キャリア理論は役に立つ?エンジニアも知っておきたいキャリア理論入門(1)(1/2 ページ)

本連載は、さまざまなキャリア理論を紹介する。何のため? もちろんあなたのエンジニア人生を豊かにするために。キャリア理論には、現在のところすべての理論を統一するような大統一理論は存在しない。あなたに適した、納得できる理論を適用して、人生を設計してみようではないか。

» 2008年02月04日 00時00分 公開
[松尾順@IT]

 皆さん、こんにちは。キャリア・アドバイザーの松尾順です。

 今月から毎回、さまざまな「キャリア理論」についてできるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。今回は第1回、総論的な話を書かせていただきます。

 話の内容は大きくは2つ。1つは、「キャリアと何か」ということ。もう1つは、「キャリア理論とは何か」ということについてです。

 本題に入る前に、@IT自分戦略研究所でこれまでに掲載された記事をご紹介します。実は@IT自分戦略研究所には、キャリア理論に関連した記事があったのです。

 例えば、堀内浩二氏の「自分戦略を考えるヒント」は、キャリア理論に関連した内容を紹介しているときがあります。「偶然を起こし、偶然を生かす方法」や「誰にでも起こる『キャリア・トランジション』」「変化に強いキャリアを築くコツ」などがそうです。また、ほかの執筆者ですが、「キャリアビジョンづくりから始めよう」もそうですね。

 このように、@IT自分戦略研究所の読者の皆さんも、気付かないうちにキャリア理論に触れていたのです。

キャリア理論は役に立ちます

 それでは本題に戻りましょう。そもそも「エンジニアにキャリア理論は役立つのか」というタイトルに対する答えを示しておきましょう。もちろん、キャリア理論はとても役に立ちます。そうでなければ、こうして記事を書く意味がなくなってしまいます。

 では、キャリア理論はどのように役に立つのでしょうか。具体的にいえば、あなたのこれまでのキャリアを振り返り、これからのキャリアを設計するための「ツール」として役に立ちます。通常、これまでのキャリアを振り返りたい、またこれからのキャリアを設計したいと思っても、どのような視点で考えたらいいのかよく分からず、途方に暮れるものです。

 そんなとき、キャリア理論を参考にすれば、キャリアを考えるための「道筋」を示してくれます。つまり、キャリア理論は、キャリア設計のための「ガイドライン」になるのです。

キャリア開発のためのさまざまな「開発言語」

 プログラミング言語に多種多様な種類が存在しているように、キャリア理論にも異なる視点や切り口で書かれたさまざまなものがあります。そして、同じ機能を実装する際に、おおむねどのプログラミング言語でも記述できるのと同様に、どのキャリア理論を使ってもあなたのキャリアを設計することが可能です。

 従って、どのキャリア理論を採用するかはあなた次第。あなたにとってしっくりくる、また使いやすいと感じたキャリア理論をお使いになればいいと思います。

 ただし、どんな場合にも使える万能なキャリア理論というものはありません。それぞれの理論には一定の制約や限界があります。ですから、あなたの状況に応じて、複数のキャリア理論をうまく組み合わせるなど、自由に使いこなせるようになるのが理想ですね。こう考えると、キャリア理論とは、キャリア開発のためのさまざまな「開発言語」であるといってもいいのかもしれません。

キャリアとは「仕事人生」

 @IT自分戦略研究所では、前述したように、これまでも多くの方が「キャリア」について書かれていますが、今回、キャリア理論をご紹介するに当たって、そもそも「キャリアとは何か」について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。

 「キャリア」とは、ひと言でいえば「仕事人生」のことです。つまり、仕事という場におけるあなたの生き方そのものです。「人生」は、生まれてから死ぬまでの全時間ともいえますから、仕事人生たる「キャリア」も時間軸で切ると分かりやすいです。具体的には「過去」と「未来」の2つに分けます。つまり、過去のキャリアである「これまでのキャリア」と、将来のキャリアである「これからのキャリア」です。

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