連載
» 2010年09月02日 00時00分 公開

企業システムの常識をJBossで身につける(11):「全体を見る」ためのビジネスプロセス・BPMの常識 (1/4)

企業向けアプリケーションのさまざまな“常識”をJavaのオープンソース・フレームワーク群である「JBoss」から学んでいきましょう。企業システムを構築するうえでの基礎となる知識をリファレンス感覚で説明していきます。初心者から中堅、ベテランまで大歓迎!

[相原淳, 多田丈晃, 上川伸彦,株式会社ビーブレイクシステムズ]

組織全体の「見える化」「情報の共有化」を目指して

 企業の活動において業務の流れや情報の共有化は、非常に重要なコンセプトの1つです。日々の業務状況をリアルタイムに把握することで、組織全体の「見える化」「情報の共有化」につながります。

 このような背景から、業務効率やサービス品質の向上を目指すため、企業は「BPMビジネスプロセスマネジメント)」という手法を重要視しています。この手法を用いることで、企業は業務のプロセス合理化と効率化を図り、問題や課題を解決しています。

 今回は、このビジネスプロセスについて説明し、JBossのプロダクトの1つである「JBoss jBPM」について説明していきます。

いまさら聞けない「ビジネスプロセス」「BPM」とは

 ビジネスプロセスとは、ビジネスの目標を達成するための活動の流れの集合です。また、BPMとはBusiness Process Managementの略称で、組織の改善活動や経営戦略の向上を実現させるためのマネジメントを表します。プロセス合理化と効率化を図ることで、業務ワークフローの向上を目指しています。

PDCAサイクルとは

 この業務ワークフローの向上は、業務のプロセスをPDCAサイクルに分けて改善を行っていく手法であり以下のようなサイクルの段階に分けられています。

  • 計画(Plan):業務改善の計画を立てる
  • 実施・実行(Do):計画に沿って実行
  • 検証・評価(Check):実施したものを検証
  • 改善・再構築(Act):改善内容を次の計画に反映

 このPDCAサイクルの具体的なイメージを以下に示します。

図1 PDCAサイクルのイメージ 図1 PDCAサイクルのイメージ

 企業におけるビジネスプロセスマネジメントは、このようなライフサイクルを繰り返すことで経営や業務の改善を見直しています。このPDCAのサイクルは、ビジネスプロセスを継続的に改善するために取り入れられている考え方です。

以前は「BPR」

 BPMが使われる以前は、「BPR」という手法が取り入れられていました。「BPR(Business Process Reengineering)」とは、企業活動において、企業の収益や顧客からの信頼の向上を目的として、業務内容やフロー(ビジネスプロセス)を分析、最適化する手法です。

 これは、企業改革のために既存の組織やビジネスルールを見直すことで、ビジネスプロセスの視点から企業における業務フローやシステムを再設計(リエンジニアリング)することを目的としています。意味合いとしてはBPMと同じ感覚ですが、BPMは長期的なプロセスの改善を意味しており、一方のBPRは単期間のプロジェクトの改善という違いがあります

 このようにビジネスプロセスとは、業務のプロセスを段階ごとに分けることで業務を見直し、業務効率の向上を図っていく手法であることをお分かりいただけたと思います

JBoss Droolsは次回

 このようなの考え方を基に、本連載の要であるJBossのプロダクトを用いてビジネスプロセスマネジメントを説明します。このビジネスプロセスと結び付くJBossのプロダクトには、「JBoss jBPM」「JBoss Drools」があります。今回は、JBoss jBPMを中心に説明します。また、JBoss Droolsに関しては、次回説明します。

 次項では、JBoss jBPMを説明する前に、まず「BPMS」という手法について説明していきます。

BPMを実現するプラットフォーム群「BPMS」とは

 「BPMS」とはBusiness Process Management Suiteの略称であり、「ビジネスルール管理システム」と呼ばれています。これは、前述で説明したBPMを実現させるためのプラットフォーム群を意味しており、ビジネスプロセスモデリングツールワークフローエンジンモニタリングなどがあります。

 これらは、具体的に以下のような機能に相当します。

  • グラフィカルなビジネスプロセスの表示
  • 業務ワークフロー管理
  • ビジネスルール管理
  • システム連携
  • プロセスモニタリング機能

 このような機能を用いることで、以下につながっていきます。

  • 組織構造やプロジェクトの進ちょく・作業状況の見える化
  • ビジネスプロセス全体の効率化
  • システムの品質向上
  • コスト削減

BPMSの表記法・言語

 BPMSでは、業界標準の表記法を使用しており、「BPMNBusiness Process Modeling Notation)」という手法が用いられています。これは、「ビジネスプロセスモデリング記法」と呼ばれ、「BPMI.org」の標準仕様として定義されています。

 また、BPMNとは別に、「BPELBusiness Process Execution Language)」というビジネスプロセスモデリング言語があります。これは、例を挙げると「注文を受け付け」「在庫を確認」「発注」といった一連のビジネスプロセスがあった場合、各プロセスのサービスを組み合わせて定義するXMLベースの言語です。

 なお、BPELはXML関連の標準化団体である「OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)」によって策定されています。

 グラフィカルに表記するものとして、このほかにもモデリング言語としてUMLUnified Modeling Language)や、業務でなじみの深いER図Entity Relationship Diagram)などがあり、これによって全体の設計を把握できます。

JBoss jBPMはBPMS

 本連載で説明するJBoss jBPMは、先ほど説明した「BPMSの位置付けにある」といえます。さらに詳細なBPMSの説明については、以下の記事を参考にしてください。

 以上が、ビジネスプロセスについての説明です。このようなことを踏まえて、次ページではJBoss jBPMについて説明します。

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