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» 2009年04月14日 00時00分 公開

特集:「ハチロク世代」がやってくる(2):育成のプロが伝授。今年の新人との付き合い方 (1/2)

「最近の若い者は……」などとぼやいていても、何も始まらない。新人はどのような特徴を持っているのか。どう付き合っていったらよいのか。人材育成のプロに聞いた。

[唐沢正和,@IT]

 4月に入り、今年も各企業で新人研修がスタートしていることだろう。新人研修は企業にとって重要な人材育成プログラムの1つだが、実際に現場で新人を迎えるチームのリーダーや新人教育の担当者は、最近の新人とどう付き合えばよいのか分からず、その対応に苦労しているケースが多い。

 新人研修で多くの実績を持つ富士通ラーニングメディアの協力を得て、人材育成のプロ4人に、最近の新人の特徴や付き合い方のコツ、育成のポイントを聞いた。

仲間とのコミュニケーションは抜群。でも上下関係は?

小林弘宜氏「研修でグループ分けをした場合、すぐに打ち解けて、うまくコミュニケーションが取れています」 小林弘宜氏「研修でグループ分けをした場合、すぐに打ち解けて、うまくコミュニケーションが取れています」

 まずは、人材育成のプロがこれまで手掛けてきた新人研修の経験を基に、最近の新人の特徴を探ってみよう。

 2004年から新人研修用の教材開発や講師を務める小林弘宜氏は、最近の新人の「コミュニケーション能力」について評価している。小林氏によると、仲間内での協調性に優れているのだという。「研修でグループ分けをした場合、すぐに打ち解けて、うまくコミュニケーションが取れています」(小林氏)

 ただし、このコミュニケーション能力が「上下関係」では発揮されていない、と小林氏は付け加える。「上司や講師などとの上下関係になると、うまくコミュニケーションができなくなる」という。


矢島麻衣氏「学校や家庭内での縦のコミュニケーションが以前に比べて緩くなってきていると感じます」 矢島麻衣氏「学校や家庭内での縦のコミュニケーションが以前に比べて緩くなってきていると感じます」

 その要因について、同じく新人研修の講師を担当していた矢島麻衣氏は、「学校や家庭内での縦のコミュニケーションが以前に比べて緩くなってきていると感じる」と語る。部活動での先輩/後輩の厳しい関係がなくなったり、両親と友達のように接したりすることで、上下関係の距離感に鈍くなっており、その感覚のまま会社に入ってくる新人が多いのではないか、と矢島氏は分析する。

 上司への報告メールで、結論を先にまとめず、仲間同士で送るメールのように自分の思ったことを長々と書いてしまい、重要なポイントが上司に伝わらない。こうした特徴は、もちろんビジネスシーンにおける作法を知らないという理由があるのだが、それだけではなく、上司/部下、先輩/後輩という感覚に乏しいことも要因の1つだといえる。


競争を避け、リーダー不在

吉田恵美氏「競争する気持ちが弱くなってきているように感じます」 吉田恵美氏「競争する気持ちが弱くなってきているように感じます」

 新人研修の企画・運営に携わる吉田恵美氏は、「ハングリー精神が足りない気がする」と最近の新人の特徴を述べる。「競争する気持ちが弱くなってきているように感じます。常に周りと同調しようとする、過剰な仲間意識があるのでは」というのが吉田氏の考えだ。

 こうした傾向は、「リーダーの選出」というシチュエーションで浮き彫りとなる。研修中にグループ分けを行う際、なかなかリーダーが決まらないというケースが増えている。

 「以前ならば、自分からリーダーシップを取ろうとする人が出てくるものでしたが、いまは『自分はリーダーには向いていないから』と決め付けて、誰かに任せようと考える人が増えている」(吉田氏)

 失敗を恐れているのかもしれない、と吉田氏は補足する。

 こうした新人に対して、矢島氏は「必ず全員、持ち回りでリーダーを経験させる」という手法を取り入れているという。

 リーダーに向いているか否かは、実際に体験してみなければ分からない。何より、それは自分で決めるものではない。

 「実際に経験してみることで、リーダーには何が必要で、自分には何が足りないのかが見えてくるはず」と矢島氏は語る。

ITスキルや仲間同士のフォローは得意分野

 ここまでだと、「やっぱり最近の新人は……」という感想を持つ読者が多いかもしれない。そこで、マイナス面ばかりではなく、プラス面にも目を向けてみよう。

 特筆すべきは「ITに関する知識レベルの高さ」だ。

 小林氏は「情報収集能力の高さ」を評価する。分からないことがあればインターネットで検索し、情報を集める、という行動が当たり前の世代だと小林氏は指摘する。

 また、個人差はあるものの、プログラミングに関する高いスキルを持っている新人がいることも見逃せない。学生時代からプログラミングに触れている人は、驚くほどのスキルを持っていることがあるという。

 「仲間同士のフォロー」をよくする人が多い、とも講師陣は口をそろえる。「協調性」「仲間意識」といった側面がプラスに働いた結果だろう。

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