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» 2010年12月21日 00時00分 UPDATE

早稲田大学と日本電気・NECラーニングが共同講座を開講:新人研修をカスタマイズした講義で、座学で得られぬ経験を

[金武明日香,@IT]

 IT企業と教育機関が共同で若手育成を行う「産学連携」の試みとして注目を集めるのが、「PBL」(Project Based Learning)だ。現在、全国の情報系学部が、PBL型の講義を展開し始めている。

 PBLは、手を動かしながら学習を進める「実践型教育」手法である。通常、大学の講義は理論的なことを扱う座学が中心だが、PBLはここで取り扱わない「実践」の部分を補うものだ。

 早稲田大学 基幹理工学部 情報理工学科は、いち早くPBLを講義に取り入れた。日本電気・NECラーニングと共同でIT人材育成講座を展開している。現場のエンジニアが仕事で行っているような、チームによるソフトウェア開発を学生のうちに経験してもらうことで、エンジニアの仕事内容について具体的なイメージを持てるメリットがあるという。

新入社員教育の教材を学生用にカスタマイズ

 そのうちの1つ、「システム開発プロジェクト基礎」は夏季休暇中に行われた。講座は、日本電気の新入社員教育の一部を学生用にカスタマイズしたものだ。NECラーニングの大久保雅司氏が講師を勤め、3〜4年生を中心として約20人ほどが受講した。

 講座内容は、徹底した「短期集中型」である。システム構築の概論から入り、プロジェクトの立ち上げや要件定義、システム設計までを、朝から晩まで5日間かけて、集中的に学ぶ。この密度は、実際の現場に少しでも近いスピードで実習を体験してもらうことを意図しているという。

 講義のテーマは「ユーザー企業のポータルサイト構築」。午前中は座学で基礎を学び、午後はグループワークを行うという構成だ。学生は、4〜5人のグループになって作業を進める。講師が扮(ふん)するユーザー企業担当者に要件をインタビューした後、要件定義に落とし込んで遷移図を作成する。講師側は、聞かれたことには答えるが、それ以外はあまりアドバイスを与えない方針だ。概要の解説時にも、具体的な手順は示さない。そうすることで、学生に「考える習慣」を付けてもらいたいと、大久保氏は語る。

 午後の授業では、各チームが遷移図とポータルサイトのトップ画面を作成し、皆の前で発表した。同じ要件でも、インタビューでヒアリングした内容やこだわるポイントは、チームごとによって異なる。あるチームは注文商品の見やすさに着目し、写真などを使ったトップページを作る。別のグループは「FAXで注文受付をしていた」というこれまでの業務フローを踏襲した作り込みを行うなど、チームの個性が出る発表となった。これらの発表に対して、講師側は、ユーザーの立場から「このチェックボックスは何に使うのか」「商品番号の直打ちはできないのか」「見積書は1回に1つずつしか作成できないのか」など、具体的な質問をしていく。講義終了後も質問が相次ぐなど、活発な雰囲気を見せた。

 早稲田大学 基幹理工学部 情報理工学科 准教授の鷲崎弘宜氏は、学生側のメリットとして「自分が学んできた基礎理論を、実践の現場でどう生かせるのかが理解できる」こと、企業側のメリットとして「早いうちからチームによる開発経験を持つ若手が育つことで、企業が活性化する」ことを挙げた。

「集中講義を行うことで、これまでのカリキュラムで不足していた“実践”の部分を補うことができた。学生は、実践の流れを知ることで、進路を考えるきっかけにもなると思う。今後もこのような形の講義を続けていきたい」

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