連載
» 2008年12月22日 00時00分 公開

ストレージとは何か(4):ストレージの統合、階層化、そして仮想化 (1/3)

ストレージでは、統合、階層化、仮想化の3つが、ユーザー企業における最近の大きな関心事となっている。連載の最終回として、これらをどのように考え、活用していくかを紹介する。

[安藤充洋,EMCジャパン株式会社]

 連載の最終回である今回は、ストレージを効率的に運用する手法としてストレージの統合、階層化、仮想化について解説する。

ストレージ統合

 多くのIT部門では、急速なデータ量の増加に対応するため、ストレージ容量の効率的な管理やバックアップの見直しなどさまざまな問題を抱えている。また、最近では地球環境に配慮した「グリーンIT」化の動きが盛んになり、ITインフラの消費電力量や廃熱量の削減といった社会的な取り組みにも対応する必要が生じている。

 導入時のコストや管理の容易さからITインフラに多く採用されているDAS(直接接続)タイプのストレージは、これらの問題への対応が困難である。つまり、ディスク使用率の向上やパフォーマンス最適化を目的とした「動的なLUN移動」や、利用しないディスクの回転を停止し、消費電力量や廃熱量を削減するMAID(Massive Array of Inactive Disks)あるいは「ディスクスピンダウン」などをITシステム全体の取り組みとして効率的に実施することができない。また、データのバックアップは、サーバに直接接続したテープ装置やIPネットワーク経由で行うため、サーバやネットワークのリソースを大量に消費し、データ(バックアップ対象)の急速な増加に伴うバックアップウィンドウの拡大への対応も困難である。

 このように、機能や運用の柔軟性に欠けた複数のDASを、SANやNASなどに統合することにより、さまざまな機能を利用した運用の効率化を図ることが可能になる。

  • ディスク使用率の向上
    各サーバのディスクを統合し、必要な容量のLUNを提供することによる使用率の大幅な向上
  • グリーンITへの対応
    ストレージ統合による消費電力量の削減、使用しないディスクの回転の停止(一部の機種)、省電力ディスクの採用
  • 運用管理、人件費の削減
    サーバ単位で実施していたディスクの運用監視や障害監視に関するコストの削減
  • ストレージ共有によるマルチノード・クラスタリング
    SANやNASを利用しストレージを共有するn:1のマルチノード・クラスタリング構成
  • ローカルレプリケーション(複製)によるバックアップ・リストアの高速化
    LUN単位の複製(クローン、スナップショット)の利用によるバックアップ/リストア時間の短縮
図1 ローカル・レプリケーションの手法 図1 ローカル・レプリケーションの手法
  • リモート・レプリケーション(遠隔的な複製)による災害対策
    地理的に離れた拠点に設置したストレージ筐(きょう)体間でのLUN単位の複製
図2 リモート・レプリケーション 図2 リモート・レプリケーション
  • バックアップ統合によるネットワーク負荷の削除、サーバ負荷の低減
    • LANフリーバックアップ
      バックアップ用のネットワークにSANを利用することで、ネットワーク負荷を回避する。また、ファイバチャネルによるデータ転送は、伝送の効率化とサーバリソースの負荷低減をもたらす。
    • サーバフリー・バックアップ

クローンをマウントするバックアップ専用サーバを利用することで、バックアップ対象のサーバのリソースを一切利用しないバックアップが可能となる。

図3 LANフリー・バックアップ 図3 LANフリー・バックアップ
図4 サーバフリー・バックアップ 図4 サーバフリー・バックアップ

 ただし、これらのストレージ統合のメリットを享受するためには、統合の投資対効果について十分な検討を行うべきである。次に、ストレージ統合実施に向けた考慮点やアプローチについて“技術的なポイント”とそれ以外に”考慮すべきポイント”をまとめる。

技術的なポイント

  • 統合ストレージ機器の選定とサイジング
    統合するストレージ機器に接続可能なサーバ数、ディスク最大搭載容量などスペックのサイジング
  • ストレージ可用性と障害時の影響範囲
    接続したサーバの一部に発生した突発的な性能要求が全体におよぼす影響、ストレージ障害時の可用性や性能縮退がサーバに与える影響の把握
  • サーバの変更箇所の確認
    サーバをストレージに接続するために必要となる変更点(OSパッチやドライバのバージョン、マルチパスソフトウェア導入、デバイスファイル名の変更)の確認
  • 既存データのマイグレーション
    既存ストレージに保存されているデータの移行方法(サーバ経由、ストレージ間)
  • 運用(増設・構成変更)
    ストレージ統合後の増設や構成変更、ファームウェアアップデートなどのメンテナンス作業や、障害監視、運用監視の手段

考慮すべきポイント

  • コスト(初期導入、ランニング)
    現在生じているコスト(管理、運用、保守)とストレージ統合に必要なコスト(初期導入、管理、運用、保守)の比較による投資対効果の判断
  • 部署間の費用および責任の分担
    ストレージ統合に伴う、ユーザーの部署間での費用分担と責任範囲の設定
  • 組織(ベンダ間連絡)
    サーバとストレージのメーカーが異なる場合、障害時の切り分けに関するベンダ間の連絡方法
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