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» 2012年03月12日 00時00分 UPDATE

D89クリップ(40):【おばかアプリ公開ブレスト ザリガニワークス徹底分解】 分解して振り切って、余白でコミュニケーションを (1/3)

おばかアプリ公開ブレスト開催企画。コレジャナイロボや自爆ボタンアプリはどうやって生み出されてきたのか。ザリガニワークスの制作力の源を徹底分解

[佐藤翔,ねこポッポ]

どれだけユーザーにゆだねる余白を残すか

 おばかアプリ選手権が今年も夏にやってきます。そして、これも恒例になりつつある、おばかアプリの公開ブレスト(詳細はこちら=共催のWeb CAT StudioのFacebookページ=から)を近日開催します! アイデアをみんなで持ち寄り、完成度を上げていくイベントです。このイベントに相談役として参加するザリガニワークスの武笠太郎さんと坂本嘉種さんに、おばかなモノ作りについてお話を聞いてきました。

 ザリガニワークスは、「欲しかったのはこれじゃなーい!」のコレジャナイロボや、土下座ストラップ、最近ではごはんかいじゅうパップが大人気です。キャラクターデザインや玩具開発、作詞作曲など、活動は多岐に渡ります。近々、本まで出す予定です。彼らの独特な発想法と働き方を、根掘り葉掘り聞いてみました。


ザリガニワークス流アイデアブレスト法

 表参道の静かな裏路地に、ザリガニワークスのオフィスはありました。アパートの一室は、グッズや素人目には何かよく分からないもので溢れていて、妙に居心地がいいです。デザイナーやクリエイターのオフィスというより、職人の工房、あるいは大人の部室といった雰囲気でした。

 日本大学藝術学部で広告の授業をしている講師で、仕事仲間でもあり2人のことをよく知る布目幹人さんも登場。布目さんの授業では、ザリガニワークスが講師を務めることもあります。この興味深い授業内容についても、後述します。

左:武笠太郎さん(ぼけ) 右:坂本嘉種さん(つっこみ) 左:武笠太郎さん(ぼけ) 右:坂本嘉種さん(つっこみ)

――ザリガニワークスならではのアイデア発想法を教えてください

武笠 まず、僕がアイデアを坂本に投げると、そのアイデアの要素を分解して内訳を出してくれるんです。

布目 すごくシンプルにいうと、ボケとツッコミみたいな感じですよね。

坂本 そうですね。例えばメーカーから企画を依頼されたときは、武笠と近々ミーティングしなきゃなぁ、と思いつつ、しばらくそれぞれの頭の中でイメージを膨らましておきます。武笠は具体的な商品案とか仕掛けを考えますが、僕はユーザーの気持ちになりきって「この企画テーマなら商品のこの面白さを押し出すのがふさわしいだろう」とミーティングに向けて気持ちをセッティングしておきます。

 ミーティングでは武笠のアイデアについて、「ココが面白さの肝だよ」「あれを付けた方がいい」「アプリで出し方がいいかも」「ココをとがらした方がいい」というように話し合います。ほぼ毎回こうやってモノや企画が出来上がっていきます。

ユーザーに対して、プロダクトに対して、誠意を持っています ユーザーに対して、プロダクトに対して、誠意を持っています

――坂本さんは「何が面白いのか」というのは、どうやって判断しているんですか?

坂本 役作りです。ユーザーやお客さんになりきります。普段から、自分が見たり経験したりして感じたことに、なぜそう感じたのかを、できるだけ分解して考えるようにしています。人に説明できるくらい具体的にです。今までストックしてきた情報を組み合わせて、想定されるユーザーの人物像の人格になりきって、誠意で考えます。

――うわぁ、すごく難しそうです。例えば「ザリガニ」を分解するとどうなりますか?

坂本 ザリガニですか。ザリガニは「身近にいるかっこいい生き物」とか「男の子にとってキャッチー」とか「攻撃的」「強そう」「わんぱく」というイメージがありますが、一方でノスタルジックさもありますね。

 そのように分解した後で、対象のユーザーを意識して「じゃあ、そのいくつかの面白い要素の中で、ココを極端にとがらせていこう」と考えます。それは入り口としてとがらせるのであって、他の面白さや要素をなくすわけではありません。とがった部分以外の余白を、できるだけ大きく取るのが大事です。余白が多ければ多いほど、手に取ったユーザーが自由に想像を膨らませて楽しめます。

 商品や企画の魅力がちょっとでもはっきりしていないと不安になって、いろいろ付け足してしまいがちです。そうするとユーザーが感情移入しにくくなって、「これはこんなふうに共感しなきゃダメなんでしょ? わたしには関係ないや」となってしまいます。とがった部分を作り目立たせると、一見不自由になってしまいそうですが、実はこのことに気を付けると、間口の広いモノづくりができるようになります。

――少しだけイメージできました。他に何か具体例はありますか?

子供向けのムシの胴体と頭を作るワークショップ 子供向けのムシの胴体と頭を作るワークショップ

布目 以前、ザリガニワークスさんと一緒に子どもたちとムシを作るイベントをやりました。足の部分の材料だけを用意しておいて、胴体や頭は子どもたちに自由に作ってもらうんです。作ったムシを用いて、トントン相撲をしたのですが、負けてしまって、泣き出す子もいたくらい、愛着を持ってくれました。

坂本 イベントの伝わりやすさや、親しみやすさを考えたとき、「ムシ」はすごく入りやすいですが、さらに自由に楽しんでもらうために、頭とか胴体が「こうなっていなくちゃダメ」というのは決めませんでした。ムシに名前を付けてもらったんですが、「恐竜」という名前を付けた子がいたのが忘れられません(笑)。

押せない自爆ボタンと自爆ボタンアプリ 押せない自爆ボタンと自爆ボタンアプリ

武笠 アプリの例は、「自爆ボタン」があります。秘密基地に隊員がいて「隊長もうダメです!」といってボタンを押すと、キノコ雲が上がるような演出が考えられますよね。それもアリだと思うんですが、それだと、その世界観に入り込めないユーザーもいます。自由度がなくなります。自爆ボタンでタツノコプロのアニメを思い出す人もいるし、007が浮かぶ人もいます。

 さらに自分専用の自爆ボタンなら、より世界観に入れます。ニュートラルで最低限のものをこちらで用意し、あとはユーザーの脳内で自由に遊んでもらうように意識しています。

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