iPhone/iPadアプリ開発の扉を開くAdobe AIR 2.6とはFlashでできる! iOSアプリ制作入門(1)(3/3 ページ)

» 2011年05月20日 00時00分 公開
[有川榮一AKABANA]
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【7】iOSのソフトウェア・キーボードの制御

 AIR 2.6では、ソフトウェア・キーボードが開いたとき、または閉じたときの検出ができます。

//ソフトウェア・キーボードが開いたイベントの検出 
textField.addEventListener(SoftKeyboardEvent.SOFT_KEYBOARD_ACTIVATE, onKeyboardChange );
 
//ソフトウェア・キーボードが開じたイベントの検出 
textField.addEventListener(SoftKeyboardEvent.SOFT_KEYBOARD_DEACTIVATE, onKeyboardChange );
 
//ソフトウェア・キーボードが開いたことによるリサイズイベントの検出
this.stage.addEventListener( Event.RESIZE, onDisplayAreaChange );

ソフトウェア・キーボードの領域サイズ

 ソフトウェア・キーボードの領域サイズをStage.softKeyboardRectから取得できます。キーボードを開いてSoftKeyboardEvent.SOFT_KEYBOARD_ACTIVATEイベントが送出された時点でstage.softKeyboardRectが設定されます。

 ソフトウェア・キーボードが不可視の場合は、領域のサイズはゼロ(0,0,0,0)になります。

//ソフトウェア・キーボードの矩形領域
var softKeyboardRect:Rectangle = stage. softKeyboardRect; 
trace(softKeyboardRect.x, softKeyboardRect.y, softKeyboardRect.width, softKeyboardRect.height);

ソフトウェア・キーボードの呼び出し

 ソフトウェア・キーボードを呼び出すこともできます。これにはInteractiveObject.needsSoftKeyboardを使用します。InteractiveObject.needsSoftKeyboardはフォーカスが当たった場合にソフトウェア・キーボードを表示する必要があるかどうかを設定します。

field.needsSoftKeyboard = true; //ソフトウェア・キーボードを表示する必要があり
stage.focus = field; //フォーカス設定するとソフトウェア・キーボードが表示されます

ソフトウェア・キーボードのデフォルトの動作を制御

 ソフトウェア・キーボードを開いたときにテキストフィールドがビュー内に収まるように表示を調整するデフォルトの動作を無効化できます。これには、アプリケーション記述子ファイルに以下を追加します。

<softKeyboardBehavior>none</softKeyboardBehavior>

 これによってデフォルトの動作をオフにして表示をロジックで調整できます。デフォルトの動作としては、アプリを上方にパンします。ランタイムにより、フォーカスの当たっているテキストフィールドが画面の上方に維持されます。

 デフォルトの動作をオンにするためには、アプリケーション記述子ファイルに以下を追加します。

<softKeyboardBehavior>pan</softKeyboardBehavior

【8】デスクトップのネイティブウィンドウの機能強化

 AIR 2.6では、NativeWindowで表示されたウィンドウ上に1つ以上の別のウィンドウを保持できます。これによって、ウィンドウに親子関係できます。

 そのようなアプリの例として、ドキュメントウィンドウに加えてフローティングツールバーやパレットを表示する必要がある以下のようなエディタのアプリがあります。

図10 子画面表示 図10 子画面表示

 この機能を使うと、親ウィンドウの操作が子ウィンドウに影響されるようになります。例として、親ウィンドウが最小化すると子ウィンドウも最少化されます。

private function openNewWindow(owned:Boolean):void {
    var initOptions:NativeWindowInitOptions = new NativeWindowInitOptions();
    initOptions.type = NativeWindowType.UTILITY;
 
    //ウィンドウの親ウィンドウを指定
    initOptions.owner = this.nativeWindow;
 
    var newWin:NativeWindow = new NativeWindow(initOptions);
    newWin.activate(); 
}

【9】デスクトップのネイティブメニューイベントの機能強化

 AIR 2.6より前のリリースでは、NativeMenuクラスには2つのイベント(「DISPLAYING」「SELECT」)があり、それらはユーザーがメニューを操作したときに送出されました。

 AIR 2.6では、「PREPARING」という新しいイベントが追加されました。このPREPARINGイベントは、ユーザーがキーボードショートカットを使用してメニューを操作したときに送出されます。

var menu:NativeMenuItem = new NativeMenuItem("切断",false);
 
menu.keyEquivalent = "["; //ショートカットキー
 
menu.keyEquivalentModifiers = [ Keyboard.CONTROL ]; //ショートカット修飾キー
 
//メニューが選択されたイベントの検知
menu.addEventListener(Event.SELECT,menu_selectHandler);
 
//メニューが表示されたイベントの検知
menu.addEventListener(Event.DISPLAYING,menu_displayingHandler);
 
//メニューのショートカットが実行されたイベントの検知 
menu.addEventListener(Event.PREPARING,menu_preparingHandler);

【10】画像ファイルのデコードポリシー

 AIR 2.6では、LoaderやURLLoaderなどで取得した画像ファイルのデータを、どのようにデコードするのか設定できるようになりました。これには、LoaderContextのimageDecodingPolicyプロパティに、ImageDecodingPolicyクラスで指定した以下の値を設定します。

  • ON_DEMAND
    必要となったときに画像ファイルのデータをデコード。これは、Loader.load()に対する以前のデフォルトの動作に該当する
  • ON_LOAD
    画像ファイルのデータを取得した直後に別スレッドで非同期にデコード
  • COMPLETE
    イベントは、デコードが完了するまでLoaderContextに対して送信されない。別スレッドなので画面描画に影響することなくデコードできる
var loaderContext:LoaderContext = new LoaderContext();
loaderContext.imageDecodingPolicy = ImageDecodingPolicy.ON_LOAD;
var loader:Loader = new Loader();
loader.load( new URLRequest("http://www.atmarkit.co.jp/parts/images/atit/top_logo.jpg"), loaderContext);

【11】ネイティブのマウスカーソルの使用

 AIR 2.6では、表示リスト内ではなくOSレベルで実行されるビットマップベースのマウスカーソルが使用できるようになりました。これによって、従来の方法よりパフォーマンスも向上します。

if( Mouse.supportsNativeCursor ){ //現在の環境がネイティブマウスカーソルをサポートしているかどうか
 
    // 2フレーム分のビットマップデータを設定
    var cursorBitmapDatas:Vector.<BitmapData>;
    cursorBitmapDatas = new Vector.<BitmapData>(2, true);
    cursorBitmapDatas[0] = bitmapData1;
    cursorBitmapDatas[1] = bitmapData2;
 
    // MouseCursorDataオブジェクトを設定
    var cursorData:MouseCursorData;
    cursorData = new MouseCursorData();
    cursorData.hotSpot = new Point(5,5); //カーソルの基準となる座標
    cursorData.data = cursorBitmapDatas; // カーソルのビットマップデータ
    cursorData.frameRate = 1; //カーソルのフレームレート
 
    // MouseCursorDataオブジェクトをカーソルとして登録
    Mouse.registerCursor("animatedCursor", cursorData);
 
    //登録したカーソルを使用
    Mouse.cursor = "animatedCursor"; 
}

 また、ドラッグしてステージを超えても下図のようにマウスカーソルが維持されます。

図11 ネイティブカーソル 図11 ネイティブカーソル

 標準のOSのカーソルに戻すには、以下のようにMouse.cursorプロパティにMouseCursor.AUTOを設定します。

Mouse.cursor = MouseCursor.AUTO;

AIR SDKはAndroidもiOSも作れるようになった

 AIR 2.6 SDKは、iOSアプリの書き出しやさまざまな機能を使うように対応しました。これによってAndroidアプリとiOSアプリを同じActionScriptのソースで使って開発できるようになりました。

 AIRによるスマートフォンアプリの開発については、Androidの部分も含む、以下の記事を参照すると、より理解が深まるかと思いますので、ぜひご一読を。

スマホ向けアプリ開発の扉を開くAdobe AIR 2.5とは
Flashでできる! Androidアプリ制作入門(3) 
 AIR 2.5のモバイルアプリ開発用の機能を紹介し種々の設定やSDKのコマンドを使ったAndroidアプリ開発の仕方を解説します 「Smart & Social」フォーラム 2011/1/20

 また、デスクトップ用にも機能が追加されて細かい設定ができるようになりました。

 これらのAIR 2.6のより細かい情報は、「Adobe AIR 2.6 ユーザー向けリリースノート」などを参照してみてください。


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