連載
» 2009年10月20日 00時00分 公開

ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(23):RIPによるルーティングテーブルの作成 (1/2)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。

[内藤佳弥子,グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回は、ディスタンスベクタールーティングプロトコルであるRIPを学習します。RIPは企業内ネットワークで一般的に使用されているルーティングプロトコルです。RIPがルーティングテーブルを作成するプロセスと、ループ回避の仕組み、ルータにRIPを設定する方法を学習しましょう。

ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座 各回のインデックス


RIPによるルーティングテーブルの作成

 RIPはディスタンスベクタールーティングプロトコルです。ディスタンスとは距離、ベクターとは方向を意味します。ディスタンスベクタールーティングプロトコルは、あて先ネットワークとの距離と方向に基づいて、ルーティングテーブルを作成します。距離は、あて先ネットワークまで何個のルータを経由するかで表します。経由するルータの数はホップ数といい、ホップ数をメトリックに使用します。ホップ数0は、そのルータに直接接続されているネットワークを意味し、ホップ数16は、そのネットワークに到達できないことを表します。有効なホップ数の値は15までです。

 当初、各ルータのルーティングテーブルは直接接続されたネットワークだけを学習しています。ルータAなら10.0.0.0と20.0.0.0のネットワークをルーティングテーブルに学習しています。RIPは30秒に1回、自ルータのルーティングテーブルの内容を隣接ルータに送ります。この送信している情報のことをルーティングアップデートといいます。今回は10.0.0.0ネットワークだけに注目して説明します。ルータAは、10.0.0.0ネットワークを、ホップ数を1にして送信します(図1の(1))。ルーティングアップデート時には、自ルーティングテーブル上のホップ数に、プラス1をした数で送信します。このルーティングアップデートをルータBが受信します。ルータBは、自分が学習していないネットワーク10.0.0.0を、伝えられたホップ数でルーティングテーブルに追加します。インターフェイスの項目には、ルーティングアップデートを受信したインターフェイスが自動的に登録されます。

 ルーティングアップデートはルータBからルータAにも送信されます。

図1 RIPによるルーティングテーブルの作成 ※図ではFastEthernetインターフェイスをFaと表記しています。以下の図も同様 図1 RIPによるルーティングテーブルの作成 ※図ではFastEthernetインターフェイスをFaと表記しています。以下の図も同様

確認問題1

問題

 RIPのルーティングアップデートの間隔は何秒に1回ですか。1つ選択してください。

a.180

b.30

c.60

d.10

正解

 b

解説

 正解は選択肢bです。RIPのルーティングアップデートの間隔は30秒に1回です。ルーティングアップデートは、ルーティングテーブルに変更があってもなくても定期的に行われます。

ルーティングループの発生と回避策

 ルーティングループとは、ルーティングテーブルの不具合により、パケットがルータ間をループしてしまう現象のことです。

 RIPのルーティングアップデートは、ルータからルータへ、段階的に伝わります。ルータが正しい経路情報を保持している状態を、コンバージェンスしている状態といいます。もしネットワークがダウンし、ルーティングテーブルが変更になったとします。するとルータが複数台、数珠つなぎに接続されているような環境では、端から端のルータまで経路情報が伝播するのに時間がかかります。これではコンバージェンスが遅くなります。

 コンバージェンスが遅いことで、ルーティングループという現象が発生します。

 図2において、当初は、各ルータではルーティングテーブルがコンバージェンスしており、すべての経路情報が正しくルーティングテーブルに構成されているとします。ここでも10.0.0.0ネットワークだけに注目して説明します。

 ルータAのFa0/0インターフェイスがダウンしました(図2の(1))。ダウンに気付いたルータAは、10.0.0.0の経路情報をルーティングテーブルから削除します(図2の(2))。

 ルータAが10.0.0.0の経路情報を削除した後、ルータBがルータAにルーティングアップデートを送信したとします(図2の(3))。ルータAは、10.0.0.0の経路情報がルーティングテーブルにありませんので、自分が知らなかった経路情報として、10.0.0.0をルーティングテーブルに追加します(図2の(4))。

 今度はルータAからさらにルーティングアップデート(10.0.0.0 ホップ数3)が送信されます(図2の(5))。

 ルータBは、すでに知っているネットワークでも、同じルータAからのアップデートのため、その経路情報をホップ数を書き換えて更新します(図2の(6))。

図2 ルーティングループの発生 図2 ルーティングループの発生(※クリックすると拡大)

 図2の(6)のプロセス終了後のルーティングテーブルは、以下のような正しくない経路情報を保持します。

ルータA
あて先ネットワーク インターフェイス ホップ数
20.0.0.0 Fa0/1 0
30.0.0.0 Fa0/0 1
10.0.0.0 Fa0/1 2

ルータB
あて先ネットワーク インターフェイス ホップ数
20.0.0.0 Fa0/0 0
30.0.0.0 Fa0/1 0
10.0.0.0 Fa0/0 3

 上記のルーティングテーブルを保持しているときに、ルータBが、ホストB(30.0.0.1)からホストA(10.0.0.1)へのパケットを受信したとします。ルータBはルーティングテーブルに従いパケットを転送しますので、ホストAあてのパケットはルータAに転送します。ルータAもルーティングテーブルに従い、ホストAあてのパケットはルータBに転送します。すると、ホストA(10.0.0.1)あてのパケットが、ルータBとルータAの間でループしてしまいます。この現象をルーティングループといいます。

 このようにルーティングループが発生すると、ネットワークが混乱しますので、ルーティングループが起こらないような回避策が考えられています。これらの回避策はRIPを有効にするとCiscoルータではデフォルトで有効になります。

スプリットホライズン……経路情報を受信した際、その情報を送ってきた隣接ルータには送り返さない

ルートポイズニング……ホップ数を最大値にして送信し、隣接ルータに該当ネットワークがダウンしたことを知らせる

ポイズンリバース……ルートポイズニングに対しての応答

ホールドダウンタイマ……無効な経路情報が、誤った情報により上書きされるのを防止するタイマ

トリガードアップデート……緊急アップデート。定期アップデートのタイミングを待たずにルーティングアップデートを送信する

確認問題2

問題

 ルーティングループの回避策にはいくつかの種類があります。定期的なルーティングアップデート以外に、緊急で送信されるアップデートを行う回避策の名称は何ですか。1つ選択してください。

a.ホールドダウンタイマ

b.ポイズンリバース

c.スプリットホライズン

d.トリガードアップデート

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