連載
» 2011年05月16日 00時00分 公開

新任PMがついやってしまうNG集(3):時間の無駄? 進捗会議が泥沼にはまる理由 (1/2)

1人で仕事をしているプログラマ時代は、ばりばり仕事がこなせたのに、PMになった途端に仕事がうまく進まない! そんな新任PMの悩みを解決するTipsを紹介します。

[水口和彦,ビズアーク]

会議は「時間の無駄」ですか?

 管理ツールや報告書を見ている限りにおいては、メンバーの仕事は何事もなく順風満帆に進んでいるように見えます。進捗(しんちょく)率も予定どおり推移中。

 しかし、「進捗率」の数字なんて当てにはなりません。そのことに、あなたもうすうす気が付いているでしょう。実際、進捗会議で確認してみると、予定どおりの数字と実態がまったく違っていたり、問題が山積みだと発覚することはよくあります。その事実についてメンバーが指摘すると、「そもそも仕事が忙しすぎるのが悪いんですよ!」と逆ギレされて、進捗会議が泥沼にはまってしまう……そんな経験はないでしょうか?

 今回は、進捗会議が泥沼化する原因と、その解決策がテーマです。

報告します。進捗会議が泥沼にはまりました

 現在では少なくなりつつありますが、かつての開発現場では、進捗会議が紛糾することが多かったそうです。大きな原因の1つが、「進捗率」です。

 進捗を確認するはずの会議で、なぜ進捗率が問題になるのでしょうか? ちょっと不思議ですが、それなりの理由があるのです。

 例えば、10日間かかる予定の作業があったとしましょう。メンバーからの報告を見ていると、進捗率は順調に伸びて80%。この数字を見たPM(プロジェクトマネージャ)は、当然「この仕事はあと2日で終わる」と考えるでしょう。

  • 10日間かかる仕事の進捗率が80%=あと2日で作業完了
  • 10日間かかる仕事の進捗率が90%=あと1日で作業完了

 しかし、実際に進捗会議の場で確認してみると、進捗率と実際の進み具合が異なっていることはままあります。

 「80%なら、あと2日で終わるね」

 「いえ、終わりません」

 「えっ、なんで終わらないの?」

 「別のバグがあるので、もう少し時間がかかります」

 「じゃあ、なんで80%って報告したんだ!」

 「この件について、想定していた作業は80%終わっています。バグの問題はまた別ですから」

 こうなると、新任PMの中には頭に血が上ってしまう人もいます。会議が紛糾してしまうのも、無理ありません。

「進捗率」、あなたを当てにしてもいいですか?

 また、「進捗率」は別の形で問題になる場合があります。

 メンバーからの報告を聞く限りは、進捗率は「50%→60%」と順調に上昇しています。ところが、80%や90%近くになると、なぜか急に進捗率の伸びが鈍化してきます。「他の仕事で時間が取られて、進捗していないのかな?」と思って様子を見ていたものの、進捗率 が伸びる様子は一向にありません。焦ったPMが「何か問題があるのかな?」と聞いてみると、そこでようやく「技術的な問題や予想外のトラブル」があったことが分かり、工程は結局予定どおり終わらない……。

 このように「進捗率」にまつわる問題は数え切れないほど転がっています。経験を積むと、「メンバーの自己評価による進捗率は当てにならない」と割り切るようになるPMが多いのも、これが一因です。また、現在では「進捗率」による管理を行わないプロジェクトも増えつつあります。進捗率が当てにならないのはなぜでしょうか? これはなかなか根が深い問題なので、もう少し考察を深めましょう。

「本当の進捗」を確認するためのシンプルな方法

 「進捗率など当てにならない」なら、どう管理すればいいでしょうか。1つの解決策は、前回「『大丈夫、問題ない』というメンバーの報告を信じてはいけない理由」で紹介したように、「いつ終わる?」と作業が 終了する具体的な予定日を聞くことです。

 シンプル・イズ・ベスト。中には、「いわゆる進捗率」と「本当の進捗確認」を意図的に使い分けているPMすらいます。会社のルールとして進捗率を出す必要がある場合、メンバーに進捗率の数字は出してもらいます。しかし、当のPMは進捗率などまったく信用していないので、実際の進捗については「いつ終わる?」方式で確認していくのです。

 さながら、本音と建前を使い分ける武士のようですが、PMは「今の仕組みではこのやり方しかない」と言いますし、確かにこの方法は現実的な解の1つではあります。特に、工程の前半はまだしも、後半(進捗率が50%を超えてから)の進捗率報告はほとんどといっていいほど当てにならないものなので、「いつ終わる?」方式の方がずっと信頼できます。

これは分母の問題、小学生レベルの数式の問題です

 このように、「進捗率による管理」における問題は山のようにありますが、この問題の根本的な原因については、実はほぼ一言で言い表せます。

 ずばり、「分母(必要な工数)の変化が反映されない/されにくい」

 先ほど取り上げたとおり、実働日で10日間かかる工程がある場合、そのうち8日分の作業が完了しているなら、進捗率は「分母=10日、分子=8日」で8 /10=80%です。

 一方、予想外の問題が発生して、その解決のために追加で2日分の工数がかかるなら、その工程にかかる工数は全部で12日分に変わります。そのうち8日分の作業が完了しているなら、「分母=12日、分子=8日」で進捗率は8/12≒67%となるはずです。しかし進捗率が下がったにもかかわらず、変わらず8/10=80%と報告してしまう人は、決して少なくありません。

 本来、「進捗率」とは、工程が完了するまでの作業のうちどれだけ終わっているかを表すものです。ですから、分母(必要な工数)が増えた場合は、増えた工数分を反映させる=分母を変えて計算すべきです。そうでないと「進捗率100%だけど完了してない」という、実に奇妙なことになってしまいます。

 しかし、「計算が面倒くさい」「進捗率を高めに報告したい」という心理が働き、分母を変えずに進捗率を計算してしまう人のなんと多いことでしょうか! これらが、さまざまな問題の根本的な原因です。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

TechTargetジャパン

この記事に関連するホワイトペーパー

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。