デスクトップ・ストリーミングも可能なXenDesktop 3が国内発表マルチメディアやUSB機器への対応も改善

» 2009年02月24日 00時00分 公開
[ 三木泉,@IT]

 シトリックス・システムズ・ジャパンは2月24日、デスクトップ仮想化製品の新バージョン「XenDesktop 3」の国内販売を開始したと発表した。

 XenDesktop 3では、マルチメディア対応など、ユーザーの使い勝手を向上する技術を集中的に投入する。シトリックスはこれを「HDX」と総称し、同社のデスクトップ接続プロトコルICAの拡張および周辺技術を通じて提供する。

 XenDesktop 3におけるHDX関連の新機能としては、まずサーバ上で稼働する仮想マシンでマルチメディア再生を行うかわりに、圧縮したマルチメディアストリームを端末側に送信し、端末側で再生することができるようになった。これにより、グラフィック性能に優れた端末ではマルチメディア再生のパフォーマンスが改善できる。

 また、ユーザー端末のUSBポートに接続された機器を、サーバ上で動く仮想マシンから利用できるようになった(USBリダイレクト)。ユーザーは、サーバ上で動く仮想マシン環境に、カードリーダーやプリンタ、スキャナ、タブレットなど多様な機器を接続することができる。

 HDXでは、XenDesktopがユーザー端末の搭載するハードウェアやネットワークの状態を検知し、個々の端末に最適な形でデスクトップ環境を提供できるようにしているのがポイントだ。例えばグラフィック性能が貧弱な端末の場合は、サーバ側でマルチメディア再生を行い、その逆の場合は端末側にグラフィック処理をまかせるといった適用が可能という。

ユーザー端末側のグラフィック性能を自動的に生かすことができる

 XenDesktop 3のもう1つの重要な新機能は、「デスクトップ・ストリーミング」ができるようになったこと。デスクトップ・ストリーミングとは、ユーザー端末をネットワークブートさせ、その端末のメモリを仮想ディスクとして利用して、OSやアプリケーションをローカルで動かすというもの。ハードディスクドライブへのインストールではない。従って端末の電源をオフした段階でOSやアプリケーションは端末から消える。

 シトリックスは、オンデマンドで動的にデスクトップ環境を作成し、ユーザーや端末のニーズに適した形態で提供する仕組みを推進している。つまり、標準的なデスクトップ環境を仮想マシンイメージとして管理し、個々のユーザーが利用開始する時点で、ユーザー情報に基づくカスタマイズを適用できるような環境の整備を進めている。特定のユーザーだけが使う必要のあるアプリケーションについては、XenAppに含まれるアプリケーション仮想化機能およびターミナルサービス機能に関する設定を、このユーザーの仮想マシンに適用すればいい。

 XenAppのターミナルサービスやアプリケーション仮想化の機能を動的に組み合わせ、ユーザーのデスクトップ環境をオンデマンドで提供

 こういうやり方をすれば、企業として管理すべきデスクトップ仮想マシンイメージは少数で済むため、ストレージ容量が節約できるとともに、デスクトップ環境の管理作業が簡素化できるというのがシトリックスの考え方だ。

 シトリックスはXenDesktop 3で、「Portable Profile Manager」という管理ツールも提供すると発表した。これはまさに上記のような導入形態を可能にするためのユーザー・プロファイル管理製品。標準的なデスクトップOSイメージにXenAppのユーザー設定やWindowsのローミング・プロファイルを組み合わせ、カスタマイズされた環境を各ユーザーに提供することができる。

 シトリックスは今後の展開として、クライアント・ハイパーバイザ(ユーザー端末上で動作するハイパーバイザ)をこの仕組みに組み込むことを考えている。同社のクライアント・ハイパーバイザは、2009年中にインテルのvProテクノロジーの一部として、インテルのOEMベンダに対して提供開始されるという。

 クライアントでハイパーバイザが動けば、その上で仮想マシンとして業務用のデスクトップ環境を動作させることができる。標準デスクトップイメージから動的にカスタマイズされた各ユーザー用の環境(つまり仮想マシン)を、場合によってはサーバ上で動かし、必要な場合は端末側に持ってきてハイパーバイザ上で動かし、さらに場合によってはデスクトップ・ストリーミングで動かすことができるようになる。

 XenDesktop 3は、下の表のように、Express、Standard、Advanced、Enterpriseの4つのエディションで構成されている。表における「仮想マシンインフラ」の項目は、2月23日に発表のXenServerの無償化に伴い、エディション間の違いがなくなったと思われる。

 最小構成価格はExpressが無償、Standardは7万550円、Advancedは18万2750円、Enterpriseは27万6250円(いずれも5同時接続デスクトップ分のライセンスおよび1年間のサブスクリプション・サービスを含む)。

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