高速なコンバージェンスを実現するEIGRPを学習するネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(25)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。

» 2009年12月24日 00時00分 公開
[内藤佳弥子グローバル ナレッジ ネットワーク]

 今回は、ディスタンスベクタープロトコルとリンクステートプロトコルの両方の特徴を持つEIGRPについて学習します。EIGRPはシスコ独自のプロトコルで、コンバージェンスが高速です。また、ルーティングテーブルのほかにいくつかの独自のテーブルを保持します。EIGRPは、拡張ディスタンスベクタープロトコルやハイブリッド型プロトコルと呼ばれることもあります。

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EIGRPの特徴EIGRPの特徴

 EIGRPの特徴をまとめると、以下のようになります。

●高速なコンバージェンスを実現する
●デフォルトで帯域幅と遅延をメトリックに使用する
●等コストパスロードバランシング、不等コストパスロードバランシングをサポートする
●定期的なアップデートは行わず、トポロジに変更があった場合、差分アップデートを行う
●複数のネットワーク層プロトコルをサポートする

 それでは、特徴を1つずつ解説していきます。

●高速なコンバージェンスを実現する

 EIGRPは、DUALと呼ばれる仕組みを使用して、高速なコンバージェンスを実現します。「最適な経路」のほかに「2番目に最適な経路」をあらかじめ用意しておきます。障害発生時に「最適な経路」がダウンしても、「2番目に最適な経路」に即座に切り替えることによって、高速なコンバージェンスを行います。最適な経路のことを「サクセサ」、2番目に最適な経路を「フィージブルサクセサ」と呼びます。

●デフォルトで帯域幅と遅延をメトリックに使用する

 あて先ネットワークまでのメトリック(距離)は、デフォルトでは帯域幅と遅延から計算される値です。そのほかにも信頼性や負荷をメトリックの計算に使用することもできます。

●等コストパスロードバランシング、不等コストパスロードバランシングをサポートする

 コストとは、ここではメトリックと同じ意味でとらえてください。等コストパスロードバランシングとは、あて先ネットワークまでメトリックが等しい経路が複数存在した場合、負荷分散を行う機能です。デフォルトでは最小メトリックの経路を4つまでルーティングテーブルに格納し、負荷分散することができます。

 不等コストパスロードバランシングは、メトリックが等しくない経路間でも、負荷分散を行う機能です。図1に表示されているメトリックは、ルータAから、あて先ネットワーク10.1.1.0/24までのメトリックです。

図1 等コストパスロードバランシングと不等コストパスロードバランシング 図1 等コストパスロードバランシングと不等コストパスロードバランシング

●定期的なアップデートは行わず、トポロジに変更があった場合、差分アップデートを行う

 EIGRPは、RIPとは異なり定期的なアップデートは行いません。トポロジに変更があった場合、変更内容だけをアップデートします。

確認問題2

問題

 EIGRPの特徴はどれですか。2つ選択してください。

a.定期的なアップデートを行う

b.デフォルトのメトリックは帯域幅と遅延である

c.ネットワーク層のプロトコルはIPだけサポートしている

d.不等コストパスロードバランシングは行わない

e.トポロジに変更があった場合、差分アップデートを行う

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