シリコンバレーエンジニアの人件費が高騰、その背景とは世界最大規模のPerlの祭典「YAPC::Asia Tokyo 2012」開催

» 2012年10月03日 00時00分 公開
[太田智美,@IT]

 9月27日〜29日、Japan Perl Association(JPA)が主催する世界最大規模のPerlの祭典「YAPC::Asia Tokyo 2012(以下、YAPC)」が開催された。YAPCとは、「Yet Another Perl Conference」の略で、今回は第7回目。YAPCはPerlの祭典であるが、Perlに限らずさまざまな分野のギークたちが集まり、技術の話で盛り上がった。その中から、川崎有亮氏の講演「シリコンバレーと世界のPerlエンジニア」をレポートする。

「シリコンバレーと世界のPerlエンジニア」と題して講演した川崎有亮氏 「シリコンバレーと世界のPerlエンジニア」と題して講演した川崎有亮氏

 現在、シリコンバレーではエンジニアの人件費が高騰しているという。具体的には、時給200ドル、年俸40万ドルといった数字だそうだ。その中で発達してきたのが、不特定多数の人に業務を委託する「クラウドソーシング」という雇用形態。クラウドソーシングとは、群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語で、最近ではLancersoDeskCrowdWorksといったWebサービスも多く立ち上がっている。

 クラウドソーシングには、「安い」「速い」「ぼちぼち上手い」などのメリットがあると、川崎氏は話す。oDeskを実際に使用してみた体験を、「例えば、Perlの開発作業案件は時給20ドル(香港)で実現、データ処理作業においては時給1ドル以下(バングラディッシュ)であった。シリコンバレーと比べると、コストは10分の1。また、1時間で60件もの応募があり、作業スピードも速い。さらに、こうして納品されたプログラムは問題なく動いた」と語った。

 そんな中、日本の開発者は危機感を持たなければならないという。クラウドソーシングによって、世界中のエンジニアと競争しなければならなくなったのだ。ベイエリアでは、毎週のようにハッカソンが開かれ、投資家の前でのプレゼンテーションやピザミーティング、情報交換が積極的に行われている。そういった文化基盤を持ったエンジニアたちと、同等に戦っていかなければならないのだ。

 そのためにも、まずは海外旅行のついでにでも、米国で開催されるイベントに参加することが大事だという。米国でのイベントは、Eventbriteやグループに参加登録するMeetup、アグリゲ―ションサイトLanyrdなどで探すことができる。

 「イベントでは、交流することが大事。英語でも開発言語でも、とにかく自分が使えるスキルを共通言語として、コミュニケーションをとること」と川崎氏は未来のエンジニアたちに向かって熱く語った。

 今回のイベントを主催する牧大輔氏は、イベントの終わりに「YAPCは、今後もPerlのみならず、1番間口の広いカンファレンスでいたい。そして、このコミュニティの中にいる皆さんを、みんなに見せびらかせたい。そのためには、世代交代も必要」と語り、若い世代の積極的な参加を促した。

 来年のYAPCでは、どんな未来が語られるのだろうか……。そんな期待を来場者に持たせながら、イベントは幕を閉じた。

YAPC::Asia Tokyo 2012スタッフ(©Japan Perl Association) YAPC::Asia Tokyo 2012スタッフ(©Japan Perl Association)

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