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» 2012年10月26日 00時00分 UPDATE

業務アプリInsider 読者調査レポート:業務アプリ開発で「デスクトップ vs. タブレット vs. スマホ」 ―― 第7回 業務アプリ開発についてのアンケート結果(2012年9月実施) ――

2012年9月に実施したアンケート調査結果を公開。今後の業務アプリ開発で最も人気のクライアント端末とは何か?

[一色政彦,デジタルアドバンテージ]
業務アプリInsider 読者調査レポート
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* 本稿では、「アプリケーション」は「アプリ」と略す。


 @ITでは、2012年9月13日(木)〜9月23日(日)の期間、Windows/.NETベースの業務アプリ開発に携る@IT読者を対象に、Web上での自記式アンケートによる読者調査を行った(調査実施機関はアイティメディア株式会社。有効回答数は220件)。

 本稿は、その調査結果から、筆者が特に興味深いと感じた下記の調査項目に関するものを一部抜き出してグラフ化し、簡単な説明と考察を付記したものである。

【現在のアプリ開発状況】

  • 開発している主な業務アプリの形態
  • 開発しているアプリの対象業務
  • アプリ開発で利用している技術
  • 今後開発予定のクライアント端末

【『@IT 業務アプリInsider』へのフィードバック】

  • 業務アプリInsiderへの興味度
  • 業務アプリInsiderで読みたい記事
  • 業務アプリInsider利用したい機能

 なお、本稿で取り上げなかった調査結果(「業務アプリ開発の課題」「今後身につけたい業務アプリ開発スキル&手法」など)は、TechTargetでホワイトペーパーとして提供している。


現在のアプリ開発状況

開発している主な業務アプリの形態

Q. あなたは現在、主にどのような形態の業務アプリ開発に関わっていますか? 最も当てはまるものを、1つだけお選びください。

ap-chushinsurvey_07_01.gif 開発している主な業務アプリの形態(N=220)

 この結果の全体的な割合構成は、半年前の調査(以降、「前回」と表記)とほとんど変わっていない。

 「スタンドアロンのPC用アプリ」と「C/Sシステム用アプリ」を合計すると“46.8%”となり、業務アプリ開発者の大半が、デスクトップ上のWindowsアプリを開発している。前回と比べると(今回は業務アプリに絞っているので単純比較はできないものの)、スタンドアロンは4ポイント減って、C/Sシステムは逆に4.6ポイント増えている。このような結果になった理由はやはり、アプリ種別を「業務アプリ」に絞って調査したことが影響したからだろう。

 また、「社内向けWebアプリ」「社外向けWebアプリ」「クラウドアプリ」を合計すると“40.5%”(前回よりも3.8ポイント増加)となり、Webアプリの開発もかなり盛んだ。

 一方で、新しい分野の「スマートフォン/タブレット端末用アプリ」はまだ“4.1%”と少ないままだ。前回の調査よりも1ポイントだけ増えているが、大して伸びではない。

開発しているアプリの対象業務

Q. 上記アプリの対象業務に当てはまるものを、いくつでもお選びください。

ap-chushinsurvey_07_02.gif 開発しているアプリの対象業務(N=218)

 全てが10%以上になっており、あらゆる業務種別向けに満遍なくアプリが開発されているのが分かる。ダントツに多いのが、「販売・在庫管理」(37.2%)である。そこから少し間を空けて「生産・原価管理」(26.1%)や「グループウェア・社内情報共有」(22.0%)や「財務・会計」(20.2%)が続いている。

アプリ開発で利用している技術

Q. 上記アプリは、どのような技術で開発していますか? 当てはまるものを、いくつでもお選びください。

ap-chushinsurvey_07_03.gif アプリ開発で利用している技術(N=218)

 デスクトップ・アプリの開発技術である「Windowsフォーム」(49.1%)と「WPF」(10.1%)を見ると、依然としてWPFはあまり普及しておらず、Windowsフォームの利用者の方が圧倒的に多い。しかしながら前回と比べると、Windowsフォームは6.9%減り、WPFは1.2%増えている。また、1年前の調査と比べると、Windowsフォームは11.7%減り、WPFは3%増えている。「このペースで今後も推移する」と仮定した場合、1年で差が15%ほど縮まる計算になるので、約3年後にはWindowsフォームとWPFの使用率が逆転しそうである。

 なお、この推移はあくまで仮説であり、筆者は「このとおりになる」とは考えていない。例えばこの仮説に従えば、Windowsフォームの使用率減少が速く、WPFが遅いことから、Windowsデスクトップ開発技術の利用者数は急激に減っていくことになる(具体的には4年後には、Windowsフォームの利用者が0%に近くなり、WPFの利用者は22%程度になる計算だ)。しかし筆者の考えとしては、特に業務アプリ分野においては業務自体はなくならず、タブレットやスマートフォンに向いていないアプリも多いので、Windowsデスクトップの業務利用がそこまで(=22%まで)減るとは考えにくい。「今後はこの推移は鈍化していき、10年単位の年月を掛けて、最終的に仮説のような情勢になる」と予想している(具体的には2020〜2030年あたりではここまで状況が変わっている可能性は大いにあり得る。もちろんそんなに先を予測することは不可能だが……)。

 一方、Webアプリの開発技術である「ASP.NET Webフォーム」(28.4%)と「ASP.NET MVC」(7.3%)と「Webアプリ(そのほか)」(24.8%)を見ると、こちらも依然としてASP.NET MVCは(筆者の期待ほど)普及しておらず、ASP.NET Webフォームの利用者が多い。前回と比べると、ASP.NET Webフォームは5.2%増、ASP.NET MVCは0.7%増、Webアプリ(そのほか)は3%減になっている。なお、今回は業務アプリに絞っているので、柔軟性よりも開発生産性に優れた「Webフォーム」にバイアスが掛かった可能性があることには留意しておきたい。

 そのほかの注目点として、「スマートフォン用ネイティブアプリ」(5.0%)や「スマートフォン用Webアプリ」(6.0%)を見ると、業務アプリ分野でもスマートフォン関連の開発案件はまだ少ないようである。

今後開発予定のクライアント端末

Q. 業務アプリのクライアント端末用プラットフォームとして、あなたが今後(今後とも)開発を予定/検討しているものを、いくつでもお選びください。

ap-chushinsurvey_07_04.gif 今後開発予定のクライアント端末(N=219)

 “69.4%”と、ほかの選択肢を引き離してダントツの1位が「Windows PC」となっており、業務アプリのクライアント端末としては不動の人気である。

 Metro UI(=Windows 8向けにWinRTベースで提供される新UIデザイン。「Modernスタイル」や「Windows 8スタイル」とも呼ばれる。本稿では「Metro UI」と呼ぶ。なお、このUIを持つアプリは「Windowsストア・アプリ」と呼ばれる)に対応したWindows 8関連端末だけを取り上げてみると、「Windowsタブレット(Intel)」が“24.2%”、「Windows RTタブレット(ARM)」が“15.5%”となっており、そのほかの「iPad」(26.5%)や「Androidタブレット」(30.6%)と比べてみても、「なかなか健闘している」と言えるだろう。この結果から「Windows 8関連端末の製品登場前から開発を予定/検討している開発者は多い」と言えるが、「製品登場後のこれから、この結果がどのように推移していくのか」が楽しみである。

 スマートフォンとタブレット限定で「Windows端末」「iOS端末」「Android端末」というジャンルにまとめてみると、「Android端末」(平均で“30.6%”) > 「iOS端末」(平均で“25.8%”) >「Windows端末」(平均で“17.8%”)という順になり、開発者には依然としてAndroid開発の人気が高いものの、ずばぬけて高いわけでもなく、「3強の混戦状態」と言える。

 さらに、同じデータを「デスクトップ開発系」「タブレット開発系」「スマートフォン開発系」という切り口で集計し直してみたのが次の図だ。

ap-chushinsurvey_07_05.gif 今後開発予定のクライアント形態(N=219)

 「デスクトップ開発系」(69.4%)、「タブレット開発系」(53.0%)、「スマートフォン開発系」(44.3%)という順番になっているが、筆者はスマートフォンよりもタブレット端末の開発(の予定/検討)の方が数値が高いことに驚いた。「業務アプリに絞ると、このような結果になるのか?」「開発者全般でもスマートフォンからタブレット開発に人気が推移してきているのか?」あるいは「Windows 8登場の影響が大きいのか?」は今回の調査だけでは分からないが、時代の変化が感じられる、とても興味深い結果だ。確かに前回(=「Windows RT効果か?! タブレット開発への関心が大躍進」)からタブレット開発の人気が爆発しつつある兆候はあったが、こうやって明確に数値を出して、スマートフォン開発系やデスクトップ開発系と比較してみて、あらためてタブレット開発系の人気の高まりを確信させられた。皆さんはこの結果をどのように捉えただろうか?

『@IT 業務アプリInsider』へのフィードバック

 ここからは、「.NET開発者中心」からリニューアルした「業務アプリInsider」に関するアンケート調査の結果を簡単に紹介する。

業務アプリInsiderへの興味度

【業務アプリInsiderの概要】

コンセプト:業務アプリケーション構築に携わる開発者のための情報サイト。
業務アプリ開発者の中心(=ハブ)的存在となることを目指しています。

主な読者像:Windowsクライアント&タッチ・デバイスを活用した業務アプリ開発に携わる「業務アプリ開発者」


Q. 上記の概要文を読んだ範囲で、あなたはどの程度「業務アプリInsider」に興味を持たれましたか?

ap-chushinsurvey_07_06.gif 業務アプリInsiderへの興味度(N=218)

 「とても興味がある」と「ある程度は興味がある」を合計すると「“78.9%”が興味がある」ということで、運営側としては大変うれしい結果となった。

業務アプリInsiderで読みたい記事

Q. あなたが今後「業務アプリInsider」で読みたい記事内容があれば、いくつでもお選びください。

ap-chushinsurvey_07_07.gif 業務アプリInsiderで読みたい記事(N=211)

 「HTML5業務アプリ開発入門」(51.2%)が1位となり、HTML5関連記事のニーズが飛び抜けて高い。アンケートの実施時期に、HTML5に関してネガティブなニュース(例:「FacebookのザッカーバーグCEO、「HTML5に賭けたのは失敗」 Androidアプリも間もなくネイティブに - ITmedia ニュース」)が多かったことを考えると、HTML5の人気は底堅いと言えるだろう。

 第2位は「Windows 8 UI開発入門」(43.1%)だった。これは、Metro UIの開発に興味があることを示していると考えられるが、第3位の「業務でタッチアプリ開発の可能性」(35.5%)も同じような興味から来ていると想像され、やはりWindows 8のMetro UIを中心にタブレット開発(あるいはタッチ可能なデスクトップ開発)の人気が高まっていることを裏付ける結果と捉えている。

 第4位に「ASP.NET 4.5 Webフォーム実践開発」(33.6%)がランクインしている一方で、「ASP.NET MVC 4による実践開発」(24.6%)となっており、ASP.NET Webフォーム開発の方が依然として人気が高いことが分かる。

 .NET以外の開発言語/ライブラリ別にランキングを眺めると、「Java」(29.9%)、「Ruby on Rails」(21.3%)、「PHP」(20.4%)、「C/C++」(15.2%)、「MFC」(7.6%)の順になっている。Javaは開発者数が多いので妥当な結果だろう。Ruby on Railsはやはり近年の人気の高まりを反映しているのだろう。

 今回、特に印象的だったのは、「WPFによる業務アプリ開発」(13.3%)や「MVVMパターンでWPF/Silverlight」(12.3%)のポイントがかなり低いことだ。「デスクトップ開発は続けていても、それに関する技術情報のニーズは小さくなってきている」ということだろうか。開発者数を考えると、WPFよりも「Windowsフォーム開発」の記事の方がニーズが高い可能性もあるが、.NET登場時から存在するWindowsフォーム開発の技術情報は“いまさら感”が強いので記事化しにくいテーマである。

業務アプリInsider利用したい機能

Q. あなたが今後「業務アプリInsider」で利用してみたい機能やサービスがあれば、いくつでもお選びください。

ap-chushinsurvey_07_08.gif 業務アプリInsider利用したい機能(N=205)

 1位が「C#/VB/F#/C++/JavaScriptコードの共有コミュニティ」(47.3%)となっている。これは数年前から筆者が本コーナーの方針会議などで提言しており、筆者個人でも将来的にサービス化したい事項ではあるが、方法を含めてめどはまだ立っていない(そのための努力は続けたいと考えている)。

 2位の「コードの構文ハイライト」(38.5%)に関しては、@ITのCMS(コンテンツ管理システム)がニュース・サイトである「ITmedia」のCMSをベースとしたものに切り替えられ、現状では特にデザインや表現が大きく制限されているため、「SyntaxHighlighter」を活用したようなものは難しい。キーワードや文字列を個別に色づけすることは編集時に可能であるので、その方向でできるだけ対応したいと考えている。

 第3位の「メールによる連載記事の更新通知」や第4位の「スマホ専用アプリによる記事閲覧」は、今回のCMS切り替えによりサービス提供が開始されている。


 今回のアンケートにご返答いただいた方々に感謝したい。また次回実施時にもご協力いただけるとうれしい。

 繰り返しになるが、今回のアンケート調査の全結果は、TechTargetでホワイトペーパーとして提供しているので、ご興味のある方はぜひダウンロードしてみてほしい。

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