろいろな技術をチェック!

ActiveX Control

 「ActiveX」というときは、大抵はこの「ActiveX Control」を指す場合が多く、ActiveXの中で一番の人気を誇る(!?)技術です。ActiveX Controlは、アプリケーションに組み込んで使うソフトウェアの部品「OLE control」と呼ばれる技術に、Web技術の拡張性を加えて生み出されたものです。

 インターネットやイントラネットからActiveX Controlをダウンロードし、Internet Explorer(以下、IE)に組み込んで利用します。Webブラウザ上で動画音楽の再生、3Dの表示、Windows Updateや、オンライン・ウイルススキャンなど、いろいろな場面で活躍しています。

図2 ActiveX Controlを入れると動画が再生可能に! 図2 ActiveX Controlを入れると動画が再生可能に!

 ActiveX Controlについては、この後も解説するので、お楽しみに!

ActiveX Document

 IEを通してWebブラウザ内でExcelやWordといった文章が編集できる機能です。実はこれとても便利な技術で、サーバサイドにあるドキュメント編集に威力を発揮します。

 例えば、サーバにあるExcelで作成された業務日報を編集するときに、ActiveX Documentを使わなければ、次のような手順で編集を行います。

  1. サーバからローカルPCにデータをダウンロード
  2. ローカルPCでエクセルを立ち上げてデータを編集し保存する
  3. 新しいデータをサーバにアップロード

 このように、ファイルの編集をするたびにファイルをダウン/アップロードしなければなりません。しかし、ActiveX Documentを使えば、以下のようなステップでサーバ・サイドにあるデータは更新されます。

  1. IEからサーバにアクセスし、編集したいデータをクリック
  2. IEのウィンドウ内でエクセルが立ち上がりデータを編集して保存
図3 ActiveX Documentを使えばIE上でExcelが操作できる! 図3 ActiveX Documentを使えばIE上でExcelが操作できる!

 ファイルのアップ・ダウンロードの手間がいらず、サーバ・クライアントを意識せずに作業ができるといった利点があります。

ActiveX Scripting

 JScriptVBScriptPerlといったスクリプト言語をIEやIISOfficeといったいろいろなアプリケーションで利用するための技術です。

 IEがWebページ内に埋め込まれたスクリプト言語はIE自身が処理をしているのではなく、ActiveX Scriptingを通してほかのスクリプトエンジンに渡して解釈をしています(参考:@IT Insider's Computer DictionaryActiveXスクリプティング (ActiveX scripting))。

Active Server Pages(ASP)

 HTMLとVBScriptやJavaScriptといったスクリプト言語を使って、動的なページを生成する技術です。現在は、ASPの後継技術として開発されたASP.NETが利用されていることが多くなっています。

 では、今回の記事では読者の皆さんが一番身近にある(であろう)ActiveX Controlについて解説をしていきたいと思います。

 次のページでは、ActiveX Controlの利便性や、セキュリティ上どのような対処が必要かについて解説します。

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