連載
» 2009年10月08日 00時00分 公開

Windows 7新時代:第3回 検証:ネットブック+Windows 7 Starter (2/3)

[小林章彦,デジタルアドバンテージ]

Windows 7 Starterの制限

 Windows 7 Starterでは、以下の機能を利用できないという制限がある。ここでは、ネットブックをビジネス用途で利用するという視点で、これらの機能制限がどのように影響するのか検証してみる。Windows 7 Starterで制限される機能については、連載 第1回「Windows 7の概要 Column:機能を限定して価格を抑えたStarterエディション」も参照していただきたい。

  Starter Home Premium Professional Enterprise Ultimate
64bit版の提供
Aeroテーマ
Windowsサーチ
Internet Explorer 8
Windows Media Center
ホームグループ機能
Windows XP Mode
Active Directoryドメイン参加機能
自動バックアップ(スケジュール・バックアップ) △(ネットワーク・ドライブ不可) △(ネットワーク・ドライブ不可)
BitLocker
DirectAccess
BranchCache
MUI版(マルチ言語版)
Windows 7のエディションによる主な機能の違い

■64bitのサポート
 Windows 7 Starterは32bit版(x86版)しか提供されていない。ネットブックの多くがプロセッサとして採用するAtom N270/N280、Z520は、そもそも64bitに対応していない。そのため、そもそも64bit版(x64版)はインストールできない。また搭載可能なメモリ容量も標準で1Gbytes、最大でも2Gbytesのため、たとえ64bit版がインストール可能であっても、そのメリットを生かすことはできない。

■Aero Glass(Aeroテーマ)
 Windows 7 Starterでは、ウィンドウ枠の透明表示やFlip 3Dのような3D形式のウィンドウ選択機能、タスクバー・サムネイル(実行中のアプリケーション・ウィンドウの縮小表示)などのAeroテーマが利用できない。

 Aeroテーマは、Windows 7で変更されたユーザー・インターフェイスの主要機能であり、Windows 7の魅力の1つともなっている。しかしこれを実現するためには3D描画をサポートしたグラフィックス機能が必要であり、安価なネットブックにはこのような高機能なグラフィックス・チップは搭載されていない(チップセット統合のグラフィックス機能を利用する)。そのため、Aeroテーマが利用できなくても特に問題にはならないだろう。

■Windows Media Center
 Windows 7 Starterは、Windows Media Centerが提供されない。そのためWindows Media Centerを使って、テレビ番組を録画するなどはできない。ネットブックでは、そもそもテレビ・チューナーは内蔵していないし、Windows Media Centerをビジネスで利用することもほとんどないと思われる。Windows Media Playerは利用可能なので、実用上はまったく制限とならない。

■Windows XP Mode
 Windows 7 Starterでは、Windows XP Professionalを仮想環境下で実行させるWindows XP Modeが利用できない。ただネットブックがプロセッサとして採用するAtom N270/N280は、動作要件となるIntel VT(仮想化支援機能)がサポートされていないので、そもそもWindows XP Modeが利用できない。

 また一部のネットブックが採用しているZ520はIntel VTをサポートしているため、BIOSなどが対応していれば、Windows 7 Professional以上のエディションでWindows XP Modeが利用可能だ。ただし、プロセッサの性能や最大メモリ容量(2Gbytes)の制限から、実用性はそれほど高くないことが予想される。Windows 7 StarterがWindows XP Modeをサポートしていなくても困ることはないだろう。

■Active Directoryドメイン参加機能
 Windows 7 Starterをビジネスで利用する上で、重大な制限となりそうなのがActive Directory(AD)ドメインに参加できないことだ(Windows 7 Home Premiumも同様)。ADドメインに参加できないことから、ADによるユーザー管理やグループ・ポリシーを利用した機能制御などが、Windows 7 Starterでは利用できない。またADを前提とした管理ソフトウェアなども利用できないので導入の際に注意が必要となる。Windows 7 Home Premiumでも同じ制限があるので、ADを利用していてWindows 7を導入する場合は、Windows 7 Professional以上のエディションを検討した方がよい。

 ただしADでアクセス権を管理しているファイル・サーバへのアクセスは可能だ。Windowsエクスプローラでファイル・サーバを開くと、認証を求めるダイアログが表示されるので、ここでADのユーザー・アカウント(「<ADのドメイン名>\<ユーザー名>」と、それに対応するパスワード)を入力すればよい。この際、[資格情報を記憶する]をチェックしておけば、以降、このファイル・サーバへのアクセスは入力した資格情報が利用され、このダイアログは表示されなくなる。

ADで管理するファイル・サーバへアクセスした際に表示されるダイアログ
ここで、ADで管理しているユーザー・アカウントを、「<ADのドメイン名>\<ユーザー名>」の形式で入力すれば、ADの資格情報でこのファイル・サーバへアクセスできる。
  (1)ADで管理しているユーザー・アカウントとパスワードを入力する。
  (2)これをオンにしておくと、以後このファイル・サーバへアクセスする場合は、ここで入力した資格情報が利用されるので、このダイアログは表示されなくなる。

 このようにADでユーザー管理などを行っていても、ファイル・サーバなどへのアクセスは可能なので、運用・管理方法を工夫すれば、実用上はWindows 7 Starterでも大きな問題もなく使える可能性はある。

■自動バックアップ
 Windows 7の新機能である選択したスケジュールでファイルをバックアップする「自動バックアップ」もWindows 7 Starterではサポートされていない。ただ、サードパーティ製のバックアップ・ソフトウェアを利用すれば同様の機能が利用可能だ。

■BitLocker
 Windows Vistaからサポートされたドライブの暗号化機能。ネットブックは、持ち歩くことが多いと思われることから、ドライブ暗号化機能の利用が望ましいが、Windows 7 StarterにはBitLockerは実装されていない。しかしWindows 7 Starterでも、サードパーティ製の暗号化ソフトウェアを利用すれば、同様の機能が利用可能だ。

■DirectAccess/BranchCache
 VPNを利用せずに社内ネットワークに接続可能にする「DirectAccess」、支社などから本社のファイルへのアクセス性能を向上させる「BranchCache」は、Windows 7 Starterには実装されていない。いずれもWindows Server 2008 R2との連携が必要になる機能であることから、Windows 7だけでは意味をなさない。Windows Server 2008 R2の導入を含めた環境構築が必要であり、現時点では、これらの機能を利用するためのハードルは少々高い。現時点では、これらの機能がサポートされていないからといって問題となるようなことはないだろう。

■MUI版(マルチ言語版)
 Multilingual User Interface(MUI)版は、Windows 7 Enterprise/Ultimateのみのサポートとなるため、Windows 7 Starterでは利用できない。MUI版は、言語パックをインストールすることで、インターフェイスの言語をさまざまな言語に変更可能にする機能だ。インターフェイスの言語を日本語以外にする必要がなければ、不要な機能である。

【更新履歴】

【2010/12/22】公開当初、表「Windows 7のエディションによる主な機能の違い」において、StarterとHome Premiumの「自動バックアップ」を「−」としていましたが、自動バックアップ自体は可能であるため、「△(ネットワーク・ドライブ不可)」に修正しました。お詫びして訂正させていただきます。

【2009/10/15】公開当初、Windows XP Modeの項目において「ただネットブックがプロセッサとして採用するAtom N270/N280、Z520は、動作要件となるIntel VT(仮想化支援機能)がサポートされていないので、そもそもネットブックではWindows XP Modeが利用できない。」としておりましたが、Z520はIntel VTをサポートしているため、この項目を修正しました。お詫びして訂正させていただきます。


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