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» 2008年07月23日 00時00分 UPDATE

ITアーキテクトが見た、現場のメンタルヘルス(11):何をやっても続かないSEを変えた「貢献・評価・満足」 (1/2)

常にコンピュータ並みの正確さを要求されるITエンジニアたち。しかし、ITエンジニアを取り巻く環境自体に、「脳を乱す」原因が隠れているという……。ITアーキテクトが贈る、疲れたITエンジニアへの処方せん。

[樋口節夫,樋口研究室]

 固く決心して始めたことも、いつのまにか途中であきらめてしまって、継続できない。よくあることかもしれませんね。

 どうせやっても長続きしない。そんな思いが強いと、いつまでたっても新しいことをスタートできません。今回は、あきらめのマイナスパワーを、継続のプラスパワーに変化させる方法を考えてみたいと思います。

何をやっても続かないSE

 出版社の情報システム部にお勤めのSEさんがいます。このSEは、あきらめの気持ちを、うまく継続の気持ちに変えることができました。

 SEは入社して5年、社内の工程管理システムを担当しています。出版社に入ったきっかけは、メディア業界に興味を感じていたこと、Webやブログでの情報発信の仕組みに興味を持っていたことでした。「でもいまの仕事は、そういう自分の思いと懸け離れている。自分がもうけを出しているわけではないし、評価にもつながらないし、面白い仕事でもない」。そんな理想と現実のギャップに悩んで、SEは樋口研究室に来るようになったのです。

 私は、SEと初めて会ったときに聞いた言葉を覚えています。「あきらめの連続。継続できない自分。何とかならないでしょうか」。これでした。あきらめの連続とは何だろう? 私は尋ねてみました。

 最初にSEから出てきたのは、TOEICのことでした。ITは世界のエンジニアがつくっている世界。だからSEは英語は大切だと思っています。でも、英語を身に付けようと勉強を始めても、継続できません。通信教育やスクールを利用したこともありますが、修了や卒業の経験がないのです。これまでにかけた費用は、数十万円にもなるそうです。

 SEは、挫折してあきらめるとき、いつもいい訳を考えるそうです。SEはいいます。

 「英語は重要。でも母語(日本語)の方がもっと重要。みんなうまく日本語使えていないよね……」

 SEは、資格を取るのも苦手でした。過去にテクニカルエンジニア(データベース)の資格に挑戦しましたが、すでに2回失敗しています。たくさんの参考書や問題集を購入するものの、どれも最後まで読み切ることができないのです。机の上に似たような参考書が増えていくのを見ながら、いつもため息をついています。

 資格取得に失敗したときも、SEはこんないい訳を考えたそうです。

 「資格は重要。でも実務の方がもっと重要。実務は理論どおりにいかないよね……」

 仕事以外でも、継続できない経験がありました。1年前からブログを書き始めたそうです。最初は毎日更新していました。でも日がたつうち、更新が1日おきになり、2日おきになり、ついに月に1回程度しか更新しなくなってしまいました。

 SEにとって、ブログの仕組みは面白いのですが、ブログのネタを考えるのは苦しいそうです。このときのSEのいい訳は、以下のようなものでした。

 「趣味(ブログ)に時間をかけるのは重要。でも仕事(会社)に時間をかける方がもっと重要。趣味だけでは食べていけないよね……」

行動を継続するための条件

 継続するには、「頑張る」気持ちや「やりきる」思いが大切。そういうことをよく聞きます。でも気持ちや思いだけでは、行動は継続しません。これから解説する「行動キープ(継続)の3条件」がうまくそろって初めて、行動は継続していきます。

図1 行動キープ(継続)の3条件 図1 行動キープ(継続)の3条件

 1つ目の条件は、自分の行動が周囲に「貢献」していることです。行動が会社や組織、体制の価値や利益に役立っていると、継続したいという思いが強くなります。

 2つ目の条件は、自分の行動が周囲に良い「評価」をされていることです。第三者の満足度が高い行動は、継続することに価値が出てきます。

 3つ目の条件は、自分の行動に「満足」していることです。行動していて楽しい、気持ちいい。そんな思いは、継続の潤滑油になります。

 これを聞いてSEはいいました。「この3つがそろうと、とても価値のある継続になりそうですね」

 そのとおりです。10年続くニュース番組、30年通い続ける会社、100年の歴史を持つ老舗企業など、すべてこの3つの条件がそろっている結果です。

 でも、いま3つがそろっていないからといって、落胆することはありません。この条件は、時間を経てそろうこともあるからです。

 これを聞いたSEは「え、それはどういうこと?」といいました。私の言葉に、あまりピンとこなかったようです。

 でもしばらくして、SEの身の周りで、この意味が分かるような出来事が起こり始めました。

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