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» 2009年11月16日 10時00分 公開

ものになるモノ、ならないモノ(36):iPhoneアプリに広告を挿入してガッチリもうけるのだ (1/2)

iPhoneアプリに広告を挿入して1日に50万円ももうけている!と聞き、その仕組みを知りたくて、日米のアドネットワーク企業に聞いた

[山崎潤一郎,@IT]
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 GoogleがAdMobを買収した。買収金額は7億5000万ドル(約750億円)だそうだ(リリース)。

 AdMobはモバイル向けアドネットワーク企業。Googleに買収されるのだから、この手の分野は将来性に満ちているのだろう。とまあ、そういうギョーカイの話はおいておいて、iPhone大好き人間というか、iPhone周辺ビジネスで「お金もうけしたい」と胸算用している人から見ると、iPhoneアプリ向けの広告配信を行っているAdMobという会社は大いに気になる。

 無料アプリで1日に400〜5000ドル(約4万〜50万円)の広告収入(参照記事:広告掲載したiPhoneの無料アプリで1日に400〜5000ドル(約4〜50万円)の広告収入を得ている例もある!)なんてニュースを目にして「もしかしたらオレも行けるかも」って思ったクチで……。だから今回は、日本法人が立ち上がったAdMobと日本のアフィリエイト企業として初のiPhone向け広告配信ネットワークを構築したトラフィックゲートに、iPhoneアプリでもうけるゾ! という切り口でもって話を聞いた。ちなみに、このような広告配信サービスを総称してアドネットワークと呼ぶ。

iPhoneアプリ向けのアフィリエイト広告イメージ(ebayのadmob例) iPhoneアプリ向けのアフィリエイト広告イメージ(ebayのadmob例)

 無料のiPhoneアプリを使っていると、画面上部や下部に50〜60ピクセルくらいの幅で広告が表示されることがある。これが、iPhoneアプリ向けのバナー広告(ディスプレイ広告ともいう)。アプリの開発者であれば、AdMobのようなiPhone向けアドネットワークを運営している企業に開発者登録し、専用のSDKを組み込むことで、自分のアプリに広告を表示させることができる。もちろん、それにより広告収入が得られるというわけだ。

iPhoneの無料アプリ広告で毎月数百万円の利益を得ている例もある

 気になるのは、どの程度の広告収入が得られるのか、という部分であろう。まず、AdMobの場合、広告がクリック(タップ)されるごとに広告主が入札指定した額の60%が入る仕組み。入札制のため金額は一定ではない。例えば、試しに筆者が広告主となってiPhoneアプリ向け広告の設定を行った際は、最低入札額0.03ドル、最高入札額2.12ドルの表示があった(この数字は変化する)。仮に0.03ドル(約3円)に設定した広告が表示され、それがタップされると、アプリ開発者の元には1.8円が分配される。日本人あるいは日本の組織で、iPhoneアプリ広告から多くの収入を得ている例があれば、ぜひ知りたいところだが、「無料アプリの広告表示で毎月数百万円の利益を得ている例もあれば、お小遣い程度の収入の人もいる」(AdMobのジョン・ラーゲリン副社長兼日本法人社長)とだけしか教えてくれなかった。

AdMobのジョン・ラーゲリン副社長兼日本法人社長 「無料アプリの広告表示で毎月数百万円の利益を得ている例もあれば、お小遣い程度の収入の人もいる」というAdMobのジョン・ラーゲリン副社長兼日本法人社長

 一方、トラフィックゲートの「TG Ad for iPhone」では、AdMobのような入札&クリック方式と異なり、純広告に近いスタイルで、「広告が表示(インプレッション)されるごとに広告主側に1.2円の広告掲載料金が発生し、アプリ開発者には、その中から0.5円以上が支払われる」(トラフィックゲートの梅澤亮氏)仕組み。こちらは、広告がクリックされてなくても、とにかくユーザーがアプリを起動さえしてくれれば、そのたびごとにチャリンチャリンと最低0.5円ずつの収入がある「大サービス」(梅澤氏)だ。ちなみに、広告主の側は、最低額10万円から出稿可能で、その場合、1表示1.2円なので約8万3000回の広告表示が約束される。

トラフィックゲート 梅澤亮氏 「最低でも0.5円ずつの収入がある『出血大サービス』中です」というトラフィックゲート 梅澤亮氏

 AdMobとトラフィックゲートの最大の違いは、広告の配信地域。AdMobが世界を対象としているのに対し、トラフィックゲートは現在のところ国内展開のみ。「推定で、iPhoneは200万台、iPod touchは60〜70万台」(ラーゲリン社長)の日本よりも、累計出荷台数で3000万台(8月のAppleの発表)を超えた世界市場を見据えた広告展開を行った方が、一見すると魅力的。ただ、事はそう単純ではなく、例えば、グルメ情報、地域情報、電子書籍、旅行情報といったドメスティックなアプリに関していえば、世界に向けて広告配信しても、あるいは、海外からの広告が表示されても無駄になることもある。だから、どちらが良い悪いではなく、適材適所の問題だ。

 また、トラフィックゲートの場合、AdMobのような完全にシステム化された運用ではなく、営業部隊が広告主とリアルに接触する体制も整っているので、「優良アプリに関しては、営業が個別にセールスを行い、アプリに広告主の広告を一定期間固定表示している例もある」(梅澤氏)という。「ドメスティックな企業だけに日本の広告主はたくさん握っている」(梅澤氏)とも。その場合、アプリ開発元は、月額数十万〜100万円単位の広告収入が得られるそうだ。ちょうど、Webサイトのバナー広告枠セールスのようなイメージであろう。

 ちなみに、優良アプリとはどのようなアプリをいうのだろうか。月額数十万〜100万円単位の広告収入が得られ可能性があるのなら、アプリ開発者として大いに気になる。梅澤氏は「まずは、自分のアプリに弊社の広告配信用SDKを埋め込んでリリースしてほしい。そのうえで月間50万インプレッション(表示)もあれば、個別の広告掲載の話も進めることが可能」と明かす。50万ということは、仮に5万人がダウンロードして、1人につき月に10回アプリを起動してもらえばいいわけだから、めちゃめちゃハードルが高い、というわけでもない。なんとかなるかもしれない、と思わせる数字(ですよね)だ。まあ、たとえ個別に広告は取れなくても、50万表示ということは、通常のインプレッション(表示)カウントでも、月額25万円の広告収入があるわけだから、それでも満足なわけだが……。

 その一方で、AdMobが世界展開しかできない、というわけではなく、画面2にもあるように、広告を出稿する側が、出稿地域を細かく設定できることからドメスティックなアプリにはそれにふさわしい広告表示がなされるようだ。

画面2 広告を出稿する側が、出稿地域を細かく設定できる 画面2 広告を出稿する側が、出稿地域を細かく設定できる

 実際、ラーゲリン社長も「弊社は、iPhone以前から、WAP端末向けの世界最大のアドネットワークを構築しているので、その仕組みを利用して、携帯電話事業者やWi-Fiのアドレスから、国や地域を特定して展開することが可能」と胸を張る。

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