マイクロソフト技術者の誇り「日本一詳しい技術者へ」就活学生のための注目イベントレポート(2/2 ページ)

» 2009年12月04日 00時00分 公開
[金武明日香@IT]
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「24時間365日のサポート」を提供する、サポートエンジニアの仕事

マイクロソフトコマーシャルテクニカルサポートエスカレーションエンジニア 佐藤誠氏 マイクロソフト
コマーシャルテクニカルサポート
エスカレーションエンジニア 佐藤誠氏

 その後、同社のコマーシャルテクニカルサポート エスカレーションエンジニアの佐藤誠氏が自身の仕事とキャリアについて語った。佐藤氏は社会人経験12年目のエンジニア。1998年入社して以来、サポートエンジニアやオンサイト担当エンジニア、アメリカ勤務などを経て、2004年からエスカレーションエンジニアとして働いている。

 「マイクロソフトの企業向けサポートサービスには、『プレミアサポート』と『プロフェッショナルサポート』の2種類があります」と佐藤氏は語る。

 「プレミアサポート」は、大企業向けの技術サポートを行う。各企業には「テクニカルアカウントマネージャー」という専属のコーディネータがおり、彼らが解決できなかった問題をサポートエンジニアが分析する。サポートエンジニアは、実際に企業に伺ってシステムを見ることもある。「プロフェッショナルサポート」は、少し規模が中・小企業向けのサービスだ。顧客とのコミュニケーションは、電話やメールで行う。

 「サポートサービスと聞くと、コールセンターやヘルプデスクを想像する人もいるでしょう。しかし、マイクロソフトのサポートサービスは、問題のある個所を見て必要に応じてソースコードを解析したり、修正プログラムを提供するのが仕事です」

 通常は日中のみ働くが、緊急の場合は365日24時間のサポートを行い、システムトラブルの解決をする。高い技術力が求められるため、他部門からの問い合わせに対応することもある。

「日本でわたしたち以上に分かる人がいない」という誇りを持って働く

 仕事のやりがいについて、佐藤氏は「お客様からの高い期待があり、それに応えようと思うところ」と語った。

 「マイクロソフト製品について、わたしたちは日本一の知識と技術力を持った集団です。日本でわたしたち以上に分かる人は誰もいない、また分かっていなければならない、という誇りを持っています」。

 平均、月に10件から20件の新規案件を担当しているため、実に幅広い企業のシステムとかかわることができるのも魅力だという。

 マイクロソフトで働くメリットとして、佐藤氏は「ITエンジニアとしてのキャリアが積めること」「海外へ行けるチャンスが多いこと」を挙げた。また、マイクロソフトに向いている人材像として、「技術を極めたい、お客様の役に立ちたい、マイクロソフト製品が好き、という人が向いているかもしれませんね」とアドバイスした。

採用プロセスから職場の雰囲気まで――学生からは多くの質問が

マイクロソフト サポートエンジニア村木由梨香氏 マイクロソフト サポートエンジニア
村木由梨香氏

 質問コーナーでは、サポートエンジニアの村木由梨香氏が登場した。村木氏はアメリカの大学でハードウェア関係について学び、2006年にマイクロソフトへ入社した。現在は、Windowsのサポートエンジニアとして働いている。

 マイクロソフトで働くエンジニア2人に向けて、学生からは多くの質問が寄せられた。

――どんなことを実現しようと思いマイクロソフトに入社しましたか? また、入社して実現することができましたか?

佐藤氏:「入社当時のわたしは、システムエンジニアを目指していました。しかし、サポートの仕事をするうちに、サポートの仕事を楽しいと思うようになりました。当時の会長(古川享氏)に、『OSの開発者は狭いコンポーネントについて担当するが、サポートは端から端まで見ることができる』といわれたのが印象に残っています。いまではサポートエンジニアの仕事を非常に魅力的だと思っています」

村木氏:「社会でどのようにソフトウェアが使われているのかを学びたくてマイクロソフトに入社しました。Windowsのソースコードはすごい仕組みになっていて、大学で使っていたコードとは桁違いです。そうしたすごい技術を、現場で学ぶことができるのが魅力です」

――入社時の英語のレベルはどれくらいでしたか?

佐藤氏:「入社時はあまり得意ではありませんでした。現在は、TOEICで大体3分の2ぐらいの点数を取っています」

村木氏:アメリカの大学に通っていたため、比較的流暢に話すことができます。でも、英語ができなければ駄目というわけではありません。英語を学んでいきたいという気持ちが大事なのではないでしょうか。学びたいという意欲さえあれば、マイクロソフトには英語を学ぶ十分な環境が整っています」

――サポートエンジニアの一般的なキャリアパスとは、どのようなものですか?

村木氏:「わたしは将来、開発職に進みたいと思っていますが、キャリアパスについては人それぞれです。開発職に進んだ人、コンサルタントやマネージャになった人もいます。自分が行きたい部門、やりたい仕事内容を選ぶことができるので、『こういうキャリアパスが普通』というのは特にないですね」

――マイクロソフトの製品は、主にアメリカで開発されているのですか?

児玉氏:「アメリカでの開発が中心ですが、日本にも開発部隊はいます。Officeチームが一番大きいですね」

――(村木氏に)アメリカで働かず、日本で働くことに決めた理由は何でしょうか?

村木氏:「わたしはどの国で働くということを考えていたわけではなく、どういう仕事をしたいかと考えて就職活動をしていました。また、自由な環境で仕事をしたいと思っていました。マイクロソフトを受験したときに、この会社なら自由に働けそうだと思えました。たまたま勤務地が日本だったので、日本に帰ってきたのです」

――オーナーとして仕事をするとき、仕事の雰囲気はどのようなものですか? 1人で黙々とコードを書いているのか、それともチームとしてしっかりまとまって仕事をしているのでしょうか。

佐藤氏:「自分の仕事はもちろんありますが、分からないところがあれば自由に他の人に聞ける雰囲気があります。最終的には、チームで結果を出します。黙々とコードを書くという雰囲気はあまりないですね」

――「開発元ならではのメリット」とはどのようなものですか?

佐藤氏:「自社製品でないと、接触できる公開情報は限られてきます。マイクロソフトにいれば、製品のソースコードを見ることができ、場合によっては書くこともできます。また、開発しているエンジニアから直接コメントをもらえる魅力があります」

村木氏:「確かに。開発者に、何でこういう風に作ったの? ということを直接聞いたりもできます」

佐藤氏:「自分たちのフィードバックが、次の製品に生かされるのも魅力ですね」

村木氏:「いま、Windows 8をどうすればいい? という話をしています」

――仕事をしていて、不満に感じる点はありますか?

佐藤氏:「場合によっては、24時間365日の体制をとることもあります。ある意味で『自己犠牲』 が求められるため、向いていない人はいるかもしれない。夜中の作業が難しい人のことを考慮して、希望者のみが夜間シフトに入る体制をとっています」

村木氏:「わたしは、不満が本当にないんです。挙げるとすれば、『社員食堂がない』ことくらいでしょうか」

――文学部学生なのですが、営業職と技術職の両方を受けることができますか?

児玉氏:「マイクロソフトでは、職種別で新卒採用を行っています。まず営業・マーケ職か技術職、どちらかを入り口に選んでいただきます。面接でその方のやりたいことや適性を見ながらいろいろと具体的な職種の話をするため、選考途中で『営業から技術へ』というように変更することもできます」

――これまでやってきた仕事のうち、印象深かったものは何ですか?

佐藤氏:「8、9年前、Windowsプラットフォームで大規模な勘定系システムを導入するとき、1カ月ぐらいお客様先に張り付いていたことがありました。毎日働いていたため非常に大変でしたが、自分の仕事がニュースとして報道されたときは大変なやりがいを感じました」

――面接では、どのようなことを聞かれるのでしょうか?

児玉氏:「面接は会話を中心に進めていきます。マイクロソフトの6つの価値観と照らし合わせて、その人はどういうものを持っているのか、どういう考え方をしているのか、ということをお聞きしています」

――海外への異動について教えてください。

佐藤氏:「サポートサービス部門からは、アメリカの製品開発チームや修正プログラムのチームに行くケースが多いです。期間はケースバイケースで、短期1年のインターシップで行く人もいれば、日本法人を辞めて米国法人に入社し直す人もいます」


 45分間、質問が途切れることはなかった。学生たちは、イベント終了後も積極的にエンジニアたちに質問を行っていた。

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