Kさんは入社10年目のSEです。入社2年目の後輩SE Fさんの指導役を引き受けています。
ある日、Fさんが「チェックしてほしい」と持ってきた書類を見て、Kさんはがくぜんとしました。部分的には正しいのですが、全体として内容が矛盾しているのです。そう指摘すると、「ググったとき、ここの部分は使えそうだと思ったんですが、駄目ですか?」という答えが返ってきました。
Kさんは「全体の筋道が通るように、自分で考えないと駄目じゃないか」としかりました。そのとき、Fさんはぶぜんとした表情だったそうです。翌朝、Fさんは突然「体調が悪い」という理由で会社を休みました。
「自分のいい方が悪かったのだろうか。後輩の指導は難しい。自信をなくします……」とKさんは相談にいらっしゃいました。
Kさんほどの経験を積むと「後輩指導」が仕事のうちに入ってきます。しかし、年齢の違う後輩とは、感情的なすれ違いが起きることがままあります。自分自身の業務も忙しいので、後輩指導はストレスがたまる役割です。どのようにしたらいいのでしょうか。
「自分たちが会社に入ったころは、とにかく先輩のやっていることを盗もうとしたものですよ。『こんなときはこうするのか……』と見てはまねる。そういうことをずっと繰り返してきました。もし自分で分からなければ、先輩に聞いて確認しました。ところが、(1)Fさんは聞いてこないんですよね。自分で調べる姿勢は伸ばしていきたいんですが、方向性が違っていたりすると『もっと早く聞いてくれればよかったのに』と思ってしまいます」 と、Kさんはいいます。
「そもそも(2)自分のころは検索エンジンなんてありませんでした。このままいくと、Fさんは自分で内容を考えて確認することをしなくなってしまうでしょう。しかし、わたしは『それでFさんのためになるのか』と考えてしまうんです。彼のためを思って注意しても、Fさんにとっては(3)休んでしまうくらい、厳しいいい方だったらしいですし……」とも。
Kさんは、Fさんが質問してこないことに不満や不安を抱いています。Fさんぐらいの若い人には「人をわずらわせないようにする傾向」があります。「相手は忙しそうだから……」と聞くのをためらうことが多いようです。
しかし、仕事をしている以上、聞かずに済むことばかりではありません。必ずどこかで行き詰まります。1人で抱え込むと仕事がストップし、結果としてストレスがたまり会社に行きたくなくなる、といった状況を生む場合があります。
このような場合、先輩側に工夫が必要です。自分で調べることも大切、しかし適切なタイミングで相談してもらうことも大切なのです。
(1)話し掛けやすい関係を作る
まず、声を掛けられたときには、きちんと向き合うようにしましょう。話を遮らずに最後まで聞くことも重要です。途中で口を挟むと「でも……」になりやすいからです。話を最後まで聞いたら、後輩がどう考えたのかを聞きましょう。正論を先にいってしまうと、時間短縮にはなりますが、相手の受身を助長します。
(2)“なぜ”ではなく“どうしたら”を問う
「なぜ」と聞くとどうしても責める雰囲気になりがち。問題があったら、「どうしたらいいと思う?」と聞くと未来指向になります。
(3)伝わったかどうか確認する
理解が不十分なままだと、次に問題が起きたときに、「あのときこういったじゃないか」とお互いにいい合いになります。「分かった?」と聞くだけでは答えが「Yes」「No」だけで終わってしまうので、できれば「どう分かったか」を言葉にしてもらいましょう。
このやり方について、Kさんは「ずいぶん丁寧だなあ」と感想を漏らしました。Kさんは、就職氷河期に入社した世代です。自分の後輩がいない時期があり、先輩が若い人を育てるプロセスを間近で見ていないのかもしれません。自分が新人のころのイメージが強く残っているため、違和感があるのでしょう。
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