App Store登録もOK!JavaScriptで作るiPhoneアプリこれ、俺ならこう使う(5)(3/4 ページ)

» 2008年11月28日 00時00分 公開
[立薗理彦@IT]

DashCodeとPhoneGapで「Coco Twitter」を作ってみた

 いくつかあるフレームワークの中から、今回はPhoneGapを使ってアプリケーションを開発してみました。選択の理由は、ライセンスが比較的緩かったこと、すでにApp Storeでの販売実績があること、そしてコードがシンプルであることです。

今回作ったもの

 いまいる場所でつぶやかれた言葉をTwitter.comから検索するiPhoneアプリケーション「Coco Twitter」を作ってみました。

 起動すると、GPS経由で取得した現在位置の情報から、近隣の「駅名」一覧を取得、駅名を基にTwitter.comを検索します。取得したポストは、ローカルストレージにキャッシュとして保存され、次回起動時の高速化を図っています。

事前の準備

 iPhone用アプリケーションの開発には、アップルのサイトでのデベロッパ登録とiPhone SDKのダウンロード&インストールが必要です。また、開発中のアプリケーションのiPhone/iPod touchへのインストールには、証明書の作成などの作業が必要になります。

 詳しくは、アップルのデベロッパサイトをご覧ください。

 PhoneGapで開発を行うために、最新のコードをダウンロードしてください。ダウンロードしたソースがそのままプロジェクトのベースになるので、コピーして自分なりに名前を変更して使用します。

 駅名の取得にはYahoo Developers APIを使用、Twitterの検索には@penguinanaさんのTwitter検索を利用しています。

このアプリケーションの仕組み

 Coco Twitterは、起動するとPhoneGapのAPIを使ってGPSによる位置測定を行います。そして、ここで取得した緯度経度の情報を基に今度はYahoo!地図のローカルサーチAPIを呼び出して近辺の駅名の情報を取得、最後に駅名をキーワードとしてTwitter検索APIからつぶやきを取り出して表示します。

 駅名を少し編集(下北沢駅→下北沢など)することで、Twitterでよくある「下北沢のラーメンやじるしで塩だれつけめん食べた!おいしかった」というようなつぶやきをチェックできるわけです。

DashcodeでWebアプリ部分を開発

 iPhone SDKに含まれるDashcodeは、従来のDashboardウィジェットに加えて「Webアプリケーション」というプロジェクト・テンプレートが含まれるようになっています。

新規プロジェクト作成時のテンプレート選択画面 新規プロジェクト作成時のテンプレート選択画面

 これらのテンプレートを使うことで、iPhoneやiPod touchで閲覧するのに適したWebアプリケーションを作成できます。あらかじめ用意されたアプリケーションをカスタマイズできるほか、ライブラリからiPhone風のUIパーツを組み込めます。

リスト表示ウィジェットやボタンなどiPhone風UIパーツが並ぶ リスト表示ウィジェットやボタンなどiPhone風UIパーツが並ぶ

 iPhoneらしいUIを作成するためのベースとして、Dashcodeのプロジェクトを使用します。ここで作成したプロジェクトは、後でPhoneGapのプロジェクトの一部になります。

 つぶやき一覧と、それぞれのつぶやき詳細を表示するので「ブラウザ」テンプレートを使用します。

DashcodeのUIライブラリを使って、ビュー部分を作成

 まずは、つぶやきをリロードするための「リロード」ボタンを追加します。

 Dashcodeウィンドウの「ライブラリ」ボタンをクリックしてUIライブラリを表示し、ボタンパーツをドラッグして直接画面に配置します。

 配置したボタンをダブルクリックすると、ボタンに表示する名前を変更できます。

ライブラリからボタンを配置 ライブラリからボタンを配置
ボタンをダブルクリックして名前を変更 ボタンをダブルクリックして名前を変更

 次に、アプリケーションの情報を表示する「このアプリケーションについて」のビューを追加します。

 画面左側のUIパーツの中から「stackLayout」を選択し「インスペクタ」ボタンをクリックしてください。「サブビュー」フィールドにこのレイアウトであらかじめ定義されているビューが表示されています。「+」をクリックして「aboutLevel」を追加します。

インスペクタからサブビューを追加 インスペクタからサブビューを追加
UIパーツを追加した状態 UIパーツを追加した状態

Dashcodeフレームワーク

 Dashcodeで作成したUIに実際の処理を行うハンドラを追加していくために、まずDashcodeが生成するソースを眺めてみます。

 「ファイル」メニューから「Webアプリケーションを動作形式で保存」を選択すると、単体で動作可能なHTMLとJavaScript、CSSが出力されます。保存先は、メインウィンドウ左側の「共有」をクリックして設定します。

「共有」画面で保存先を設定 「共有」画面で保存先を設定

 下記のようなファイルが生成されます。

Index.htmlを開いてみると…… Index.htmlを開いてみると……

 index.html を開くと、CSSやJavaScriptが読み込まれ、ページをロードした際にload()が呼び出されて、その中でdashcode.setupParts()が呼び出されます。

 オブジェクトdashcodeは「ButtonHander.js」の中で初期化されており、さらにutilities.jsの中でsetupParts()が追加されています。

 setupParts()の仕事は、setup.jsに定義された配列要素dashcodePartSpecsの定義に従ってUIパーツのそれぞれに対応した初期化メソッドを呼び出すことです。

 UIの初期化処理は最終的にmain.jsのlistControllerで定義されているprepareRow()を呼び出します。ここはいわゆるビジネスロジックで、アプリケーションごとの振る舞いを変更する場所になります。

 こうして見ると、Dashcodeが生成したコードがいわゆるビュー+コントローラスタイルのフレームワークになっていることが分かります。

独自ファイルの追加

 プロジェクトに独自のCSSやJavaScriptを追加するには「ファイル」メニューの「新規」から、それぞれ「CSS」「JavaScript」を選択します。ここで追加されたファイルは、Webアプリケーションの書き出し時に一緒に書き出されます。

 今回は、Yahoo地図の検索を行うための「YahooMapsClient.js」、Twitter検索を行うための「TwitterSearchClient.js」を追加しています。

JavaScriptでコントローラを実装

 自動生成されたコードに独自の修正を追加します。main.jsの「listController」を修正することで、リスト画面の振る舞いを変更できます。

  • numberOfRowsリスト項目の数を返す
  • prepareRowリスト項目の1つずつに対応して呼び出される。ここでリストの内容を設定する

 下記のように、配列要素tweetsからデータを読み込んでUIリストを初期化します。今回の場合、tweetsにはTwitter検索から取得したつぶやきが格納されているので、リストUIはつぶやき一覧を表示することになります。

var tweets = [];
var listController = {
       
    numberOfRows: function() {
        return tweets.length;
    },
    
    prepareRow: function(rowElement, rowIndex, templateElements) {
        if (templateElements.rowTitle) {
            templateElements.rowTitle.innerText 
            = tweets[rowIndex].body;
        }
        var self = this;
        var handler = function() {
            var tweet = tweets[rowIndex];
            detailController.setTweet(tweet);
            var browser = document.getElementById('browser').object;
            browser.goForward(document.getElementById('detailLevel'),
             tweet.body);
        };
        rowElement.onclick = handler;
    }
}; 

 配列tweets は、別ファイルに定義したTwitterClientクラスを使ってロードしています。

function TwitterSearchClient(url = ‘'http://pcod.no-ip.org/yats/search'’) {
    this.url = url;
}
TwitterSearchClient.prototype.search = function(query, handler)
{
    var url = encodeURI(this.url + '?query=' + query +'&json=' 
    + handler);
    
    var script = document.createElement('script');
    script.src = url;
    script.type = 'text/javascript';
    script.charset = 'utf-8';
    document.getElementsByTagName('head').item(0).appendChild(script);
} 

 JSONコールバックの仕組みを利用して、JSONテキストをtweetsに読み込みます。ちなみに、上記のUI更新処理は、document.getElementById("list").object.reloadData(); を呼び出すことで実行できます。ここでは、JSONPの仕組みを使ってハンドラ関数を呼び出し、tweetsにデータを格納した後でリストUIのreloadData()を呼び出しています。

function TwitterSearchHandler(obj) {
    var max = obj.length;
    if (max > 30) { max = 30; }
    for(var i = 0; i < max; i ++) {
    var tweet = { id: i, user: obj[i].user, body: obj[i].content };
    tweets.push(tweet);
    }
    // データをロード
    document.getElementById("list").object.reloadData();
}

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