ZFSでNASアプライアンスをつくるとこうなるサンがオープン性を前面に押し出したストレージ発表

» 2008年11月20日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 サン・マイクロシステムズは11月19日、新たなNASストレージシリーズ「Sun Storage 7000」を販売開始したことを発表した。OpteronプロセッサをはじめとしたX86サーバで標準的に使われているハードウェアに、ZFSファイルシステムなどのOpenSolarisソフトウェアを組み合わせ、柔軟でコストパフォーマンスの高いストレージシステムを実現。さらに大容量のSSDを活用してパフォーマンスの向上を図った。サンは7000シリーズを、同社が2007年に提唱した「Open Storage」のコンセプトを具現化する製品の第1弾と表現し、ベンダの独自技術による囲い込みを避けられる製品として推進していく。

 ZFSはサン・マイクロシステムズが開発し、OpenSolarisとSolaris 10に実装しているファイルシステム。現在ではオープンソースとして公開されており、Mac OS Xでも提供されている。最大の特徴は、追加のストレージ媒体を接続するだけで即座にボリューム拡張ができる点。これによりストレージ関連の管理作業が大幅に簡素化される。また、ZFSはRAID 6相当のソフトウェアRAID機能を備えており、7000シリーズもこの機能を活用している。ZFSはファイルシステム自体もCopy-on-write、ファイルシステム全体にわたるチェックサムなどの信頼性機能を備えている。

Sun Storage 7410

 7000シリーズの上位機種はRAMキャッシュとハードディスクドライブに加え、両者の中間的な特性を持つSSDを大容量で搭載できるようにし、ディスクキャッシュとして活用することでコストとパフォーマンスのバランスを取れるようにしている。SSDはリードキャッシュ専用とライトキャッシュ専用に分け、パフォーマンス特性の異なるSSDを利用している。

 7000シリーズはOpenSolarisに含まれる分析ツールのDTraceを活用した、リアルタイムの監視機能を備える。SSDやディスクドライブのパフォーマンスや負荷をモニタリングし、例えば負荷が異常に高まっている場合、どのユーザーによるどのファイルのアクセスが原因なのかなどを特定できる。同シリーズでは、監視や設定はすべてWebブラウザベースのGUIで実行できるようになっている。

 7000シリーズではZFSのスナップショット機能や遠隔レプリケーション機能などが使えるが、一般的な企業向けストレージ製品と異なり、こうしたソフトウェアのライセンス料が不要である点も大きな特徴だ。ストレージアクセスプロトコルとしては、NFS、CIFSに加え、WebDAV、HTTP、FTPなどに対応。iSCSIによるブロックアクセスも可能で、この場合はストレージプール内に仮想的にLUNを設定することになる。

 7000シリーズは3モデルで構成。

 最下位機種の「Sun Storage 7110」は146GBのSASドライブを最大16台、2TBまで搭載できる。RAMキャッシュは8GB搭載する。このモデルはSSDに対応していない。価格は178万1000円から。

 「Sun Storage 7210」は最大48台のSATAドライブを搭載して最大48TBの構成がとれる。また、ライトキャッシュ用の18GB SSDを2台まで搭載可能。RAMキャッシュは最大64GB搭載できる。価格は566万9000円から。

 最上位機種の「Sun Storage 7410」はJBODを活用して1TB SATAドライブを最大287台搭載できる。ライトキャッシュ用に18GBのSSDを最大8台、リードキャッシュ用に100GBのSSDを最大6台搭載可能。RAMキャッシュは最大128GB。ヘッド部分は2台用意してクラスタ構成もとれる。価格は656万円から。

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