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» 2011年12月08日 00時00分 UPDATE

備えあれば憂いなし:効果的な職務経歴書の書き方教えます

転職する際、まず最初の関門が書類選考に突破することだ。ここではどのようなポイントに気を付ければいいのか、どのような職務経歴書を書くと効果的かを紹介する。

[後藤和弥,キャリアデザインセンター]

職務経歴書は誰が読む?

 当たり前ですが、転職したいといっても、すぐにその会社の人事や現場部門の担当者と会い、自己PRできるわけではありません。普通は履歴書や職務経歴書(職歴書と略される場合もあります)などを提出します。採用企業はその書類でまずは選考するという関門があります。つまり、書類選考に通らなければ、自己PRも何もありません。書類作成がいかに重要か、分かると思います。

 提出する書類は、原則として「履歴書」「職務経歴書」の2点です。履歴書は、市販のものを含め、ある程度記載する項目やフォーマットが決まっているので、作成も簡単です。やっかいなのは、職務経歴書の方です。書式が自由なため、個人差が一番出ますし、職務経歴書の書き方を解説した書籍も多数出版されています。

 そのため、本稿では職務経歴書の書き方に関して、そうした書籍などと異なった視点でスポットを当て、解説したいと思います。

 ここでは、次の2つの視点を切り口に、できるだけ採用現場の話を交えながらお話しできればと思います。

(1)書類選考現場の現実を知る&実際の書類作り

(2)書類選考による失敗事例、成功事例

職務経歴書の書き方について知りたい方は、以下の記事も参考になります
5分で絶対に分かる職務経歴書
面接に通る「職務経歴書」の書き方【システムエンジニア編】

履歴書の書き方はこちら
履歴書の正しい書き方、効果的な書き方とは?

英文レジュメの書き方はこちら
英文履歴書の表現とその理由
「英語的発想」対「日本人の常識」


採用の状況

 採用の現況を見ておきましょう。2011年は2010年と比べ、求人件数が1?2割ほど増加しました。とはいえ、企業はまだまだ少数採用にこだわり、厳しい選考を行っています。「数十名を一挙採用」といった景気の良い話も聞くようになってきましたが、これはLAMP系といった一部のWeb系エンジニアに限られています。

 一方、求職者の数は増加しています。すると、上記のような売り手市場以外では、1社当たりの求人競争率はおのずと高くなるのが、求人市場の実情です。転職への“第1次予選”ともいえる書類選考をくぐり抜けるためにも、完成度の高い書類作りが重要です。もちろん、「これが正解」というものはありませんが、以下の内容を1つの参考にしていただければと思います。

書類選考の現場を知ろう

 書類選考の現場がどのようなものか、ご存じでしょうか。書類を作るに際して、その現場をイメージできていると、書類の作り方も大分違ってくるでしょう。そこで、皆さんにイメージしやすいよう、できるだけ現場の状況を伝えていきたいと思います。

 現在の求人の応募というアクションの多くは、インターネット(電子メール)で履歴書と職務経歴書を送ることによって行われます。きっかけは企業のWebサイト、求職情報誌などさまざまでしょう。しかし、どのような方法で書類を送ったとしても(最近はほとんど電子メール)、最終的には採用担当者へ送られる筋道が主です。もちろん人材紹介会社なども登録者のレジュメを電子メールで送っているので、企業には大量の応募メールが日々届いているのです。人気企業になると1日に何十通もの応募があります。

 さて、ここで質問です。採用担当が書類に目を通す時間は1人当たり大体どれくらいでしょうか。

1人平均4秒

 それは、1人平均して4秒というものです。この答えに「まあそんなもんだろう」と思ったでしょうか。もしくは「え、そんな短いの!」と思ったでしょうか。後者の場合は作成中の書類を見直す必要があるかもしれません。

 もちろん、一概にはいえません。が、このような時間を想定すると、少なくとも6枚や7枚にわたる職務経歴書を作成する必要はないのです。これが一般的に職務経歴書は2枚ぐらいに収めるべき、という理由なのです。自分が伝えたいことが多くあり、枚数が増える気持ちも分かりますが、自分が伝えたいことを記載するのではなく、相手が知りたい情報を記載するのが基本です。

 そして、書類の選考は(企業にもよりますが)大体2段階に分けられます。

第1段階 ざっと目を通して、じっくり見るか、見送りにするかを決める
第2段階 上記でじっくり見るに選ばれた書類は、じっくり読んで、次に通すか(面接もしくは現場の書類選考)、見送りにするかを決める

 つまり、まずは第1段階で、じっくり読んでもらう書類に選らばれなければいけません。

 上記の4秒というのは第一段階にかける時間のことです。そうするとポイントが見えてきますね。ざっと目を通したときに相手が知りたいことが明記され、印象に残る書類作りを心掛ければ良いのです。

印象に残る書類とは

 何が印象に残る書類なのかは、採用担当者にはどういった方が多いのかを想像すれば、明白になります。

 皆さんは採用窓口はどういった方が担当されているとお考えですか? もちろん人事部門の人なのですが、人事の人のバックグラウンドは? やはりずっと人事をしていた方が多いのです。つまり、以前は技術者だったとか、SE経験がある、という人事部門の人は少ないのです(もちろん、一部の大手の企業ではジョブローテーションなどもあり、一概にはいえませんが)。

 まとめると、選考はSE(技術者)経験者ではない人事部門が行うことが多いということです。

 要は、SE経験のない採用担当者が、非常に短時間(1人4秒ぐらいで)で書類を確認していくのです。その短い時間でどのように判別しているのでしょうか

 それは、目視によるキーワード検索です。ですから、応募書類には、企業の求める経験に関する必要なキーワードが目に付くようにしておくべきです。例えばSEの募集でしたら、その会社が求めている開発に必要な経験、OSや言語や携わったプロジェクトの内容などを分かりやすく、記載する必要があります。

 具体的には以下の5項目が挙げられます。

項目 見られるポイント
プロジェクトの時期 流れの速いIT業界でいつ、どんなシステムに携わっていたか?
プロジェクトの内容 強みの業界、強みの業務スキル・業務知識
開発環境 OS、言語、ソフトなど、求める経験はあるか?
プロジェクトの規模 全体の人数、チームの人数で規模感を確認する
マネジメント経験 サブリーダー、チームリーダー、リーダー、マネージャなどと、マネジメントした人数

重要なことは、相手を思い浮かべ効果的に

 このような要素を分かりやすくまとめるためには表形式にするのがお勧めです。いまでは使う人も多くなってきたので、皆似たようなものになってしまう可能性はあります。ただ、重要なのは、先方が知りたいことを分かりやすくまとめているかなので、形式が似てしまうことは問題ではありません。

 キャリアデザインセンター人材紹介事業部では、上記のことを踏まえ、参考例をWebサイトにまとめています。

 そのままダウンロードできますので、これから職務経歴書を作成するという方は参考にご利用ください。

 次に、これらを踏まえて実際の事例をいくつか用いて説明します。

失敗事例から成功事例へ

 ここまでは、書類選考現場をイメージして効果的な書類を作成するポイントを説明させていただきました。結論としては、特に技術職の場合は表形式がお勧めであることを説明しました。

 そこで次に、そのポイントを踏まえた職務経歴書を作成し、転職活動をした方の事例を紹介します。同じフォーマットを利用しても、選考結果には大きな差が出るのです。これから実際の事例を用いて合否が分かれるポイントを説明させていただきます。

●事例:A氏(現在SEの32歳男性、希望転職先:大手SIer)

 A氏は当初、以下のようにまとめた書類を作成され転職活動をしておりました。

 3社経験している中で、経験は1社目が一番長く8年間、中小規模のプロジェクトをプログラマ、SEとして経験しました。2社目、3社目は1年ずつで短いのですが、3社目では大規模なプロジェクトのリーダー経験があります。

 大手のシステムインテグレータ(SIer)への転職を狙うに当たって一番アピールしたい、そしてすべきなのは3社目になります。具体的にいえば、大規模システムでのプロジェクトリーダーの経験を訴えるべきです。

 しかしA氏が書いた職務経歴書は、1社目から順番にこれまでの職務が記載されていました。その結果、最も勤続年数の長かった1社目の記載が目立っていました。最もアピールしたい3社目の経験は、3番目であり、1年ということで一番短く、最後に記述していたのです。

 A氏の転職活動は、当初うまくいきませんでした。大手SIer数社に応募したのですが、どこも書類選考で落とされていたのです。私はそのタイミングで相談に来られたA氏と面談することになったのです。その際に見せられたのが、A氏が書いた職務経歴書です。ここでは具体的な項目は記載しませんが、次のような構成になっていました(図1)。

図1 A氏が書いた職務経歴書の例 図1 A氏が書いた職務経歴書の例

  それに対して、2点のアドバイスをさせていただきました。

 それは、

  1. 一番アピールしたい経験、内容を先頭に記載し、内容的にも一番詳しくボリュームを持たせて書くこと
  2. その会社が求める製造業向けの開発経験をしっかり持っていることを冒頭で記述しアピールすること

 A氏はそのアドバイスを受け、職務経歴書を修正しました。その結果、ボリューム(書かれている文字数)は全体としては以前と同程度ですが、アピール度が非常に高くなったのです。その後、この書類で応募したところ、以前書類選考で落ちていた企業と同レベルの企業数社から面接のお話がくるようになってきたのです(図2)。

図2 変更後のA氏の職務経歴書。ポイントは最近までの経歴から書いていくこと 図2 変更後のA氏の職務経歴書。ポイントは最近までの経歴から書いていくこと

 鉄則としては、経験の長さにとらわれず、一番アピールしたい個所をボリュームを持たせて書く。そして、ファイルを開いたときに一番初めに目に付くのは1枚目の上半分だと認識し、そこにインパクトを持たせるよう工夫することだと思います。

結局は、伝えるべき要点をまとめること

 要は、「伝えるべきポイントさえまとまって記述していれば、優秀だと判断される」ということです。

情緒的な部分をアピールするためか、あえて回りくどい表現を使う人がいますが、その必要はありません。明確に、分かりやすくいきましょう。

  自分の過去の経験で「強み」といえるものは何か。

  技術で一番長く携わった環境・言語・プロダクト、担当フェイズ、リーダー経験とその内容、顧客折衝経験、身に付けた知識、学んだ業務知識などのカテゴリに分けてから何点かを選択し、その上でしっかり深掘ることで、強みと根拠を簡単に導き出せるでしょう。

  ぜひ自分の経歴を振り返り、強みを見つけてください。

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