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» 2009年06月03日 10時00分 公開

ものになるモノ、ならないモノ(33):iPhone Skypeとケータイ、通話に向いてるのはどっちだ (1/2)

iPhone Skypeの通話の遅延はどのくらい?ケータイと、PSP版、WILLCOM 03版、日本通信のモバイルのIP電話で比較実験してみた

[山崎潤一郎,@IT]
インデックス

連載目次

記事見出し:iPhone用のSkypeの音声を実測する│iPhoneSkypeの方がケータイに比べて140ミリ秒早かった!│音質はSkypeが心地よい│auの音質は「ラジオスターの悲劇」│PSP版、PHS経由、PHS端末テザリングを一挙に試した│登場が待ち遠しい日本通信のモバイルIP電話


iPhone用のSkypeの音声を実測する

 「いっこく堂の衛星中継ネタって、いまじゃあり得ね〜よな」

 オバマ大統領の就任式のライブ映像を見ながら思った。いまの衛星中継はタイムラグなしに普通に話している。思い出してみよう。一昔前のテレビの衛星中継のライムラグを。結構、きつかった。現地とスタジオ側で同時に話し始めるものだから、お互い慌てて遠慮しちゃってお見合い状態で待ってしまい、見ている方が、その沈黙にいたたまれなくなるあのつらさ。話す方もイライラするだろうけど、見ている方も痛かった。

 タイムラグという意味では、一昔前のケータイもきつかった。相手が話し終わったつもりで、こちらが話し始めて、衝突して、沈黙して、同時に話し始めてまた衝突、なんてことは日常茶飯事。よくもまあ、フラストレーションが爆発しなかったと思うのだが、それも、どこでも電話ができるという便利さが、覆い隠してくれたのだろう。それから比べたらいまのケータイは実に頼もしいのはご存じのとおり。ちょっとした衝突と沈黙はあるにはあるが、全然オッケーなレベルで、わりかし普通に会話できる。

 じゃあ、いま人気のiPhone用のSkypeってどうよ、というのが今回のメインテーマ。衝突と沈黙の狭間でフラストレーションがたまって「こんなの使えね〜」なんてことにならないのか心配だったのだが、結論からいうと「全然フツーじゃん」というか、むしろauのケータイ同士より気持ちよく話せるくらい。そのあたりは、人気のアプリだけに多くの人がすでに経験済みだから、何をいまさら感があると思うんだけど、だったらiPhoneSkypeの快適度を「この目で確かめたい!」と思って実験してみた。

iPhoneとauケータイを前に朗読を行う。接続先でも同様にiPhoneとauケータイで受信した音声をラインでオーディオ・インターフェイス経由でMacintoshのLogic Pro8で録音した iPhoneとauケータイを前に朗読を行う。接続先でも同様にiPhoneとauケータイで受信した音声をラインでオーディオ・インターフェイス経由でMacintoshのLogic Pro8で録音した

 今回の実験システムは、実に単純。図のように編集者と筆者の間で、iPhoneSkypeとauのケータイの両方を通話状態にし、編集者が両方の端末の前で朗読をする。そして、その音声を筆者宅で録音するという方法で行った。双方の違いが明確に分かるように、それぞれの音声をDTMソフトの別トラックにライン録りした。で、感じたことを列挙してみた。

AppleのLogic Pro8の別トラックにライン録りしてiPhoneSkypeとauの音を比較した AppleのLogic Pro8の別トラックにライン録りしてiPhoneSkypeとauの音を比較した

iPhoneSkypeの方がケータイに比べて140ミリ秒早かった!

 iPhoneSkypeの方が、auに比べて140ミリ秒早く音声が到達した。Skypeは無線LAN経由で接続しているとはいえ、ベストエフォートなインターネット回線経由なので、ちょっと意外だった。ただ、この実験だけで、Skype偉い! auどうした! とはいわない。編集者宅は浅草、筆者宅は横浜と、双方ともプロバイダのピアリングポイント(大手町)と距離的に近い。例えば両端が、九州と北海道に分かれていたらどうなったか分からない。その一方で、auは日本全国津々浦々、均一なのだろうなあ、と思う。信頼性も高いしね。まあ、高い基本料・通話料を払っているのだから当然ですが。

上がiPhoneSkypeの波形で、下がauの波形。140ミリ秒iPhoneSkypeが速い 上がiPhoneSkypeの波形で、下がauの波形。140ミリ秒iPhoneSkypeが速い

音質はSkypeが心地よい

 どんぐりの背比べ的な音質を「心地よい」などと書いてしまうのは抵抗があるのだが、auと比較するとSkypeの方が長時間の聴取に耐え得る。下記リンクの音声ファイルサンプルを聴いてもらえば分かるが、周波数帯域が広いので、低い方から高い方までちゃんと伝達されている。圧縮クサさ丸出しのレロレロ感やしゃくれ感も少なく、気持ちよく会話できる。強いていうならAMラジオレベルというところか。

auの音質は「ラジオスターの悲劇」

 その一方で、auは、周波数帯域が狭いので、ペンペンとして詰まった音質。音楽をつくるとき300Hz以下、3kHz以上をバッサリ切って、こんな感じの特殊効果を盛り込むこともある。そういえば、昔、「ラジオスターの悲劇(Video Killed the Radio Star)」というバグルスのヒット曲があったがそのメインボーカルのLo-Fi感とイメージがダブる。強いていうなら戦時中のAMラジオか、短波ラジオというところかな。あくまでもイメージだけど……。

 というわけで、MP3ファイルを用意したので、サンプルを聴き比べてください(朗読内容は、芥川龍之介「手紙」の冒頭部分)。

  • 音声ファイルその1「iPhoneSkype同士による接続」(skype.mp3
  • 音声ファイルその2「auケータイ同士による接続」(au.mp3
  • 音声ファイルその3「左チャンネルがSkypeで右チャンネルがau」(skype&au.mp3

 じゃあ音楽を流したらどうなるの、という疑問がわいてきた。肉声と違い広い周波数帯域を要求されるだけにその違いがもっとはっきり出るのではないかと思ったのだ。で、結論は、「iPhoneSkypeやケータイで音楽を伝達するな」その一言に尽きます。っていうか、双方とも音楽を伝達することなど考えてないから、当たり前なんだけど、肉声伝達ではiPhoneSkypeが結構イイ線いっていただけに、なんとかなるかと思ったのだが、両方とも悲惨な結果に終わった。これ以上コメントしたくないので、聴き比べてください。

  • 音声ファイルその4「iPhoneSkypeで経由で音楽を聴く」(homeSweetSKYPE.mp3
  • 音声ファイルその5「auで経由で音楽を聴く」(homeSweetAU.mp3

 実は以前より、NTTドコモの「メロディーコール」やauの「EZ待ちうた」ってサービスはいかがなものかと思っていたのだが、今回、この実験であらためてその意を強くした。だって、電話をかけたらこんなにひどい音質の音楽を強制的に聴かされるわけで、なんだか悲しくなる。ただ、そういう自分も今回の実験では、自分のプロデュースした大切な音楽を、音質がひどく劣化することを半ば分かっていて使ってしまったので、大口はたたけないのだが……(実験に使った「はにゅうの宿」(ギター演奏:秋山公良)は、iTunes Storeからダウンロードできるので、ぜひきれいな音で聴いてください。珠玉の癒やし系音楽です)

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