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» 2008年05月19日 00時00分 UPDATE

ITアーキテクトが見た、現場のメンタルヘルス(9):辞める? 辞めない? 迷ったときの決断法 (2/2)

[樋口節夫,樋口研究室]
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あまり迷わずに決断する方法

 コンピュータの仕事をしていると、「その時点では正しい決断でも、将来にわたって正しいとは限らない」ということが分かります。どんなに優秀な技術や製品でも、何年か後には消えてなくなってしまうことがあるからです。なくなるというより、別の新しい形に変わってしまうという方が正しいかもしれません。

 デザインがいいなと思って買ったスーツも、年数がたつと古くさく感じるものです。会社に近い便利なマンションも、転勤すれば住み替えが必要です。軽自動車でコストを抑えていても、家族が増えてワゴン車に乗り換えることになる可能性があります。こういうことを考えると、人間が年齢や体型に合わせて洋服を変えていくように、そのとき一番フィットする方法を採用して、場面によって変えていくことが重要なのかもしれません。

 自分のキャリアや針路を決めるのは、難しい作業だと思います。でも南に行きたいのなら、北に行く進路は選びたくない。皆さんもきっとそう思うでしょう。

 重大な決断を迫られたとき、あまり迷わずに針路を決めることができる考え方を紹介しましょう。いまから説明する「迷ったときに使う3つの言葉」です。3つの言葉とは、「事実」「継続」「保障」です。

図1 迷ったときに使う3つの言葉 図1 迷ったときに使う3つの言葉

 何か決断を迫られたら、最初に「それは『事実』なのか?」この言葉で考えてください。誰かの想像や仮定、自分の思い込みであって、事実ではない場合があります。こういうものに対して決断を下しても、それが消えてなくなってしまえば、決断も一瞬にして無効になります。

 次に「それは『継続』するのか?」この言葉で考えます。一瞬で終わるもの、一過性のものに決断してしまうと、決めたことが失敗だと分かったとき、軌道修正する時間が足りなくて修復不可能になります。

 最後に、「それは『保障』されるか?」という言葉で考えます。自分が決断しても、それに多くの人が反対したら、孤独な状況が続きます。気持ちも疲れてきて、長続きしないかもしれません。支援の得られる決断であれば、成功する確率がアップします。

 この3つがそろわないこともあります。例えば結婚を決断する場合、相手を好きなことは「事実」。けんかは多いけれど、お付き合いは3年間「継続」している。でも相手の両親が反対しているので「保障」が欠けている。こんなケースです。

 こういう場合は、「相手の両親を必死に説得して保障を得る」ことにパワーを注いでください。方向性は合っているが、足りないものがあるなら、それを全力で補強するようにしてください。これがあなたの取り組む一番良いテーマになると思います。

 これを聞いて、彼はいいました。「決めるという作業は、自分の判断に納得して行動する作業なのですね!」

 そのとおりです。その点でいうと、彼はすべての決断が遅れているわけではありません。夜の決まった時間に、必ず私に電話をかけてくる行動は、自分で決めたことに納得していないと起こせない行動です。

 目の前の出来事をぼんやりと眺めているだけでは、迷いはなくなりません。そんなことが続くと、良いチャンスを逃してしまうかもしれません。この3つの言葉をしっかり頭に入れて、正しく納得して行動するようにしてください。そうすれば、自分のメンタルヘルスも上手にコントロールできるようになると思います。

筆者紹介

樋口研究室

樋口節夫

日本アイ・ビー・エムに22年間勤務し、その後独立。アーキテクトとしてメインフレームからオープンシステムまで幅広いシステム構築に携わった経験から、コンピュータシステムの良しあしはそれを使う人間の良しあしによって決まることを発見。人間のパフォーマンスアップツールとしてITコーチング手法を開発し、人材開発およびテクニカルコンサルタントとして活躍中。『ITコーチング入門―SE・ITエンジニアのための問題解決とスキルアップ』(技術評論社刊)をはじめ、技術系や人材系の著書多数。主宰する樋口研究室では、ITエンジニアが危機から身を守るための練習会(ワークショップ)も実施している。



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