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» 2010年09月15日 00時00分 UPDATE

海外から見た! ニッポン人エンジニア(6):日本から1歩踏み出せ。海外で働く可能性を考えよ (1/2)

時代を読む力は、生き残れるエンジニアの必須条件である。本連載では、海外と深い接点を持つ人物へのインタビューをとおして、IT業界の世界的な動向をお届けする。ITエンジニア自らが時代を読み解き、キャリアを構築するヒントとしていただきたい。

[小平達也,@IT]

 あるときは案件があふれ、またあるときは枯渇して皆無となる……。「景況感に左右されないエンジニアになるためには、どうすればいいのか」。これは多くのエンジニアにとって共通の課題であろう。

時代を読む力は、生き残れるエンジニアの必須条件だ。

 2009年11月からスタートした「海外から見た! ニッポン人エンジニア」では、グローバルに特化した組織・人事コンサルティングを行うジェイエーエス 代表取締役社長 小平達也が、海外と深い接点を持つ人物へのインタビューを通じ、世界の経済・技術動向、文化や政治などの外部環境の最新状況を掘り下げていく。

 今回は、組織・人事コンサルタントとして25年以上の経験を持ち、500社以上の日本企業・欧米企業に対してコンサルティングアドバイスを提供してきた、エーオン コンサルティング ジャパン 代表取締役会長の大滝令嗣氏に話を聞いた。

 同氏はアメリカで博士号を取得した後に東芝へ入社。その後、アメリカのコンサルティング会社に転じ、マーサージャパンの代表取締役社長・会長及びアジア代表を歴任。ヘイコンサルティンググループの代表取締役としてアジア代表を務めたほか、シンガポール経済開発庁(EDB)の元ボードメンバーも務めていた。ここ数年は、早稲田大学ビジネススクール客員教授として教える傍ら、シンガポール南洋理工大学=早稲田大学ダブルMBAプログラムにおいて「技術戦略と経営」を担当している。多様な立場からグローバルビジネスリーダーを育成に取り組んでいる同氏の目に、ニッポン人エンジニアはどう映っているのか。



国内にとどまるか、海外を目指すか?

大滝令嗣氏 エーオン コンサルティング ジャパン
大滝令嗣氏

小平:大滝さんは「人事コンサルタント」や「経営者」「大学教授」という多様な立場から、グローバルビジネスリーダーの育成に取り組んでいらっしゃいます。もともと理工系出身で『理系思考 エンジニアだからできること』という著書を出版なさっていますが、ニッポン人エンジニアを取り巻くいまの環境について、どのようにお考えですか。

大滝氏: IT業界は、欧米企業はもちろんのこと、中国やインドなど新興国の企業も拡大傾向で、非常に勢いがありますね。優秀な海外の人材が質・量の両面で多数出ていることは、日本人エンジニアにとっては脅威かもしれません。ですが、必ずしも脅威だけではないと思います。「日本語環境におけるITソリューション」、つまり「グローバルマーケット中の日本語環境」というニッチなマーケットでは、それなりにニーズがあります。なので、「海外エンジニアの台頭によって、日本人エンジニアの仕事がすぐになくなる」ということはないと思います。

小平:「日本企業向けの日本語環境」で開発する場合、日本人エンジニアは引き続き仕事をしていけるということですね。この点を拡大すると「グローバル/国内」「技術者/マネジメント」という2つの軸で、ニッポン人エンジニアの志向性を4つに分類できるのではないかと思います。

  • 第1分類:国内(ドメスティック)エンジニア。エンジニアとして、日本語環境におけるITソリューションを提供する
  • 第2分類: グローバルエンジニア。エンジニアとして、グローバルなマーケットを視野に入れたITソリューションを提供する
  • 第3分類:国内(ドメスティック)マネージャ。マネージャとして、日本人を束ねて国内業務を遂行する
  • 第4分類:グローバルマネージャ。マネージャとして、国籍を問わない優秀人材を束ねてグローバルに業務を遂行する

 先ほどお話に出た、「日本語環境におけるITソリューション」の提供は、「国内(ドメスティック)エンジニア」に分類できると思います。「国内マーケットのために開発を行っても、将来的に仕事は続けられる」、確かにおっしゃるとおりです。ですが、国内だけを見てほかの選択肢を考慮しないのではなく、「グローバルエンジニア」「国内(ドメスティック)マネージャ」「グローバルマネージャ」のように、キャリア形成には多様な選択肢があるとエンジニアが認識することが重要なのではないでしょうか。

大滝氏:そのとおりです。日本人エンジニアは、「グローバルマネージャ」のように、「ゆくゆくは中国やインドの優秀な人材を使いこなす!」といった姿勢を持ってほしいですね。わざわざ海外のエンジニアと「競争」する必要は、必ずしもないのではないかと思います。

「国内ばかりに閉じこもらない」悩むより先に行動してみる

小平:日本人エンジニアが「グローバルエンジニア」や「グローバルマネージャ」を目指していくにあたり、大切なことは何でしょうか。

大滝氏:まず、「自分の世界に閉じこもらない」ことです。エンジニアはあまり外に出ないですし、バグつぶしといったミクロな物事への集中力が求められる仕事ですが、だからといって閉じこもって卑屈にならないことが必要です。

 これは「国内」「国外」という面でも同じです。国内ばかりに閉じこもっていてはいけない。だからといって、いきなり仕事方面で「グローバル化」を目指すのはなかなか難しいのも事実です。なので、まずは自分の興味分野でも何でもいいので、海外に1歩踏み出してみてほしい。

 タイで本場のトムヤンクンを食べたい、マレーシアのきれいな海でダイビングをしたいなど、きっかけは何でもいいのです。海外に出向いて、五感で「海外そのものを体験してみる」ことが重要です。

 大事なのは「ポジティブ」さです。だまされたと思って、「どうにかなるさ」とポジティブに考えて行動してみてください。いずれ海外を目指すなら、「国内」から1歩踏み出して、日常を抜け出してみることです。まずはここから始まります。

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