アリスタネットワークス、VXLAN対応スイッチを国内投入低遅延、プログラマビリティを武器に

アリスタネットワークスジャパンは、VXLANゲートウェイ機能を搭載した同社のデータセンタースイッチ新製品、「Arista 7150S」を国内発表した。24ポート版は150万円を切る価格。だが従来からの特徴である低遅延やプログラマビリティはそのままだ

» 2012年10月18日 09時51分 公開
[三木泉@IT]

 低遅延やOSのプログラマビリティにより、金融機関、データセンター事業者などを主なターゲットとしてビジネスを展開している米アリスタネットワークス。その日本法人であるアリスタネットワークスジャパンは10月17日、同社データセンタースイッチの新シリーズ、「Arista 7150Sシリーズ」の国内投入を発表した。すでに国内金融機関における採用が決まっているという。

米アリスタネットワークス カスタマーエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント、アンシュル・サダナ氏

 新製品7150Sは、VXLANゲートウェイ機能を搭載する。「VXLAN」と聞くと、即座に「超大規模データセンターにおけるテナント分離」をイメージしがちだが、アリスタがVXLANをサポートする目的はこれを含みながらも、もう少し広いようだ。

 アリスタの「主戦場」は企業やサービス事業者のデータセンター。だが、同社はイーサネットファブリックのようなレイヤ2マルチパス技術を現在のところ搭載していない。@ITの質問に、同社のカスタマーエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント、アンシュル・サダナ(Anshul Sadana)氏は「独自のアーキテクチャでレイヤ2を構築しても、スケールしない。それなら、標準技術を使ってレイヤ3のネットワークを構築したほうがいい」と答えた。できるだけレイヤ2でいくか、それとも初めからレイヤ3前提でいくかは、IPアドレスの利用状況にも依存して判断の分かれるところだが、少なくとも現在のところ、サダナ氏は明確にレイヤ3を指向している。「マイクロソフトとともに、大規模データセンター内におけるBGPの積極活用について(Informationalな)ドラフトも出した」。

 レイヤ3前提でネットワークを構築すると、当然ながら仮想化環境における仮想マシンの移動は大きく制限されることになる。その「欠点」を補完するため、同社はVLANを動的に設定・削除し、仮想マシンに対して割り当てる仕組みを搭載している。だが、この仕組みをさらに補完し、柔軟でありながらスケールするレイヤ2ネットワークの構築方法として、VXLANのようなトンネリングプロトコルを使おうとしている面があるようだ。

新製品は3モデルで構成されている

 アリスタはVXLANのドラフトの起草者に名を連ねている。加えて、マイクロソフトが推進するトンネリングプロトコルNVGREの共同起草者でもある。一方、トンネリングプロトコルを使わずにトラフィックステアリングを行うOpenFlowについても、Big Switch Networksとの共同検証やデモを実施している。同社は自社製品のOSが基本的にプログラマブルで柔軟だからこそ、こうした新たな技術への対応が可能だと主張する。

遅延の低さとモニタリング機能を維持・強化

 アリスタのスイッチの大きな特徴の1つは遅延の低さ。新製品が出るごとに遅延は低減、昨年発表した製品は0.55マイクロ秒だったが、今回の7150Sでは0.350マイクロ秒になったという。同社はトラフィックが増えても一定の遅延時間を保てることを強調する。「金融機関が求めているのは、低遅延だけでなく、一貫した性能を維持できることだ」(サダナ氏)。性能の維持・監視のため、同社スイッチではすべてのパケットにタイムスタンプを付与し、時刻管理を行っている。また、1対Nのミラーリングなどの機能を備えている。

新製品が出るごとに、遅延は低減している

 Arista 7150シリーズは3モデルで構成。ボックス型スイッチながら1/10Gbpsイーサネットをそれぞれ24ポート、52ポート、64ポート搭載する。24ポート版はすでに150万円を切る価格で出荷開始した、52ポート版と64ポート版は12月に出荷開始の予定。

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