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» 2012年10月10日 22時59分 UPDATE

肉体とメディアの距離は、人間の欲望との距離:「こんなこといいな。できたらいいな」を実現する

[太田智美,@IT]

 10月6日、デジタルハリウッド大学八王子制作スタジオで、WebSig24/7が主催する「WebSig1日学校2012 〜未来のあなたのWebを変える1日〜(以下、WebSig1日学校)」が開催された。WebSig1日学校とは、「学校」というシチュエーションの中でインターネットの未来を考える、オトナのための1日限りの学校。その中から、777interactiveの福田敏也氏の授業「テクノロジーとドラえもんの間」をレポートする。福田氏は、CMなどを手掛けるクリエイティブディレクター。授業では「伝える」ことについて語られた。

 「『伝える』ことではなく『伝わること』が重要だ」「変化する“イマドキ”なる生活者に伝わることが必要」と、福田氏は言う。

777interactive 福田敏也氏 777interactive 福田敏也氏

 生活者はその昔、情報を受け取るために町の掲示板を見に行っていた。そのうち、町にはスピーカーが付き、掲示板まで行かなくても情報を受け取れるようになった。そして、新聞という形で、情報が家まで届くようになり、テレビでより早く情報が受け取れるようになった。パソコンが普及し、相互に情報を送受信できるようになり、携帯電話によって常に自分の手の中に情報が流れてくるようになった。

 福田氏は、「肉体とメディアの距離は、人間の欲望との距離である」と話す。生活者の欲望との距離が近づいた今、「こんなこといいな。できたらいいな」を実現させることが「伝わる」ことへの近道だという。

 「こんなこといいな。できたらいいな」といえば、「ドラえもん」を思い浮かべるだろう。福田氏は、ドラえもんのことを「人間の欲望のデータベースである」と表現する。例えば、ドラえもんは、実はどろどろとしたカルマの塊だ。「宿題をやりたくない」「強い人をやっつけたい」「しずかちゃんは何度もお風呂場を覗かれている」……。大人だったらどれも許されない行為である。しかし、シンプルに「こんなこといいな。できたらいいな」というものを、子どもの世界で描いているのだ。

 何かを作る際、こんな風に「こんなこといいな。できたらいいな」まで戻ることが「伝わる」ための近道なのだ。「自分の感覚にウソをつかず、『こんなこといいなあ、できたらいいなあ』のモノサシをもって考える。自分の感覚というものは、1番ぶれないモノサシだ」(同氏)。そして、「変わらない人間の欲望や感覚と向き合い、変わり続けるテクノロジを武器にしていくことが重要」と語った。

 例えば、ルパン三世のPRは記憶に新しいのではないだろうか。約2年ほど前、渋谷のモヤイ像がなくなるというキャンペーン「Lupin Steal Japan Project」があった。“ゲームという法律の外にある世界”の中で「盗み」を展開し、アニメをリアルと結び付けることで人々に強烈なインパクトを与えた。実際、このキャンペーンによって、前年比5%増の視聴率を得たという。これが「伝わる」ということだと、福田氏は自ら手掛けた広告を用いて教えてくれた。

 「何かを作るときには、自分の感覚と向き合うこと。最終的に信じられるのは自分の内なる感覚だ」と、福田氏は何度も繰り返し、オトナになった生徒たちに想いを伝えた。

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