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» 2012年11月21日 18時18分 UPDATE

仮想化環境のデータバックアップ 最適解の見つけ方(1):仮想化環境のデータバックアップ 種類と特徴を整理しよう (1/3)

仮想化環境でのバックアップにはどんな種類がある? 適用範囲は? 主要な手法とそれぞれのメリット・デメリットを整理しておこう。後半では、従来のバックアップの常識を覆す機能を持ったツール類にも言及する。

[三木亮弘,ネットワンシステムズ]

 サーバ仮想化環境の構築および運用に関する大きな課題として、データの管理が挙げられる。中でもバックアップは日常的に発生する作業であり、仮想化環境の導入当初から運用体制を確立しておく必要がある。だが、サーバ仮想化環境のバックアップは、物理サーバ環境における業務システム(アプリケーション)単位の運用管理に慣れ親しんできた人々にとって、戸惑いが多いものだ。なぜなら、アプリケーションのバックアップにおいて、「(1)アプリケーションの稼働する物理サーバに直結されたテープバックアップ装置などで逐一取得するという世界」から、「(2)共用ストレージ装置に統合された複数アプリケーションのデータをどこに対して、どうバックアップすべきかを考える世界」にシフトしなければならないからだ。

 本連載では前・後編に分けて、VMware vSphere対応製品を中心に、仮想化環境のバックアップに関する手法の整理やそれぞれの長所・短所の解説を交えて、具体的な対応策を述べていく。読者の方々の環境におけるベストプラクティスが見つかれば幸いである。

仮想化環境バックアップのさまざまな手法とその特徴

 仮想化環境のバックアップといっても、その対象には、「システム領域のデータ(すなわち、仮想マシン=OS+アプリケーション)」と、「アプリケーション領域のデータ」の2種類がある。これらは別々に運用管理される場合も多い。

 これを前提に、前編では、現在入手可能なバックアップツールを前提に、バックアップ手法、バックアップソフトウェア、ストレージ装置のバックアップ・スナップショット機能などを紹介する。

仮想化環境で利用されるバックアップの種類は3つ

 仮想化されたサーバデータをバックアップとして保護するという観点では、おおまかに3つのカテゴリの手法に分類される。

  1. バックアップエージェント型
  2. ストレージ機能連携型
  3. 仮想機能連携型

 まず、これら3つのカテゴリを機能の観点から紹介する。

 (1)バックアップエージェント型とは、従来のバックアップソフトで実施していたバックアップソフトのエージェントを、仮想化した仮想マシン上にインストールするタイプを指す。中央集中管理として、バックアップサーバやメディアサーバを配置して、データを取得するバックアップ手法だ(図1)。

mhss_bu01fig01.jpg 図1 バックアップエージェント型

 (2)ストレージ機能連携型とは、ストレージの持つスナップショットやクローン、レプリケーションといった機能と連携する手法を指す。現在の一般的な仮想化環境の構成では、共有ストレージにカプセル化された仮想マシンの実態をファイル形式で置く。このファイルをストレージの複製機能を使って保護するタイプの方式だ(図2)。

mhss_bu01fig02.jpg 図2 ストレージ機能型

 (3)仮想機能連携型とは、ハイパーバイザが提供するAPIを通じて、データを保護する手法を指す。VMwareの場合では、「vStorage API for Data Protection」(通称VADP)を利用する(図3)。

mhss_bu01fig03.jpg 図3 仮想機能連携型

バックアップ手法3種のメリット・デメリット一覧

バックアップエージェント型のメリット・デメリット

 バックアップエージェント型の最大のメリットは、物理サーバでも仮想サーバでも、同じ仕組みでバックアップやリストアの管理、オペレーションが実施可能なことだ。また、アプリケーションに対するサポートが豊富であり、保護機能や操作性の良さも利点だ。

 一方、この方式で課題となるのは、LANバックアップが採用されることが多く、一般的にネットワークに掛かる負荷やバックアップ対象のアプリケーションサーバ自身のプロセス負荷が高くなる場合があることだ。大容量のデータベースで、バックアップ時間(通称「バックアップウィンドウ」)が許容時間を超えてしまうようなケースが問題となる。

ストレージ機能連携型のメリット・デメリット

 ストレージ機能連携型の最大のメリットは、短時間でバックアップができること、そして短いリカバリタイムにある。アプリケーションデータそのものをストレージに配置しておき、ストレージのポイント・イン・タイム・コピー(スナップショット)機能や、ブロックレベルでの差分バックアップ機能を用いて、短時間にバックアップやリストアを実現する。

 この方式での一般的な課題としては、アプリケーションのバックアップをストレージ機能と連携させるために、スクリプトでの解決が必要であったり、アプリケーション運用の担当者にとって不慣れなストレージのオペレーションを実施しなければならないケースがある点が挙げられるだろう。

仮想機能連携型のメリット・デメリット

 仮想機能連携型の最大のメリットは、仮想化の特性を生かした仕組みとして、仮想化機構側でストレージ操作のためのプロトコル実装がされている点だ。これにより、バックアップソフトのエージェントを介さずに共通プロトコルによってバックアップやリストア実行できるようになる。加えて、バックアップ取得の効率が向上する利点もある。

 VMware vSphereでは、バージョン4からCBT(Change Block Tracking)という機能が実装されている。仮想マシンの“ある時点以降”に更新があったディスクブロックのみを抽出する技術だ。この機能により、前回のバックアップ取得時と比較して更新があったブロックのみを抽出してバックアップできるようになっている。

 従来のバックアップでは、このような作業にはバックアップソフトのエージェントやストレージのスナップショット機能を使う必要があったが、これらの操作について、VMware vSphere標準のAPIで提供されるようになった。この利点は、バックアップエージェント側が更新ブロックの特定をする必要がないため、バックアップジョブを実行した際に、仮想マシンに掛かるプロセス負荷がほとんどないことや、必要最小限のバックアップデータ転送で済むことが挙げられる。

 一方で、この方式の課題は、基本的には仮想マシンのシステムイメージバックアップの延長線上にあり、アプリケーションレベルの整合性を意識したバックアップ/リストアの機能実装には至っていない点にある。まだ新しい仕組みであるため、細かな制約などにも注意が必要だ。

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