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» 2012年08月20日 00時00分 UPDATE

IT業界 転職市場最前線(40):コードにブログ――自己PRプロダクトの提示を求める企業が増加

不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。

[ワークポート]

7月のIT業界求人市場まとめ

 7月は、さまざまな業界で、プロジェクト増加に伴うエンジニア需要や、市場開拓のための営業募集が増え、景気回復を実感する月となった。

 第2新卒や若手層の採用に積極的な企業も多い。例年、夏ボーナス後は退職者が出て求人市場は活発化する傾向にあるので、求人増加の期待が持てるだろう。

Web業界

 特に、Webデザイナーの求人増加が目立った。採用に苦戦する状態は依然として続いているが、一方で若手層やポテンシャル層を歓迎して、間口を広げる動きも出始めている。

 他、ECサイトを運営する企業からの求人も引き続き、好調だ。

EC関連:前月に続き堅調

 EC関連の求人は、全体の中で占める割合としてはさほど多くないものの、安定している。ECサイト運営経験者・営業事務職、開発職を筆頭として幅広い職種の求人があり、増加傾向はしばらく続くだろう。

Webデザイナー:業績好調を理由とした求人が増加

 春から増加傾向にある中小規模のWeb制作企業からの求人は、7月も好調を維持。自社サイトのWebデザイナー・Webディレクターの求人も好調だ。しかし、複数名枠の求人は少なく、1つの枠を多くの求職者が奪い合うという、競争率の高い状態となっている。


モバイル業界

 モバイル開発では、ソーシャルゲームだけではなく、ソーシャルゲーム以外のニーズが増えている。

 ECサイトや電子書籍、SNS連動アプリやテレビ番組コンテンツ、販促用アプリなど、さまざまな企業が多種多様のアプリ開発を進めている。ソーシャルゲーム以外の事業開発に企画段階から携わりたいというエンジニアにはチャンスである。

 LINEのように日本発のアプリが世界に広がる例もあり、企業規模にこだわらず「他社にないサービスを手掛けているか」「積極的にスタッフの意見を取り入れる風土があるか」といった点に着目してみるとよいだろう。

エンジニア:SI企業でのスマホアプリ開発案件が増加

 求人の多くが「スマホ向けソーシャルゲームアプリ」の開発案件が占めている状況は相変わらずだ。

 Objective-C、Java、PHPに加えて、RubyやPerl、Pythonといった言語での開発経験も歓迎されている。実務経験がなくても個人でアプリを開発した経験があれば可とする企業が多く、未経験からチャレンジを考えているエンジニアへの門戸が開かれている。

 また、システム・インテグレータ(SIer)がスマホアプリ開発を受託するケースも増えており、アプリ開発エンジニアの採用活動が活発化している。こちらの応募要件は、自社内開発に比べて緩やかなのが特徴だ。


システム業界

 他、7月は営業職の募集増加が目立った。景気の回復に伴って営業部門を強化する企業が増加していることが要因と見られる。

 案件増加に伴い、エンジニアの募集も活発化している。「人手不足で受注できない」などの話も聞くようになった。

SIer:案件増加→エンジニア募集の好サイクル

 活発な採用活動が続くSIerでは、プログラマ・SEの求人に加えて、プロジェクトリーダーやマネージャの求人も増加。

 募集理由としては、「案件増加」に伴うものが最も多い。「人手不足で受注ができない」といった話をよく耳にするなど、リーマンショック前の状態に少しずつ近づいている感覚である。

 求人の内訳としては、全体の7割をWeb系開発の案件が占めている。Java、PHP、.NET経験を持つエンジニア、スマホ開発経験者、Web系システム開発経験のあるプロジェクト・マネージャを募集する企業が増加している。

NIer:サーバ・エンジニアのニーズが急増

 微増が続いていたネットワーク・インテグレータ(NIer)の採用活動が本格的に活発化した。

 特にニーズが高いのはサーバ・エンジニアで、求人の7割がLinux環境で開発経験者の募集であった。20代の若手であれば設計・構築の経験がなくても積極的に採用する企業が増えており、サポート系求人も増加している。


ゲーム業界

 書類だけではなく、“実際に作ったもの”を——ゲーム開発のエンジニア求人では、「自己PRできるもの」の提示を求める企業が増えている。

エンジニア:「自己PRできるもの」の提示を求める企業が増加

 職務経歴書で経歴やスキルを確認するだけでなく、「自己PRできるもの」を求める企業が増加した。採用を迅速に行うとともに、書類からは分かりづらい“意欲”を見ることを目的としている。

 「ゲームやWebアプリの可動なコード・実行ファイル」「技術ブログ」「TwitterやSNSでの活動」「この1年でプレイしたゲームのリストとその感想」などが例として挙げられる。

デザイナー:ポートフォリオが重視

 それぞれの仕事内容によって少しずつ異なるものの、「Adobe Photoshop、Illustrator、Fireworksでの簡単なグラフィックデザイン(経験2年以上)」「3Dグラフィックデザインの実務経験を1年以上」「ユーザビリティ、アクセシビリティを考慮したUI設計2〜3年」などが必須要件として挙げられている。

 これに加え、重視されるのはやはりポートフォリオだ。実務で携わった作品やURLの他、個人で制作したもの、在学中に作成したもの、フリーのときに請けていた作品などはできるだけいろいろなジャンルをそろえておきたい。


営業・その他

 6月から引き続き、SIer求人を筆頭に新規求人が増加。マーケティングやリサーチ、Web広告系営業の求人増加も目立つ。

営業関連職:前月比25%増

 ターゲットは「第2新卒」と呼ばれる若手ポテンシャル層で、長期的に活躍できる人材を育成しようという企業側の意図が感じられる。

 一方、新たな部署を作って攻めの体制に転じようという企業が増えていることから、「マネージャクラス」や「幹部候補」の求人も増加した。募集企業は経営状態が安定している優良企業が多いことも特徴だ。

バックオフィス:総務職の募集が増加

 大手メーカー企業や外資系企業から、総務職募集が増加した。海外人材の受け入れ手続きや本国とのやりとりのため、語学力を求めているのが特徴だ。

 管理部全体として募集するケースが増えている。これまで1職種の経験しかないが管理部でのさまざまな経験を積んでいきたい人にはベスト・タイミングだといえるだろう。


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