Core i5/i7Windows Insider用語解説

Intelの「Core i5/i7」は、同社として初めてメモリ・コントローラを内蔵するなど、大幅なアーキテクチャ変更が行われている。今回はその特徴などをまとめた。

» 2009年10月19日 00時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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 Intelのx86命令セットを採用するクアッドコア・プロセッサのブランド名。

 Coreマイクロアーキテクチャの後継で、後述のようにメモリ・コントローラを内蔵するなどの大幅な改良が加えられた「Nehalem(ネハレム)マイクロアーキテクチャ」を採用する。Core i7はハイエンド向け製品、Core i5はメインストリーム向け製品となっている。Core i7では、1つのプロセッサ・コアで2つのスレッドが実行できるハイパースレッディングをサポートしている点が、Core i5との大きな違いとなる。ちなみに、Nehalemマイクロアーキテクチャを採用したサーバ向け製品はIntel Xeon 5500番台が提供されている。

Core i7のパッケージ写真

 2008年8月に発表された初代のCore i7では、LGA1366と呼ばれる1366ピンのLGA1366パッケージが採用されていたが、2009年9月発表のCore i7-870/860では1156ピンのLGA1156に変更になり、互換性がなくなっている(Core i5もLGA1156を採用する)。原稿執筆時点のラインアップは下表のとおりである。

モデル名 動作周波数 メモリ・チャネル数 コア数/スレッド数 TDP パッケージ
Core i7 デスクトップ向け
Core i7-975 Extreme Edition 3.33GHz 3 4/8 130W LGA1366
Core i7-965 Extreme Edition 3.20GHz 3 4/8 130W LGA1366
Core i7-950 3.06GHz 3 4/8 130W LGA1366
Core i7-940 2.93GHz 3 4/8 130W LGA1366
Core i7-920 2.66GHz 3 4/8 130W LGA1366
Core i7-870 2.93GHz 2 4/8 95W LGA1156
Core i7-860 2.80GHz 2 4/8 95W LGA1156
Core i7 モバイル向け
Core i7-920XM Extreme Edition 2.00GHz 2 4/8 55W PGA988
Core i7-920XM 1.73GHz 2 4/8 45W PGA988
Core i7-720QM 1.60GHz 2 4/8 45W PGA988
Core i5 デスクトップ向け
Core i5-750 2.66GHz 2 4/4 95W LGA1156
Core i5/i7のラインアップ

 Intelは、デスクトップPCのメインストリーム向けプロセッサを、現在のCore 2 Duo/QuadからCore i5へと切り替えていく予定だ。デスクトップPC向けプロセッサは、以下のような展開となる。ノートPC向けの場合、消費電力やフォームファクタなどが複雑に関係するため、セグメントとブランドの関係が単純ではないが、ハイエンド向けはCore i7、メインストリームがCore 2ファミリ、ネットブック向けがAtomといった展開になる。現在、メインストリーム向けにNehalemマイクロアーキテクチャを採用した製品が提供されていないが、近い将来、このセグメントもCore 2ファミリからCore i5に移行することになるだろう。

ターゲット デスクトップPC向け ノートPC向け
ハイエンドPC向け Core i7 Core i7
メインストリームPC向け Core i5 Core 2ファミリ
バリューPC向け Pentium/Celeron Celeron
ネットトップ/ネットブック向け Atom Atom
Intelのプロセッサ・ブランドの位置付け

Core i5/i7の特徴

 Core i5/i7の最大の特徴は、メモリ・コントローラをプロセッサに統合したことだ。AMDでは、Athlon世代において、すでにメモリ・コントローラをプロセッサに統合していたが、Intel製のPC向けプロセッサとしては初となる。メモリ・コントローラを内蔵することで、メモリ・アクセスにおける遅延の低減やメモリ帯域幅の拡大が可能になり、性能が向上するとしている。なおCore i5-700番台とi7-800番台では2チャネルのDDR3 1066MHzメモリを、Core i7-900番台では3チャネルのDDR3 1066MHzメモリをそれぞれサポートする。

Core i5-700番台/Core i7-800番台のプラットフォームの構成図
Core i5-700番台とi7-800番台では2チャネルのDDR3 1066MHzメモリをサポートする。なおCore i7-900番台では3チャネルのDDR3 1066MHzメモリをサポートするため、プロセッサからDDR3 DIMMへの接続は3本となる。

 また4つのコアで共有する8Mbytesの3次キャッシュ(Intelでは、この3次キャッシュを「スマート・キャッシュ」と呼んでいる)を内蔵している。これにより、キャッシュ・サブシステムが効率化され、性能が向上するという。IntelのデスクトップPC向けのプロセッサでは、過去に「Pentium 4 Extreme Edition」が3次キャッシュを内蔵していたが、サーバ/ワークステーション向けのIntel Xeon MPを流用したハイエンド・ゲーム・ユーザー向けの製品で、かなり特殊な位置付けのものであった。一般向けのデスクトップPC向け製品としては、初の3次キャッシュ内蔵となる。

 従来のフロント・サイド・バス(FSB)やメモリ・インターフェイスに代わるプロセッサとメイン・メモリ、プロセッサとI/Oハブ(I/Oコントローラ)を接続するインターフェイスに「QuickPathインターコネクト(QPI)」を採用したことも、Core i5/i7の特徴だ。QPIは、ポイント・ツー・ポイントのプロセッサ接続となり、従来のFSBの3倍以上の帯域を実現する。なお次期ItaniumでもQPIが採用される予定となっている。

 このほか、各コアの状況に応じてプロセッサの動作周波数を引き上げて高速動作を可能にし、性能を向上させる「ターボ・ブースト・テクノロジ」を採用したことも特徴の1つに挙げられる。例えば、プロセッサ全体の発熱量に余裕がある場合、すべてのコアの動作周波数を上げて、性能を向上させる。また4コアのうち、2つのコアの負荷が低く、発熱量が低いような場合、残りの2つのコアの動作周波数を上げるといった具合だ。

ターボ・ブースト・テクノロジの挙動
プロセッサ全体の発熱量に余裕がある場合、すべてのコアの動作周波数を上げる。また4コアのうち2つのコアの負荷が低く、発熱量が低いような場合、残りの2つのコアの動作周波数を上げる。

 このようにCore i5/i7は、前世代のCore 2ファミリから大きな変更が加えられている。Intelによれば、性能においてもクアッドコアで動作周波数が2.66GHz同士のCore 2 Quad-9400とCore i5-750との比較で、PCMark Vantage OverallでCore i5-750が約27%速いということだ。

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