System Center 2012のインストール詳細System Center 2012を試そう(2)(1/2 ページ)

米マイクロソフトはSystem Center 2012を2012年4月に正式リリースした。日本でもこの製品の本格展開が始まり、ユーザーに向けた評価版ダウンロード提供も、5月11日に開始されている。本記事では、System Center 2012が最終的にどのような製品になっているのか、同製品のサーバ/データセンター管理機能の概要を紹介し、評価版をダウンロードして構成する手順についても示す

» 2012年06月19日 10時00分 公開
[山本雅史@IT]

 本記事では、System Center 2012のインストールについて解説していく。System Center 2012は、以前の個別製品ライセンスではなく、全てのSystem Centerファミリのソフトウェアが提供されるライセンスへと変更された。ただし、ライセンスは一元化したが、ソフトウェアはSystem Centerファミリが完全に融合しているわけではない。このため、インストールに関しては、慣れていないと戸惑う部分が多い。今回は、System Center 2012ファミリの動作環境とインストール手順を解説していく。

「ユニファイドインストーラー」ではなく、個別インストールを

 System Center 2012では、全てのSystem Center ファミリソフトウェアをインストールする「ユニファイドインストーラー」(System Center 2012 Unified Installer)が用意されている。

 ただ、ユニファイドインストーラーは、どのような環境でも、柔軟にSystem Center 2012がインストールできるというわけではない。非常に限定された環境でのインストールをサポートしている。

 まず、ユニファイドインストーラーは、ローカルサーバにSystem Center 2012の各コンポーネントをインストールするのではなく、リモートPCからSystem Center 2012を各コンピュータにインストールするようになっている。

 ユニファイド インストーラーで各System Center 2012ソフトウェアをインストールするには、System Center 2012を実行するサーバ+各コンポーネントを動かすコンピュータ(サーバでなくても、クライアントOSでもOK)が必要になる(Service Managerでは、管理サーバとデータウェアハウス管理サーバの2台が必要になる)。

 各コンポーネントを動かすコンピュータは、物理コンピュータではなく仮想マシンでも問題ない。実際、多くのコンポーネントのハードウェアの最小要件としては、CPUがPentium 4 2GHz、メモリが2GB、ディスクスペースが2GB(SQL Serverを同一環境にインストールする場合は80GB)となっている。このぐらいのハードウェア要件なら、現在普及しているサーバを仮想化して利用しても十分だ(推奨要件は、CPUでは64ビット環境をサポートしてDual Core 2.8GHz以上、メモリは4GB、ディスクスペースは40GB、SQL Serverインストール時は150GB)。

 もし、各コンポーネントをローカルサーバにインストールする場合は、ユニファイドインストーラーの初期メニューで「Custom Install on Local Server」を選択する。ちなみに、Custom Install on Local Serverでは、各コンポーネントのインストーラーを起動するため、特にユニファイド インストーラーを使わなくてもインストール作業に違いはない。

図1 Unified Installerは、コンポーネントごとにコンピュータが必要になるため、テスト環境が大がかりになる。簡単にテストしたい場合は、個別インストールを行う方がいい 図1 Unified Installerは、コンポーネントごとにコンピュータが必要になるため、テスト環境が大がかりになる。簡単にテストしたい場合は、個別インストールを行う方がいい
図2 Unified Installerでインストールする場合、各コンポーネントを解凍しておく必要がある。System Cetner 2012のトライアル版をダウンロードするとEXEファイルやISOファイルなどになっているため、ユーザー側で解凍しておく必要がある 図2 Unified Installerでインストールする場合、各コンポーネントを解凍しておく必要がある。System Cetner 2012のトライアル版をダウンロードするとEXEファイルやISOファイルなどになっているため、ユーザー側で解凍しておく必要がある
図3 Unified  Installerでは、SQL ServerやSilverlight4など必要なプログラムのインストールも同時に行ってくれる 図3 Unified Installerでは、SQL ServerやSilverlight4など必要なプログラムのインストールも同時に行ってくれる

インストール前に行うべきこと

 今回はカスタム インストールでローカルサーバにSystem Center 2012の各コンポーネントをインストールしていく。ただ、注意が必要なのは、全てのコンポーネントが1つのサーバにインストールできるわけではないということだ。各コンポーネントは、データベースを必要とするため、1台のサーバにSystem Center 2012のコンポーネントを多数インストールすると、負荷が高くなり、使いものにならない可能性が高い。テストを行う場合でも、いくつかのサーバに分けてインストールする方がいいだろう。

 また、Operation ManagerとService Managerは、同一のサーバにインストールすることができない。必ず、サーバを分ける必要がある。

図4 SCSMとSCOMは、同一サーバにインストールできない 図4 SCSMとSCOMは、同一サーバにインストールできない

 System Center 2012をインストールするためには、Active Directory(以下AD)を構成している必要がある。ADがないとSystem Center 2012自体がインストールできない。

■NET Frameworkのインストール

 System Center 2012の各コンポーネントをインストールするためには、.NET Frameworkを必要とする。Windows Server 2008 R2では、.NET Framework 3.5が「機能の追加」で提供されている。もう1つ、一部のコンポーネントで.NET Framework 4.0の機能を必要とするため、.NET Framework 3.5と4.0の両方をインストールしておく必要がある。また、.NET Frameworkインストール後は、Windows Updateでアップデートの適応をしておく必要がある。

図5 Windows Server 2008 R2では、機能の追加で、.NET Framewrok 3.5.1がインストールできる 図5 Windows Server 2008 R2では、機能の追加で、.NET Framewrok 3.5.1がインストールできる
図6 .NET Framewrok 4は、マイクロソフトのWebページからダウンロードしておく 図6 .NET Framewrok 4は、マイクロソフトのWebページからダウンロードしておく
図7 PowerShellのスクリプティングを使用する可能性もあるため、Windows PowerShell Integrated Scripting Environmentもインストールしておく 図7 PowerShellのスクリプティングを使用する可能性もあるため、Windows PowerShell Integrated Scripting Environmentもインストールしておく

■IISのインストール

 System Center 2012のいくつかのコンポーネントは、Webポータルを使用しているため、IISのインストールが必須になる。IISは、できればフルインストールしておく方がいい。後で、IISのモジュールが足りなくて、System Center 2012の各コンポーネントがインストールできないということもない。

図8 サーバの役割追加でIISをインストールする 図8 サーバの役割追加でIISをインストールする
図9 IISは各種モジュールを全てインストールしておく 図9 IISは各種モジュールを全てインストールしておく
図10 WinRM IIS拡張機能もインストールしておく 図10 WinRM IIS拡張機能もインストールしておく

■SQL Server 2008 R2のインストール

 System Center 2012の各コンポーネントは、データベースが必要となっている。対応するデータベースとしては、SQL Server 2008/SQL Server 2008 R2が必要になる。現在最新のSQL Server 2012に関しては、基本的に動作すると思われるが、現状では正式サポートは表明されていない(将来的にはサポートされるだろう)。このため、今回はSQL Server 2008 R2のトライアル版を使用した。

図11 SQL Server 2008 R2をマイクロソフトのWebからダウンロードしてインストール 図11 SQL Server 2008 R2をマイクロソフトのWebからダウンロードしてインストール

■Silverlight 4のインストール

 System Center 2012のいくつかのコンポーネントでは、Silverlight 4を必要とする。このため、あらかじめインストールしておく必要がある。現状では、最新のSilverlight 5がリリースされているので、Silverlight 4の代わりにSilverlight 5をインストールしてもOK。

図12 Silverlight5をダウンロードしてインストールしておく 図12 Silverlight5をダウンロードしてインストールしておく

 これ以外にSystem Center 2012の各コンポーネントが必要とするソフトウェアがある。これに関しては、各コンポーネントのインストール項目で紹介する。

Index

System Center 2012のインストール詳細

Page1
「ユニファイドインストーラー」ではなく、個別インストールを
インストール前に行うべきこと

Page2
Virtual Machine Manager(SCVMM)のインストール
Operations Manager(SCOM)のインストール
Data Protection Manager(SCDPM)のインストール
Orchestrator(SCO)のインストール
App Controller(SCAC)のインストール
System Center 2012インストールの注意点


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